ありがとう熊さん

食品スーパーのおやじが、生き方について辛いことも楽しいことも含めて、心を込めて書かせてもらいました。

催眠商法の営業内容の詳細がなぜ世の中に知られることがなかったのか?

外側から見てもその仕掛けは分からない

ブラック企業にアルバイトとして潜入し、その企業体質を暴いたジャーナリストが話題になったことがあります。

実際に働いてみないことには分からないことがあるからです。

ではこれが催眠商法の会社だったとしたらどうでしょう?そこの従業員として働くということは怪しい売り方に手を染めるということです。

社会の悪を暴くという意味で潜入したのなら、とてもではないが出来ることではないでしょう。

客として潜入しても仕掛けは分からない

では客として潜入するのはどうでしょう?実はこれもハードルが高いのです。

高額商品を買いさえすれば、通い続けることが可能だが、自分以外は全員お年寄りと言う中で長期間通い詰めると浮いてしまい居心地が悪くなります。

客のほとんどがお年寄りである会場では「あの人、あの若さでここに来ているけれど仕事をしているのかな?」と変に思われるのです。

さらにその手口を暴こうと思っても、マジックショーのように外側からは面白おかしく見えるだけで隠された仕掛けは分からないのです。

話される内容もどこまでが本当でどこまでが嘘なのか?どういう目的をもってその日の話がされているのか?従業員でなければ分からないのです。

従業員でなければ仕掛けは分からない

マジックショーを見ただけではマジックが再現できないのと同じ理屈でそこに深く携わった人間でなければ仕掛けは分かりません。

催眠商法の従業員には大きく分けて2つの役割で分担されています。前で話をする講師と一対一で接客をするその他の社員。

私のように両方を深く経験した者だけが、その手口の詳細を詳しく語ることが出来るのです。

しかし、日本中に山ほどある催眠商法の会社で、そこで働く従業員も山のようにいるにもかかわらず、その手口の詳細はほとんど語られていないのは不思議ですよね?

ネットで検索しても簡潔に説明されているだけです。

例えば、「閉め知った会場でお年寄りを集め、言葉巧みに熱狂的な雰囲気を演出し冷静な判断力を失わせる」といったもの。

これだけでは細かい演出や言葉の持って行き方までは分からないのです。

ではなぜ催眠商法で講師にまでなった人間はその手口を語りたがらないのか?これにはいくつか理由があります。

手口を語りたくない理由

① せっかく身に付けたノウハウを他人に教えるのはもったいない。
② 報復が怖い、手口をばらすと言うことはその会社を敵に回すことになる。どのような反社会勢力と結びついているのか分からない。命を狙われるかもしれない。
③ 詐欺をしていたことを認めたくない。

ちなみに私にとって本書を執筆するまでためらっていた理由は3番目の詐欺をしたことを認めたくなかったことです。

相手を本当の意味で騙すには自分を本気で騙さなければいけなくなるのです。

催眠商法の会社の社員は自分の会社を催眠商法の会社だと思っていてもそれを思わないようにしています。

ふざけた価格の商品でも、そこにはきちんとした理由があると納得した上で営業をしています。

心の中に迷いがあるうちは本当に強い営業は出来ません。

そうして自分のやっていることを必死で正当化しようと努力するのです。自分で自分に「これは悪いことではない」と言い聞かせ続けます。

客もそんな自分を信じて買ってくれるのです。そして客と深いつながりが出来るようになり、それは辞めた後でも続きます。

私も辞めた後に何人もの仲良くなった客から電話が来ました。

覚悟の出版

自分のことを本当に可愛がってくれた客。応援と言う形で何度も買ってくれた客。
そんな客に、今さら「詐欺でした」とは言えないものです。

催眠商法のターゲットはお年寄りであり、本気でそれに取り組めば組むほど自分を信じて買ってくれるお年寄りが増えていきます。

そんな人の顔が目に浮かび、手口をばらす気はなくなります。

なので、みんな辞めた後でもその手口を語らないのでしょう。

しかし私は決断しました。本気で誰も書きたがらないことを書かずして世の中は変わらりません。

この本には催眠商法が2か月間営業していく順番でその話の流れの詳細が書かれています。

これは命を狙われるかもしれない覚悟の上で書いたものです。

 

 

 

あやしい催眠商法 だましの全手口  身近な人を守るために知っておくべきこと

あやしい催眠商法 だましの全手口 身近な人を守るために知っておくべきこと

 

 「あやしい催眠商法だましの全手口身近な人を守るために知っておくべきこと」

単行本: 230ページ
出版社: 自由国民社 (2018/11/2) 

筆者 ロバート・熊

イラストレーター にゃんとまた旅/ねこまき

身近な人を守るために知っておきたい催眠商法の現場を元社員が詳細に明かした本です。

★本書の特徴
1.いかにしてお年寄りのこころを奪うか、元・詐欺会社の社員が明かします。   
2.ネット上にある催眠商法の説明はごく簡素なものですが、事実はかなり込み入った内容です。本書では複雑で巧妙な手口をあますことなく紹介いたします。
3.まず近づかないことが一番ですが、もし被害にあってしまった場合の有効な対策もわかります。