ありがとう熊さん

食品スーパーのおやじが、生き方について辛いことも楽しいことも含めて、心を込めて書かせてもらいました。

催眠商法の客づくりについて

催眠商法の客づくり

お年寄りを会場に集め、高額な健康食品を売りつける催眠商法

そこでは、一人一人のお年寄りに合わせた誘導がされます。

裏場では「しっかりと客づくりをしろ」と上司から檄が飛びます。

客づくりとは、文字通り客を作っていく作業です。

オープンしてから高額商品を実際に売り出すまで1週間かけます。

それまでに一人一人を接客して高額商品を買ってくれるように誘導していくのが客づくりです。

お年寄りが催眠商法で買う理由は様々です。 

  • 1つぐらいは付き合いで買っておこうとする客。
  • 話を聞くうちに本気で欲しくなって買う客
  • あまり欲しくないけれど従業員が親切にしてくれるからと買う客
  • 会場の雰囲気に飲み込まれて買う人
  • 一生懸命に勧められ、強引に買わされる人

買う理由が様々なので、一人一人に合わせた購入への誘導が大事になるのです。そのために社員は一人一人に接客をします。

催眠商法の花形は前で話をする講師です。しかし、講師一人が頑張って話をしても大きく売れることはありません。

講師の話だけで売れるのならわざわざ会場を借り切ってしなくてもテレビの通販だけで十分ですよね。

講師以外にその他の社員が何人もいる理由はただ注文を聞くだけではなく、一人一人の客に合わせた誘導のためなのです。

会場に来た客全員に話をするのが講師で、マンツーマンで個別に話をしていくのがその他の社員。

そのため講師とその他の社員が気持ちを一つにして連携していくのです。

家にいていても孤独しかないお年寄りは常に自分を認めてほしいと思っているのです。

そんな方に毎日気持ちを込めて接客がされると、「自分を認めてくれるあの子にお返しをしなくては」と思ってしまうのがお年寄りの心理です。

これは心理学でいう「好意の返報性」と呼ばれていることです。

相手をだます前に自分をだまさなければ本当の意味で気持ちは伝わりません。そのため彼らは、本気でお年寄りを好きになり接客をします。

普段ちやほやされることのないお年寄りも宣伝会場ではちやほやされます。すると、気持ちがよくなるのです。

そうして気持ちが良くなった客はこの気持ちよさを失いたくないと思うようになるのです。

あまり買いたくはないけれど、断ってばかりではこの子たちは、ちやほやしてくれなくなるかも?そう思うと買わずにはいられなくなるのです。

さらに客が買うか買わないかは頭の中で損か得かを判断してからです。それを一人一人のお年寄りの個性に合わせた損か得かを感じる点をついていくのが販売員の仕事です。

商品そのものの良さを訴えるのが一番の基本ですが、それだけでは落ちない客も多いのです。

特別扱いで購入の動機付けを行う業者

客の中には「どうせ買うなら他の人よりも良い条件で買いたい」と思う人がいます。

そんな人には内緒で「今日のお土産の洗剤を余分にあげるよ」と内緒でサービスされることがあります。

洗剤をサービスされたぐらいで30万円の健康食品を買うというのは割に合わない気がしますよね?

しかし、それまでにさんざん講師から商品の良さを聞かされている客にとっては買う動機付けになるのです。

先に説明したように客が買う理由は様々です。

社員に強引にお願いされて買う客もいます。

講師が大勢の前でお願いすることはありません。大勢の前でお願いをすると商品の価値を大きく下げてしまうからです。

お願いができるのは個別に接客をする社員だからこそです。

そうしたお年寄りの個性に合わせたオーダーメイドの誘導もこの本には書かれています。

被害にあわないため、身近な人を守るため、ぜひともお役立ていただければと思います。

 

 

あやしい催眠商法 だましの全手口  身近な人を守るために知っておくべきこと

あやしい催眠商法 だましの全手口 身近な人を守るために知っておくべきこと

 

 「あやしい催眠商法だましの全手口身近な人を守るために知っておくべきこと」
単行本: 230ページ
出版社: 自由国民社 (2018/11/2) 
筆者 ロバート・熊
イラストレーター にゃんとまた旅/ねこまき
身近な人を守るために知っておきたい催眠商法の現場を元社員が詳細に明かした本です。
★本書の特徴
1.いかにしてお年寄りのこころを奪うか、元・詐欺会社の社員が明かします。   
2.ネット上にある催眠商法の説明はごく簡素なものですが、事実はかなり込み入った内容です。本書では複雑で巧妙な手口をあますことなく紹介いたします。
3.まず近づかないことが一番ですが、もし被害にあってしまった場合の有効な対策も分かります。

お年寄りは催眠商法の宣伝会場に寂しいから通い、そのお礼に買うのです。

日本全国に山ほどある催眠商法の会場

開催期間は1日間、3日間、1週間、1か月、2か月、3か月と会社によって違いがあります。

その中でも主流にになっているのは2か月間です。

では、どうして2か月間が主流なのでしょうか?

