ありがとう熊さん

食品スーパーのおやじが、生き方について辛いことも楽しいことも含めて、心を込めて書かせてもらいました。

結局のところ人を傷つけるのは人で、人を癒すのも人なんだよな。

勤め先の食品スーパーに常連のお客様からクレームの電話がかかってきた。

レジでの数の打ち間違いだった。「今すぐに来い」と言われ、お客様の家に行った。車で30分ほどかかった。多少混んではいたもののそれぐらいの時間はかかる距離だった。

しかし「どうしてすぐに来いと言ったのにこんなに時間がかかったんだ?」と怒られた。

すぐに謝ったが「俺はどうして?と聞いてるんだ」と言われ「急いだつもりですが多少混んでいて抜け道を知らないために遅くなりました。申し訳ございません」と謝った。

そして、「どうしてこんなミスをするんだ」と大きな声で怒鳴られた。ひたすら頭を下げて謝った。お客様は最後まで怒った表情でいてた。このお客様は、普段はとても穏やかな人だから、普段とのギャップにとても辛い気持ちになった。もうクレームは嫌だと思った。

先輩に相談した。「そんなのは慣れるしかないよ」という言葉が返ってきた。謝るのも仕事のうち。そんなことは分かっているけれど、どうもやりきれなかったのだ。

お客様から怒鳴られた時はそれがトラウマになるのだ。電話が鳴るたびにこれはクレームじゃないか?どうしよう?と恐怖を感じるようになった。その場から逃げたくもなった。

そんなある日、またクレームの電話があった。こちらで用意した注文品の数が足りないというクレームだった。足りない分を持っていくことにした。

車で40分、近くまで到着し車から降りて家を探したがなかなか見つからなかった。近くのバス停で、お客様に電話をした。するとお客様は、「かなり分かりにくい所に家があるのでこちらから行きます」と言ってくれた。バス停で待つことにした。

5分ぐらいしてお客様が歩いてきた。謝る私に、お客様は笑顔で「わざわざ持ってきていただいて有難うございます」と言ってくれた。本来であれば家を探し出して訪問しなければいけないところお客様から、家の外に出てきてくれたことに感謝をした。

お客様は、「こんな遠いところまで大変ですね」と温かい言葉をかけてくれた。その帰り道は心に温かいものが生まれたように感じた。

どなり声は心に大きなダメージが与えられるが、温かい声は心を温めてくれると思った。

人生では謝ることから逃げることなんて出来ない。人間である以上ミスをするからだ。怒鳴られた時は心に大きなダメージがつく。しかし、そのダメージを引きずっては駄目だ。

人に優しくしようという気持ちになれないからだ。気持ちを切り替えることが必要だ。

じゃあどうすればいいのだろう?

人から聞いた話では動物と触れ合う事がいいと聞いたこともある。

確かに一理ある。可愛い動物は現実を忘れさせてくれる。

しかし、職場に行くと現実に引き戻されてしまう。結局人を傷つけるのは人で、癒すのも人だ。

怒鳴られて傷ついても、頑張り続けていたら誰かがきっと温かい言葉をかけてくれる。怒鳴られる事ばかりに落ち込んでいては駄目だ。温かい声を思い出し、前向きに生きた方がいいと思った。

 

 

あやしい催眠商法 だましの全手口  身近な人を守るために知っておくべきこと

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