ありがとう熊さん

食品スーパーのおやじが、生き方について辛いことも楽しいことも含めて、心を込めて書かせてもらいました。

休みの日に仕事の電話がかかってくるのは労働基準法違反であるが下手に断るとひんしゅくを買う

せっかくの休みの日に職場から電話があるとうんざりする理由

「飯ぐらいゆっくり食わせてよ」「今、彼女と映画を楽しんでいるんだ。二人の時間を邪魔する奴は許さん」そんなのお構いなしにかかってくる仕事の電話。365日24時間拘束されているような気持ちになり、電話が鳴るたびにビクッとする。

最初は遠慮をして、申し訳なさそうにかけてきてたのに、今では当たり前のようにかかってくるようになった。かけた方は3分だけと言う気持ちだけど、出る方は心理的にその何倍もの時間、脳内で仕事の二文字が離れない。

不公平だ。損をしている。特に自分は立場的に「自分しか知らない仕事」を抱えている。だから休日の電話も多い。それなら10分につき500円いただきたいぐらいだ。

休日の日に上司から電話がかかってくる。「休みの日にまで、あなたの声を聞きたくないよ」なんてことは口が裂けても言えません。

当たり前のことですが、休みの日は労働時間ではありません。法律上でも会社は従業員の休暇中に業務命令を下すことは出来ません。

しかし、「100%、私は絶対に休みの日に電話なんか取らないよ」と言うのは現実としては難しいでしょう。緊急性がある場合や、その人でなければ分からない、解決できない場合です。

私の場合でしたら、食品スーパーの社員で、発注や、在庫管理を任されていますので、私に聞いた方が早いことが多くあり、そのため電話も多くかかってきますが、その辺は許容範囲と思うようにしています。

休んでいる人へ、どうしても電話で聞かなければいけないことがあるのは、ある意味仕方がないことだと思います。しかし、そこには配慮と言うものが必要でしょう。

休日の従業員に電話をかける時の配慮

当たり前のことだと思わないこと。仕事を休んでいる人に電話をかけることは、その人に大きな心理的負担をかけるということを認識して、申し訳ないという気持ちを伝えることです。休みの日に申し訳ございません」その一言があるかないかだけで印象はがらりと変わります。

本当にかける必要があるのか見極めること。携帯電話が普及していなかったひと昔の場合は、従業員に連絡をしたくても連絡は出来ませんでした。それでも職場は機能していました。なので、いつでも連絡出来る便利な世の中に甘えてしまうと、後でもいいようなことで電話をしてしまい。「またか?」と思われてしまいます。

私にも、休日に頻繁に職場から電話がかかってきますが、どの人も上記2点を守ってくれているように思います。

「休みの日にすみません」と配慮の気持ちが伝わるからこそ、私は配慮には配慮で返すという意味で「大丈夫ですよ」と答えるようにしています。

つまり、休日の仕事の連絡はする方もされる方も、それぞれに配慮が必要だと思います。その配慮が見えない場合はどうなるのか?そんなことを深く考えさせられた出来事があります。

店で酒を飲んでいるおじさんがいる。さぁどうする?

「くっそー。あいついい加減にしろよ」  と倉庫で怒りに震えているアルバイト君がいました。

顔を真っ赤にしながら、イラついた声で「あいつは・・・」と言う彼に、「何を怒っているんだろう?もしかして俺、何かしたかな?」と言う気持ちになり、「どうしたの?何かあったの?」と声をかけました

すると原因は、店内のお客様が袋詰めをする場所で酒を飲んでいるおじさんがいて、それに注意をしてほしくて社員に頼もうと思ったら、私も、もう一人の同僚も別のお客様の対応をしていたそうです。

しかし、その日はたまたま店長が公休なのに事務作業がたまっているからと出てきていたのでした。

そこでアルバイト君は店長に、「酔っ払いが店内にいてるから話して下さい。他のお客様が怖がってます」  とお願いをしました。しかし、予期せぬ店長の言葉が返ってきました。

予期せぬ店長の言葉

店長 「え?熊さん達は?」

アルバイト君 「熊さん達は別のお客様の対応をしています」

店長 「って言うか、俺は休みなんだよ。せっかくの休みなのに、本当にもうー」
と言う会話の後、しぶしぶ店長は酔っ払いのお客様の対応をしてくれました。ここで、私は疑問に思いました。