催眠商法はお年寄りの中ではすでに有名なことです。来店され、購入されるお客さんの多くは他の会社でも会員になっています。

お客さん同士のネットワークのようなものが出来ています。

「あの会社はああだこうだ」と噂が立つのです。

1日しか開催されない会社は次に同じ場所では商売しにくくなります。どんどん場所を移動していく寿命の短い会社になるのです。

その点、2か月間営業をするとその場所で信用が生まれますよね。次にその場所に戻ってきたときに「また2か月間楽しませてくれる」とお年寄りは思うのです。

では2か月間どのような流れで営業がされるのか?本には第二章からオープンから紹介する商品の順番通りに講演内容を紹介しています。

その大まかな流れはこうです。

オープンの信用づくり(3日間)

1つ目の健康食品の宣伝(7日間)

1つ目の健康食品をもう一度宣伝(5日間)

健康グッズの宣伝(5日間)

2つ目の健康食品の宣伝(7日間)

健康布団の宣伝(7日間)

3つ目の健康食品の宣伝(7日間)

4つ目の健康食品の宣伝(7日間)

5つ目の健康食品の宣伝(7日間)

移動前の挨拶(2日間)

第二章からこの順番通りに話が進んでいきます。

健康食品も健康布団もいずれも30万円から40万円と高額です。

そのような高額商品をこのように次から次に売りつけるのです。

どうやって売りつけるのか?知らない人にとっては不思議ですよね。

それには巧妙に組み立てられたストーリーがあるのです。

お年寄りはそのストーリー通りに気持ちが誘導されます。

どのお年寄りも最初は、行くだけ行って、高いものは絶対に買わないでおこうと思っています。

しかし、「私は絶対に買わないでおこう」という気持ちがいつの間には「これは絶対に買わなければ」に変えられるのです。

そのからくりが、この本を読んで頂ければ分かります。

催眠商法はお年寄りがターゲットですが、巧妙に組み立てられたストーリーは若い人も騙されるでしょう。それほどのレベルのストーリー、セールストークです。

それと、業者は、宣伝会は2か月間開催することを最初にするのですが、場所移動の話はギリギリまでしません。

その場所がうまく行かずに早めに切り上げる時もギリギリまで発表はしません。大体2日前に発表するケースが多いでしょう。

1週間も2週間も前に発表することはないでしょう。

次に移動する場所の話をすると、客の気持ちが離れ、宣伝が上手くいかなくなるからです。

お年寄りは、寂しいから通い、そのお礼に買うのです。

もうすぐ場所移動すると知った瞬間、もう少ししか通えないなら買わないでおこうと思うのです。なので業者は、場所移動をギリギリまで発表をしません。

だからと言って宣伝が終わってすぐに明日からさようならというようなことをすると客から冷たい目で見られますよね。

業者としては、高額商品を買ってくれた会員さんとは末永いお付き合いをして、また買ってもらわなければいけないのです。なので発表は2日前というパターンが多いでしょう。

第二章からスタートするそれまでの一連の流れを読んで頂けると分かるのですが、とても中身の濃いお年寄りにとって充実した2か月間になります。

従業員も買ってもらおうと必死で接客をします。

そんな充実した2か月の終わりの時は従業員全員一人ずつ前で挨拶をするのです。

「皆さんには大変にお世話になりました。またお会いできる日を楽しみにしています」と。

ここで涙を浮かべるお年寄りが多かったです。
「次の場所も頑張れよ」
「みんな早く店長になれよ」
 

温かい声をかけてくれるお客さん。2か月間ともに充実した日々を過ごしたお年寄りと若者は一人一人握手しながら涙を流します。


お年寄り「頑張れよ」
若者「ハイ、頑張ります」

そこには騙されたと感じているお年寄りはいません。騙していると思っている若者もいません。こうなると何が悪で何が善なのかすら分からなくなります。

そうして2か月間充実した日々を過ごしたお年寄りは感謝の気持ちをもち、催眠商法の会社の大ファンになっていくのです。

 

あやしい催眠商法 だましの全手口  身近な人を守るために知っておくべきこと

あやしい催眠商法 だましの全手口 身近な人を守るために知っておくべきこと

 

