ありがとう熊さん

食品スーパーのおやじが、生き方について辛いことも楽しいことも含めて、心を込めて書かせてもらいました。

何かがぶつかる大きな音がした時は、めんどくさくても見に行かねばならない

小さな焼き鳥屋で修行をしていたときのこと。連日、夜遅くまでの営業で、ほんのわずかな睡眠しか取れずとても眠たかった。しかしやらねばならないのが仕込みだ。これは朝の10時からの単調な作業でとても眠気を誘った。

そんな仕込みの最中に店の外から「ガガガガ」と何かがぶつかった音が聞こえた。店の中が振動で揺れた。「これは何?」そう思った後、窓越しに一台の大きなトラックがゆっくりとまるでこちらの様子を見るように通り過ぎていくのが見えた。

そのトラックが何かをしたのかも知れないと思ったがすぐには見に行かなかった。
「めんどくさい。もし何かしたのなら相手から言ってくるだろう」と思ったからだ。しかし、数分しても何も言ってこなかった。言ってこないということは大したことではないのかもしれないと思った。

しかし、そう思うのはめんどくさいからそう思いたいだけで、もしかしたらとんでもないことになっている事も考えられた。そこで、やはり見に行った方がいいのかなと考え直し、眠気で重い体を動かし、店の外に見に行った。

すると数人の通行人が店を見ていた。私も見るとビックリした。店の煙を外に出すダクトが大きく壊されていた。その壊れた所から黒い油がボトボトと流れ落ちてきている状態だった。

この様な状態では店は営業出来ない。修理するにしても大きなお金がかかるだろう。そう思うとすぐに見に行かなかった自分に腹が立った。犯人はさっき窓越しに見たトラックに違いないと思った。逃げられたのだ。どうしよう?後悔先に立たずで悔しさで一杯になった。

しかし、そんな私に通行人の一人が声をかけてくれた「多分あのトラックだと思うよ」
見ると近くの店に荷物を降ろしているトラックが止まっていた。店のダクトにぶつけた後、一旦見えないところまで走っていったのだが、配達の仕事があるからと近くに戻ってきたようだ。

早速声をかけに行った。「もしかしてぶつけました?」するとその運転手のおじさんはビックリした表情をした。

そしてこう言った。「運転していて木の枝か何かにちょっとぶつかった様な気がしましたが大したことはなさそうだからとそのまま立ち去ったのですが・・・」

この男は絶対に嘘をついていると思った。店の中まで大きな振動があり、ダクトが大きく壊され外れている。ここまで大きくぶつかったのなら絶対に気付くはずだからだ。窓越しに店の中にだれも居てなさそうだと思い逃げたのだろう。

「ちょっと見に来てください」と言い、おじさんに店まで来てもらい、ぶつけられたダクトを見てもらった。

おじさんはぶつけたことを認めた。なぜならトラックも大きくキズが付いていたからだ。シラを切ろうとしても切ることは出来ないからだ。ダクトのぶつけられた位置とトラックのキズの高さは一致するのだ。警察を呼び、状況を確認してもらい相手の保険で全額補償をしてもらうことになった。

もしあのままトラックが遠くに逃げたままだったら犯人は分からないままになっただろう。ましてや、「私がやりました」という言葉も期待できないだろう。

たまたま通行人が教えてくれたから助かった。やはり何かがぶつかる大きな音がした時は、めんどくさくても見に行かねばならないと思った。

 

 

あやしい催眠商法 だましの全手口  身近な人を守るために知っておくべきこと

あやしい催眠商法 だましの全手口 身近な人を守るために知っておくべきこと

 

 

 

「あやしい催眠商法だましの全手口身近な人を守るために知っておくべきこと」
単行本: 230ページ
出版社: 自由国民社 (2018/11/2) 
筆者 ロバート・熊
イラストレーター にゃんとまた旅/ねこまき
身近な人を守るために知っておきたい催眠商法の現場を元社員が詳細に明かした本です。
★本書の特徴
1.いかにしてお年寄りのこころを奪うか、元社員が明かします。   
2.ネット上にある催眠商法の説明はごく簡素なものですが、事実はかなり込み入った内容です。本書では複雑で巧妙な手口をあますことなく紹介いたします。
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