ありがとう熊さん

食品スーパーのおやじが、生き方について辛いことも楽しいことも含めて、心を込めて書かせてもらいました。

多くの先輩は雑用から少ないチャンスを大事にする気持ちで這い上がっている

不動産の営業の仕事をしていた時の事、小さな店に従業員が3人だけの営業所に配属された。そこの所長にいつも雑用をまかされた。

机の雑巾がけ、窓ふき、書類の整理、営業とは関係のない雑用に嫌気がさしていた。こんなことをするためにこの会社に入ったのではない。

営業がしたくて入ったのだ。雑用ばかりさせられて肝心の営業の能力が磨かれない。営業成績も良くない。それなのに所長は会社でも営業成績が上位の人だった。

私がこの所長の雑用を引き受けているから所長は営業に集中出来る。だから結果が出るんだと思った。不満がどんどんたまった。

ある日所長から、「後で、これを見に行ってくれ」と新しい物件の資料を渡された。正直「またか?」と思った。「自分で見に行けよ」と心の中で叫んだ。

「後で」と言う言葉通り、後回しにしようと思った。自分の机の上にたまっているいつもの仕事を先に進めた。一時間が経っても、二時間が経っても一向に見に行く気配がない私に所長がカミナリを落とした。

「お前、いつになったら見に行くんだ」不満がたまっていた私はこの時、初めて言い返した。「後でと言われたので後でいいのだと思っていました」所長はさらに怒り「後でといっても指示した方はすぐにやって欲しいもんだ。自分の仕事を優先させているのだと思うが、それこそ後でいいものじゃないか?今すぐに行け」と。

これ以上所長を怒らせても仕方がないと思いしぶしぶ物件を見に行った。所長の営業の力はすごいと思っていた。

しかし、この所長の下にいてたら私は成長出来ないんじゃないか?小さな店に三人しか従業員がいない。この状況はいつまでたっても雑用だけで終わってしまうんじゃないか?腹が立ち、もう一人の先輩に相談した。

先輩は私の不満に共感してくれた。

「こんな仕事をするために会社に入った訳じゃない。その気持ちは充分に分かる。しかし、その仕事は誰かがやらなければいけない仕事として存在する。君が休みの時は私がやっている。この前は接客で忙しい所長の代わりに、薬局で薬を買いに行った。なんで?と思ったけど他に人がいないから仕方がない事と割り切った」

先輩は雑用をきっちり受け入れている。でもそれだといつまでも肝心の営業のスキルは磨かれないんじゃないか?私の不安に先輩は答えてくれた。

「どこへ行っても雑用から逃げることは出来ない。それで給料をもらっているんだから。だから現実として受け入れなければいけない。しかし、君が不安に思う気持ちも分かる。このままいけば雑用しか出来ないベテランになるんじゃないか?でもそれは私たち次第だと思う。現実を受け入れることで、見返してやろうというモチベーションが上がる。そのモチベーションが工夫になり、少ないチャンスを大事に出来る気持ちが生まれる。そこから這い上がるのが私たちだと思う」と。

先輩の言葉を聞いて、苦しんでいるのは自分だけではないと感じた。

 

 

あやしい催眠商法 だましの全手口  身近な人を守るために知っておくべきこと

あやしい催眠商法 だましの全手口 身近な人を守るために知っておくべきこと

 

 

 

「あやしい催眠商法だましの全手口身近な人を守るために知っておくべきこと」
単行本: 230ページ
出版社: 自由国民社 (2018/11/2) 
筆者 ロバート・熊
イラストレーター にゃんとまた旅/ねこまき
身近な人を守るために知っておきたい催眠商法の現場を元社員が詳細に明かした本です。
★本書の特徴
1.いかにしてお年寄りのこころを奪うか、元社員が明かします。   
2.ネット上にある催眠商法の説明はごく簡素なものですが、事実はかなり込み入った内容です。本書では複雑で巧妙な手口をあますことなく紹介いたします。
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