 「あやしい催眠商法だましの全手口身近な人を守るために知っておくべきこと」
単行本: 230ページ
出版社: 自由国民社 (2018/11/2) 
筆者 ロバート・熊
イラストレーター にゃんとまた旅/ねこまき
身近な人を守るために知っておきたい催眠商法の現場を元社員が詳細に明かした本です。
★本書の特徴
1.いかにしてお年寄りのこころを奪うか、元・詐欺会社の社員が明かします。   
2.ネット上にある催眠商法の説明はごく簡素なものですが、事実はかなり込み入った内容です。本書では複雑で巧妙な手口をあますことなく紹介いたします。
3.まず近づかないことが一番ですが、もし被害にあってしまった場合の有効な対策も分かります。

催眠商法はなぜ成立するのか?従業員の罪悪感を消し去る話

20万円、30万円の健康食品が飛ぶように売れる催眠商法

運悪くたまたま入った会社が催眠商法の会社だった若者は多いでしょう。しかし、そんな若者もこの商法ならではの悪の魅力に心を奪われていくのです。

「どうしてこの人たちはこんなにもお金をもっているんだ?」

20万円、30万円の健康食品を次から次に買っていくお年寄り。多くの新人が最初に驚くことです。

自分なら絶対に買わない。買うお金もない。それなのにこの人たちはどうして買えるのだ?

そこで上司や先輩から教わります。

「お年寄りはみんな自分たちが想像している以上にお金を持っている」
「お金を使う機会のないお年寄りがいるから社会にお金が回らない」と。

すると自分たちがしていることはお金持ちに売ることで、決して貧乏な人から金を奪うことではないと考えるようになるのです。

しかし、現実を知らない怖さがそこにあります。実際には老後破産をさせるほど買わせてしまっているのです。

今の国民年金の支給額だけでは生活ができないお年寄りは貯金を取り崩して生活しています。

そんな大事なお金を奪い取り破産させるのです。

そんな現実よりも「お年寄りは貯金をいっぱいしているから大丈夫」と従業員は思い込まされるのです。

そして催眠商法の会社は日本全国に山ほどあるけれど、どこも「うちは催眠商法の会社です」とは名乗っていません。

どこの従業員も自分たちの会社は催眠商法ではないと思っているのです。不思議ですね。

ためしにそこで働く若者に「あなたの会社は催眠商法ですか?」と聞くとほぼ全員が「違う」と答えるでしょう。

しかし、やっていることは紛れもなく催眠商法です。

それでも催眠商法でないと彼らが思う理由は「この仕事が催眠商法なら世の中の仕事は全て催眠商法ではないか?」と思い込まされているからです。

自分たち仕事のことを催眠商法だというのならば・・・

テレビのコマーシャルで有名人を起用して信用させるのも催眠ではないか?
新聞に入っているチラシも消費者に目で訴える催眠ではないか?
と彼らは思うのです。

なぜそう思うのでしょうか?それは自分のしていることを完全に正しいことではないと分かっているからです。

現実に同業者が行政処分で業務停止命令が下されるといったニュースがどんどん入ってくることがあります。

自分たちがしていることも似たようなことだと分かっているのです。行政処分が下されないのはその会社よりも目立っていないからであり、やっていることは変わりありません。

そんな中でも彼らは仕事をしていかなくてはいけないのです。

そこで大事になるのが大義名分です。

自分たちがやっていることは「お客さんのため」と思い込むのです。

嘘をつくことは「どこの会社もしている売るための演出」と思い込むのです。

自分たちがしていることは「善意の嘘」いう大義名分です。

そうして罪悪感なくお年寄りの貯金を奪い取っていくのが催眠商法です。

催眠商法はなぜ成立するのか?

その一つに、従業員の罪悪感がないからということがあげられます。

 

 
「あやしい催眠商法だましの全手口身近な人を守るために知っておくべきこと」
単行本: 230ページ
出版社: 自由国民社 (2018/11/2) 
筆者 ロバート・熊
イラストレーター にゃんとまた旅/ねこまき
身近な人を守るために知っておきたい催眠商法の現場を元社員が詳細に明かした本です。
★本書の特徴
1.いかにしてお年寄りのこころを奪うか、元・詐欺会社の社員が明かします。   
2.ネット上にある催眠商法の説明はごく簡素なものですが、事実はかなり込み入った内容です。本書では複雑で巧妙な手口をあますことなく紹介いたします。
3.まず近づかないことが一番ですが、もし被害にあってしまった場合の有効な対策も分かります。

書店に行ったけれど置いていなかったというメッセージを頂いています。
無名の僕が執筆した本なので置いていない書店もあります。
せっかく足を運んでいただいたのに申し訳ないです。
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