店長が愚痴を言ったのはどうかと思うけれど、結局店長は対応をしてくれました。

しかも、この時、まだ対応中で長い時間話しこんでいました。なので私は「で・・・でも結局店長は対応してくれたんだろ?」とアルバイト君に聞きました。

気に入らなかった理由

アルバイト君 「やってくれてるとか、やってくれてないとかは問題じゃないんです。と言うよりも、やってくれてるのは僕が、『店長しか空いている社員がいないから』と言ったからですよ」

私 「つまり、言い方の問題だな?確かに俺は休みなんだけどって言うのは店長としてどうかと思うけど、なんだかんだ言ってもやってくれているだろ?本来店長は休みで店にはいなかったんだから、そんな時はいてる従業員で何とかするしかなかったんだから」

アルバイト君 「僕が言ってるのは、家でゆっくりしている店長に、『出てきてください』と言っている訳じゃないんですよ。店にいてるんだから、お願いしてるんですよ。それじゃあ、熊さんは休みの日に店に来ていて何かトラブルがあっても、「俺は休みだから関係ない」って言うんですか?」

私 「それは言わないけれど、何かのトラブルっていうのは喜んで行くもんじゃないからな。店長が『俺は休みなのに」と愚痴った気持ちは分かるんだよ。でもそれを言われた○○君の気持ちも分かるけどね」

アルバイト君 「って言うか、あいつは何様なんですかね?」

さらに店長の日頃からの言動にたいする不満をぶつけてきました。

「あいつは、普段から熊さんたちのことを、『レジが混んでいるのにすぐにヘルプにいかない』と悪く言っているのに自分もなかなか動いてくれないんですよ」

「それに、『アルバイトも社員も関係なく自分たちの店のつもりで、もっと責任もって動け』って言ってるけど、言ってることが矛盾してるんですよ」

「大体、店を任せられている店長なんだから、何かのトラブルがあったら休みもくそも関係ないでしょ?」

と店長のことをあいつ呼ばわりする彼に危険なものを感じました。

彼は店長に抗議する気まんまんでした。しかし私は、彼のこの怒り狂った状態では、まともな話は出来ないと思いました。なので私は、「このことは俺から言うよ」と言いました。

話を聞いてもらったということで不満が和らぐ

私 「これからのこともあるし、アルバイトの口から言うよりも直接の部下である俺から言った方がいいだろ?」

アルバイト君 「いえ、もういいんです。熊さんに充分聞いてもらったから。もうこのことは無しにしといてください」

アルバイト君は心から納得したわけではないと思います。しかし、いきなり上司に不満をぶつける前に誰かに聞いてもらうことでその不満が和らいだと言うことで、「まっいいか」となったのでしょう。

「せっかくの休みなのにどうして?」の気持ちについて

この出来事はあらためて「せっかくの休みなのにどうして?」の気持ちについて考えさせられた出来事です。

記事の最初の方に、休日の従業員に仕事の連絡をするときは、2つの配慮が必要と書きました。

  1. 当たり前と思わないこと
  2. 緊急性があること(重要度が高いこと)

今回の場合は、アルバイト君に、休みの日の店長に対する申し訳ない気持ちを伝えるという配慮が足りていなかったように思いました。

しかし、緊急性はありました。店長以外の社員で手が空いている人がいない状態です。もし、酒に酔ったお客様が他のお客様に危害を加えたら、それこそ大きな問題につながりかねません。

「それは違法だ」の気持ちにとらわれて仲間の気持ちを無視する

「休みの日に申し訳ございません」という配慮が必要と思いますが、相手にその配慮がなかったからと言って、自分も配慮をしないというのは問題です。

私の場合は「ちきしょ~当たり前のように言いやがって」と心の中では思っていても表には出さないようにしています。それは表に出した時に相手に与える自分の印象を悪くする恐れがあるからです。

また相手から「せっかくの休みなのに」の感情をぶつけられたとしても、なんだかんだ言っても動いてくれた相手に対しては理解を示すようにしています。

それは、お互いの人としての感情を理解した上で、お互いにこれからも力を合わせてともに同じ職場で働く仲間だからです。

「休みの日に会社は従業員に業務命令を下せない」という労働基準法。守りたいけれど、100%なんて守れない現実に涙する毎日です。

そんな中で、最も大事なことは、お願いする方も、される方も、お互いがお互いの気持ちを理解して配慮をすることが大事でしょう。