ありがとう熊さん

食品スーパーのおやじが、生き方について辛いことも楽しいことも含めて、心を込めて書かせてもらいました。

地獄を見せるのは、その先の地獄に足を踏み入れさせないためである

成功するためにつらい修行は意味があるのか?

大きく議論される問題です。まるで旧日本軍のような師匠のしごきは指導というよりもただのいじめではないか?

当然行き過ぎた指導は人が持っているせっかくの可能性をつぶすものであり、指導者としての在り方を十分考えた上で指導しなければいけないと思います。

しかし、実際に想像を絶するほど厳しい師匠の修行を経験した私は、つらい修行に対して否定的な立場でありながら、そこには一粒の意味があると捉えています。

今回はそのような心境になった私の経験談です。

一国一城の主になりたい。でも長年の修業はいやだ。

そんな私が見つけた居酒屋フランチャイズの求人。 なんと、そこには3カ月で店を持たせてもらえると書いてありました。

面接に行き、話を聞くと3カ月の修業期間は給料なし、休みなし、朝の早くからの仕込みから夜の閉店後の作業まで長時間立ちっぱなしなどと厳しい条件が言い渡されました。

厳しさに数日で辞める人もいると聞きました。しかし、長い人生のうちのたった3カ月。死ぬ気でやれば独立できると思い、覚悟を決めました。

とにかく眠たい。10分でも寝たい。

朝の10時に店に行き、仕込みと開店の準備に取り掛かります。仕込みは店長の奥さんが丁寧に教えてくださいました。

17時の開店までに、すでに疲れるのですが、そこから店長がやってきて営業が夜の2時まで続きます。片付けを終わらし、家に帰るのは朝の4時。とにかく眠たくて頭がぼ~~っとしました。

とにかくぼろくそに怒られました。

テレビとかで良く見る飲食の修業でぼろくそに怒られる弟子。まさに自分がそうでした。何をしても怒られる。褒められることなんてない。厳しい店長の厳しい口調に心が折れそうになりました。

早く帰りたいのに・・・

閉店後も説教が続きました。眠たい中、店長の怒鳴り声で心を突き刺される。本当に辛かったです。

お前は居酒屋をなめている

そんなつもりは全然ないのですが師匠から、「会社員だったお前はたった3カ月で独立できる居酒屋をなめている。簡単に出来ると思ってる。だからお前に地獄を見せてやる」と言われ、精神的に私は追い込まれました。

人生でもっとも長く感じた3カ月。

たまに顔を出す独立をした兄弟子たちが「もう二度とあんな修業はしたくない」と口を揃えるほどの厳しさでした。たったの3カ月が、いつになれば終わるのか?そう思うほど気が遠くなるような気がしました。

もしこんな修業が1年も続いたらと思うと体は持たないでしょう。普通の人間には無理だと思います。このまま死んだ方がましなんじゃないかと思うほどぼろくそに責められました。

その代わり、修業後の解放感はとても大きかったです。

それでも何とか3カ月頑張り、自分の店を持たせてもらえました。その時の精神状態は独立後の不安よりも修業が終わった解放感が大きかったです。

独立して全てを自分で何もかもしなくてはいけない大変さが、修業時代と比べると天国に思えました。

私が感じた辛い修業のメリット

1 独立後の苦労は大変といいますが、修業時代の地獄と比べるとましに感じる。

2 ぼろくそに言われることで商売人として邪魔になる会社員時代のプライドを捨てることが出来る。

3 見たら簡単そうに思える仕事。そんな錯覚を壊してくれる。

4 独立したらもう怒られることはない。怒られる経験は自分の甘さを捨てることが出来る貴重な経験になる.。

では私はその修行に感謝しているのか?

辛い修業に感謝出来るか?と問われると素直に感謝できるものではありません。それほど私にとっては、あまりにも辛い地獄でした。

思い出すと素直に感謝しきれません。しかし「辛い修業時代があったから今の自分がある」そういう人の話を聞くことがあります。

確かに今の仕事でつらいことがあっても、あの時の修行を思い起こすと、「あ~、あの時よりはましだな」と思います。

つらい経験ですが、確実に自分は強くなれたのでしょう。