ありがとう熊さん

食品スーパーのおやじが、生き方について辛いことも楽しいことも含めて、心を込めて書かせてもらいました。

教えてくれる人を打ち負かすと、「可愛くない奴だ」とチャンスから遠ざけられる

 

独立も夢ではない仕事

工事現場の職人になったことがある。理由は自分の腕一本で食べていける世界に憧れたからだ。

一人前になれば独立も夢ではない。どうせやるなら一番の職人になってやる。職人になったばかりの私はやる気に満ち溢れていた。

職人の世界は腕の良し悪しが大きく物を言うのだ。体力に自信があった私は認めてほしい一心で頑張った。頑張れば頑張るほど、大事な仕事を任されるようになった。どんどん自分の腕が上達していくのが嬉しくて仕方がなかった。

自分の速さを見せつける

何年かして、最後の仕上げ以外は任されるようになった。しかし、最後の仕上げは最も技術がいる仕事だ。それが出来て初めて一人前と言える。早く仕上げがしたい。同僚よりも1日でも早くと思った。

そんな私は仕上げの一歩手前の仕事で認められるようになった。その仕事をする時、自分の速さを見せつけるようになっていった。先輩と一緒にその仕事をしても速さで負けることはなくなってきた。

そんな私に先輩は「毎日同じことをしてたら速くなるもんだな」と言った。先輩の悔しい気持ちの表情が見れた。自分は嬉しくなり「こうすればもっと速く出来ますよ」と自分なりの理論を先輩に逆に教えた。早く認めてほしいからだ。そして最後の仕上げを任せてほしいからだった。

こんなに僕は頑張っているのに?

しかし、自分よりも後輩の方が先に仕上げを任されるようになった。「なぜ?」と先輩職人に聞いた。先輩職人は言った。「それは彼の方がセンスがいいからだよ」この言葉にとても腹が立った。

こんなに自分は頑張っているんだ。何で分かってくれないんだ。次のチャンスを待つしかないのか?しかし何年たっても仕上げを任せてもらえる気配が感じられなかった。早く一人前になりたいのにチャンスがなかったらどうしようもない。

そのうち後輩たちにどんどん先を越された。最後の仕上げをやらせてもらえなかったのだ。場数を踏まなければ仕上げの作業を覚えることは出来ないのだ。

後輩にどんどん追い抜かれる

そのうちに私の職場での立ち位置は年数が経っている割には仕上げの出来ない人。そして仕上げの一歩手前のスペシャリストのような扱いになった。とても不本意な立ち位置だった。

一つの作業のスペシャリストとしての扱いであるから毎日そればかりの仕事になったのだ。それ以外の作業について腕を磨く機会が与えてもらえなかったのだ。

気が付いたらどんどん後輩が一通りの仕事を覚えて一人前になっていく中で私だけが一つの作業のスペシャリスト扱いのままで職人として半人前のままでいてることに我慢できなくなってきた。

そしてこのままここに居続けていても自分への扱いは変わらないだろうと思った。この得意な作業だけをやらせておこうという扱いから脱出できないような気がしてきたのだ。そして、我慢出来なくなり職場を去った。

後で後悔した。先輩にとって自分は可愛くなかったのだろう。しかし、今さら可愛く出来ない感情も芽生えていたのだ。余計なプライドは年数とともに大きくなるものだ。

 

 

あやしい催眠商法 だましの全手口  身近な人を守るために知っておくべきこと

あやしい催眠商法 だましの全手口 身近な人を守るために知っておくべきこと

 

 

 

「あやしい催眠商法だましの全手口身近な人を守るために知っておくべきこと」
単行本: 230ページ
出版社: 自由国民社 (2018/11/2) 
筆者 ロバート・熊
イラストレーター にゃんとまた旅/ねこまき
身近な人を守るために知っておきたい催眠商法の現場を元社員が詳細に明かした本です。
★本書の特徴
1.いかにしてお年寄りのこころを奪うか、元社員が明かします。   
2.ネット上にある催眠商法の説明はごく簡素なものですが、事実はかなり込み入った内容です。本書では複雑で巧妙な手口をあますことなく紹介いたします。
3.まず近づかないことが一番ですが、もし被害にあってしまった場合の有効な対策も分かります。

大型書店の法律書の棚に並べられていることが多いです。
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