ありがとう熊さん

食品スーパーのおやじが、生き方について辛いことも楽しいことも含めて、心を込めて書かせてもらいました。

一生懸命やっている人は「何に時間がかかったの?」と言われると傷つくことがある。

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どうして急いで仕事をしてくれないんだろう?

食品スーパーに勤めています。少ない人員の中、アルバイト、パートさんはみんなそれぞれ頑張ってくれています。

しかし、時折ですが、アルバイトさん達に対して、「どうしてこんなに時間をかけているのだろう?」と疑問に感じることがあります。

こういったことを書くと一緒に働いている人に対して酷いことを考えているんだと思われるかもしれませんが、もしかして・・・

一生懸命早く終らせるよりも、ダラダラと長い時間働い方が楽だし、時間給が多くなるからとでも思っているのではないか?と考えてしまうのです。

もちろん、そのような気持ちをストレートにアルバイトにぶつけることはしません。もしそのようなことをしたら大きな衝突を生むのは目に見えているからです。

しかし、ダラダラと時間をかけられているのを放置しておくのは大きなストレスになります。そこで何も言わなければ現状は変わりません。なので言葉を選んで声をかけたことがあります。それは・・・

「何に時間がかかったの?」

閉店後に遅くまで残業をしていたアルバイト君。一生懸命やってくれているのは分かるのですが、「もうちょっと早く終らせることが出来ただろう」と思い、かけた言葉が・・・

「何に時間がかかったの?」です。

私の中では決してきつい言葉でも何でもないと思っていました。なぜなら若い頃、工事現場で働いている時は、早く動かないと、とても汚い言葉で責められた経験があるからです。

しかし、その言葉をかけたアルバイト君から・・・

「そんなことは言わないでくれますか?」と返されました。

私の言葉にとても傷ついたそうです。一生懸命にやっているのに、まるでサボっているかのように言われた気持ちになったそうです。

「それはおかしいだろ?」と私は返しました。

なぜなら、「何に時間がかかったの?」と言うのは疑問形なのです。「サボってないでさっさとしろ」と言うような相手の頑張りを否定する言葉でもないし、命令形でもないのです。

しかし、その時、そばに店長がいていました。

言い方一つでやる気が変わる

店長は・・・

「本来であれば時間オーバーは駄目なのだけど、その時の状況で無理なことはあるし、だからと言っていくらでもオーバ―して良いってもんでもないし」

「その時は、理由が必要だから熊さんが聞くのは仕方がないと思うけど、言い方もあるかもしれないな」

アルバイト君を気遣うような口調の店長に、若干の不満を抱きました。私は店長に、「残業をするのならきちんと理由を言いなさい」と言ってほしかったのです。

それをアルバイトに、ものすごく気をつかって、強く出ていない態度に、「何で?」と思いました。

その後、店長と事務所で話をしました。

「所詮はアルバイトですからね」

店長は、「アルバイト君は正しいことを言っているけど、わがままな感じだな。もしあいつが、社員だったらケリを入れてるところだよ」と言いました。さらに・・・

「でも、所詮はアルバイト。こっちの都合で動いてもらう人間だから、気分よくさせてたらいいんですよ」と言いました。

もちろん、この言葉は言ってはいけない言葉だと思います。「所詮は・・・」と言うのは人を見下した言葉です。

しかし、私はどことなくこの言葉に救われました。残酷な言い方ですが、所詮はアルバイトという意味で優しくされているのだと思ったのでした。

なぜ店長は、「所詮アルバイトだから」と言ったのだろう?

店長の言葉にその時は救われた気がした私ですが、どうも、「所詮アルバイトですから」と言う言葉が心の中でひっかかりました。なぜなら・・・

人を見下した言い方に聞こえるからです。

そこで、何でそのような言葉を私に言ったのか考えると、どうもあの場の私とアルバイトのイライラした状態を考えた上での言葉だと気付きました。

つまり、本来口にすべき言葉ではないことですが、それをあえて口にしたのは私へのリップサービスだったのではないかということです。

「何に時間がかかったの?」の言葉のどこがいけなかったのか?

そして私はどうして、アルバイト君が私の言葉に怒ったのか再度、考えました。すると見えてきたのが「何に?」という言葉の意味なのです。

「何に?」は一見理由を聞いているようですが、「ちゃんとしてるのか?」「頑張ってるか?」「ダラダラしてないか?」と疑いの気持ちが含まれていたのです。

しかし、みんなそれぞれ店を支えている気持ちで頑張っているのです。

そのため、アルバイト君も、「ここまでは終わらせといてあげたい」という責任感で動いてくれていたのです。なので聞き方としては・・・

「何に?」というよりも、「大丈夫?」「大変だね」と気遣う方が適切でしょう。 さらに相手の気持ちを考えるのなら、自分から相手の行動を良く見て、何に時間がかかっているかを見極めてのアドバイスなら受け入れ方も変わったと思われます。

時間内に出来るだけ終らせてほしいという立場から、従業員に声をかけなくてはいけない場面がありますが、相手の気持ちを考えて、言葉を選ばないと人を傷つけることを知りました。

それでも、私なら受け入れるのにな?と言う疑問が生まれました。

もし、私が上司から同じように「何に時間がかかったの?」と言われたらと想像すると、素直にその言葉を受け入れて、頑張ろうと気を引き締めるでしょう。

と言うよりも、それよりもストレートに、「仕事が遅いよ」「時間かけすぎだよ」「だらだら仕事をするなよ」と言われても受け入れます。

私には言い方を気遣う必要はありません。これは何を意味するのか?考えてみると、私の今までの過去の職業が影響しています。

20代のころ工事現場の職人をしていました。一生懸命頑張っていようと容赦なく厳しい言葉が飛び交う世界です。

「さっさとせんか。ボケ!」です。

そこでもまれた経験から、少々厳しい言葉も日常会話だと捉えれれるようになりました。つまり、職場によって言葉の捉え方も変わるということです。