堪忍袋の緒が切れると「怒る」「叱る」「指導する」の区別がつきにくくなる
急にキレる従業員に周囲は呆然
食品スーパーのおやじです。何度も同じことを教えても、なかなか覚えてくれない新人さん。そういった新人さんにイライラする気持ちは分かるのですが、
あまりにも突然キレるように怒る先輩がいるんですよね。積もりに積もった不満があるにせよ、急に大きな声で怒ると周囲の人も目が点になって呆然としてしまいます。
というもも、こんなことがあったんです。朝のオープン準備の時でした。とても、作業に時間をかけるアルバイトの山本君(仮名)に、パートの杉本さん(仮名)が突然怒りだしました。
いきなりのパートさんの怒鳴り声にみんなの動きが止まる。
バックヤードで、山本君に「いつまでそれしてんの?」「遊びでやってるんとちゃうで」「何しに来てるの?」「いい加減に早く終わらせるようにしてくれへんと、どれだけみんなに迷惑かけてるか分かってるの?」
と、それはそれは恐ろしい剣幕で、怒鳴るような口調でした。そばには、私ともう二人のアルバイト。みんな、いきなりのことで絶句です。
その日は店長はお休みでした。ちょっときついかな?とも思いましたが、状況をそれほど深刻にとらえてなかった私。しかし、次の日、店長が・・・・
4コマ漫画(限界です)
パートさんは堪忍袋の緒が切れたのだろう。
次の日、山本君は店長に相談の電話を入れてきたんです。杉本さんに、「やる気がないのか?」「みんな迷惑してるんや」と言われたことに、耐えられなくなったようです。
私は、状況を説明しました。杉本さんは、何度も同じことを言っても、なかなか成長の見られない山本君に、堪忍袋の緒が切れたようだと。
指導ではなく怒りをぶつけている。
確かに山本君の成長は遅いと思います。しかし、言い方がきついと思いました。「指導」というよりは、「怒る」です。
ただ単に山本君の仕事が遅いせいで、自分たちに負担が来ていることに対する怒りをぶつけているように思いました。
なぜ熊さんは止めなかった?そう思われるかもしれませんが、いきなりのことで、体が動きませんでした(汗)。ここは私の今後の課題だと思います。
このままでは、山本君はつぶれるだろう。
たしかに彼が、なかなか成長してくれない苛立ちは私にも店長にもあります。しかし、求人を出しても人が全然集まらない中で、やっと獲得したフリーターです。
なんとかレジは一人で任せられるようにはなったんですね。品出しは、とっても遅いが、かといってつぶれてほしくない。
ここは杉本さんに、怒ると叱るは違うということを伝えるべきですが、うちの店長は、悩んでいたんです。それは・・・
見ていないことを注意するのは難しい。
直接現場をみていないからです。見ていないことに対してパートさんに指導するのは難しいでしょう。
さらに、山本君から連絡があったということを言うと、その時は「分かりました」と言っても、後に遺恨を残す結果になるのではないか?
なので、「二人で言おう」ということになりましたが、さらに店長と話し合って、山本君の、「僕が言ったことは内緒にしといてほしい」と言う気持ちを考えて、まずは私が一人で杉本さんに話をすることにしたんです。
実際に私がそばで感じたことを注意しよう。
あくまでも、私が昨日感じた気持ちを言うことにしました。杉本さんは指導しているつもりでも、そばで聞いていた私には「ちょっと、きつく言い過ぎではないか?」と思ったことを。
杉本さんの休憩中に私は、「ちょっと話していいですか?」と声をかけました。ちなみに彼女は弁が立ちます。なので、私は細心の注意を払って話し始めました。
4コマ漫画(怒りたくなるのも分かる)
あの時の彼女の「指導」は「怒る」になっていた。
山本君に何度同じことを教えても、成長しないことに、パートの杉本さん(仮名)はキレたんですね。
「何しに来てるの?」「遊びじゃないんやで」「遅いからみんなに負担がかかってるんやで」と凄い剣幕で大きな怒鳴り声。もはや、「指導」でもなければ、「叱る」でもない。「怒る」です。それに私は注意したかったのです。
どうみても、ヒステリックな怒り方でした。しかし、最初からそれに対して言っても
彼女は聞かなかったと思うんです。
きつく言うことを正当化するだろう。
「それじゃ、社員さんがしっかり指導してくれないからでしょ?」「ずっと優しく接していたら図に乗るんですよ。実際にきつく言わなきゃいうこと聞かない子でしょ?」と言われるのは目に見えていました。
なので、「怒りたくなる気持ちは分かりますよ」というところから入ったんです。勘の鋭い彼女はすぐに察してくれました。自分が感情的になりすぎたことを。
それが分かればそれでいい。
あとは、店長に「もう限界です。これ以上怒鳴られるのは耐えれません」と訴えた山本君のケアです。
4コマ漫画(怒られるたのは、あなただけではない)
「怒る」と「指導する」は違う
山本君に感情をぶつけるように怒ったパートさんには注意しました。問題は、それで、つぶれそうになっていた山本君です。
誰だって怒られるのは嫌でしょう。でも、もっと嫌なのは、「自分だけになぜあたりがきついんだ?」ということ。
そんな時、「私も、同じように怒られたんだよ」と聞かされると、不思議と自分だけではないということで救われるんですね。
せっかくここまで成長したんです。時間はかかったけれど、レジ打ちは独り立ちできたんです。
堪忍袋の緒が切れるは両者ともにつぶれる可能性がある。
行き過ぎた指導はもはや指導というよりは単純に怒りをぶつけられているように感じます。
それに耐えられなくなるアルバイト君。かといって怒られた方だけに同情を示し、一時の感情を爆発させてしまった方の気持ちを無視するのもどうかと思うんですね。
怒った方は最初から怒りたくてそうなったのではないってこと。何度も何度も同じことを教えていて、それでも成長しない人に我慢の限界が来る。
「いい加減にしろ」とね。そうなった時は、「怒る」と「叱る」と「指導する」の区別がつかなくなるんです。
怒った方を、頭ごなしに全否定すると、今度は怒った人も居心地が悪くなり、つぶれてしまうんですね。
人間なんだから、たまにはそういうこともある。そうしてお互いが成長出来ればいいとこの時は思ったんです。