「私は褒められて伸びるタイプなんです」も「私は叱られて伸びるタイプなんです」も嘘であることが多い
多くの上司が疑問を持ったこと
褒められて伸びるタイプですか?それとも、叱られて伸びるタイプですか?と以前の会社で大規模なアンケートをしたことがあります。その結果は8割が、褒められて伸びるタイプでした。
しかし、このアンケート結果に多くの上司が疑問を持ちました。それは、褒められて、さらに頑張るというよりも、そこで満足して終わりという部下が多いからでした。
つまり、褒められて伸びるというのは嘘ではないかと言うことです。しかし、その嘘には自覚がないように見受けられました。
「私は褒められて伸びるタイプです」とそうでもないのにそう思い込んでいることがあるのです。その理由は・・・
自称「褒められて伸びるタイプ」が伸びない理由
単純に叱られたくないという理由(自分に自信がなく、褒められないと不安になるから)で自称「褒められたら伸びるタイプ」になっている。
褒められるのが当たり前になっている。誰でも褒められれば嬉しいものですが、薬と同じで癖になるとその嬉しい効果が薄まります。
自分に甘い。つまり自己評価が周囲の評価よりも高いことです。自分は出来ると思い込んでいる。頑張っていると思い込んでいる。
そして、このような理由は本人が自覚している場合と自覚していない場合があります。なので、「私、実は褒められて伸びるタイプなんです」と後輩に言われ、「自分でそれを言うか?」といらだつ先輩がいるのです。
「叱られて伸びるタイプ」について
では、「私は叱られて伸びるタイプなんです」と言う人は本当に叱られて伸びるタイプなのでしょうか?一見前向きな発言ですが、これも嘘であることがあります。
今回は、実際にあった、自称「叱られて伸びるタイプ」の同僚とのやり取りを紹介して、その後に、なぜそのような嘘をいうのか?を書きたいと思います。
自称「私は叱られて伸びるタイプです」の同僚の話
同僚の女性社員であるアラフォーさんが部長と話している内容が耳に入ってきました。
「世の中には褒められて伸びるタイプと叱られて伸びるタイプがありますよね?」
「私はどちらかと言うと叱られて伸びるタイプなんです」
「だからなんでも気になったことを言ってくださいね。その方が私も頑張れますから」
そんなアラフォーさんの声が耳に入ってきたとき私は・・・
「よく言うぜ、まったく、店長にいろいろ注意されても、無視するくせに」と思いました。
「しかし、いいことを聞いた。これはつかえるぜ」と思った私は、以前から店長がアラフォーさんに指示している仕事を無視していることを注意しました。
口論になりました。
アラフォーさん 「言われなくても分かってる」
はははは・・・罠にかかったな~倍返しだ~と言う気持ちが生まれました。
私 「この前部長に『私は叱られて伸びるタイプです』って言ってましたよね?あれって噓でしょ?」
アラフォーさん 「叱られて喜ぶ奴なんかこの世にいるわけないだろ?」
私 「店長が何度も注意しているのに伸びていませんよね?」」
アラフォーさん 「あんたに私の何が分かるんだよ」
私 「いや~言っていることが矛盾していると思いましてね」
そんなやり取りの後、アラフォーさんは怒ってプイッ、事務所のドアを大きな音でバタンと出ていきました。
「私は叱られて伸びるタイプです」は絶対に嘘だ。そう私は確信しました。上司が何度注意しても「はい、分かりました」と返事だけはよくて、成長が見られない。それに対して上司は頭を悩ましていました。
しかし、本人はなぜ、「私は叱られて伸びるタイプなんです」と言ったのでしょうか?いろいろ理由が考えられます。それは・・・
自称「私は叱られて伸びるタイプです」が嘘である理由
恰好をつけている。つまり、私は叱られても、それをバネにして伸びるタイプであり、叱られてへこんで、やる気をなくしてしまう弱いタイプではないことをアピールしている。
自分は出来ていると思い込んでいる。周囲よりも仕事の出来が良く、頑張っている自分は叱られる要素は少ないと思っている。
やる気をアピールしている。完璧な人はこの世にいません。誰でも何かしらの欠点があるものです。それをどんどん指摘してもらい、前向きに自分の欠点を直していく姿勢をアピールしている。
今回私が言いたいこと
世の中には「褒められて伸びるタイプ」と「叱られて伸びるタイプ」がいることはよく言われていることですが、意外と自分で思っているタイプは違うことがあります。
そして、伸びるか伸びないかは人によりけりです。ほっといても伸びる人もいれば、褒めても、そこで満足して終わりの人もいます。そして、叱ってもやる気をなくして伸びない人もいます。
自称「褒められて伸びるタイプ」も「叱られて伸びるタイプ」も言うだけなら害はありません。しかし、言うからにはその言葉に責任を持って伸びるべきです。
それが自称するものの責任と言うものでしょう。