山盛り陳列で目立つ商品は売れる?品薄でお客様は急いで買う?販売員の心の中
長年、物を販売する仕事をしている私たちの心の中
今回は、長年食品スーパーの従業員として働いている私たちの心の中にある思いをお伝えしたいと思います。
それは、思い通りにお客様は買ってくれないということです。なぁんだそんなこと当たり前じゃないの?という声が聞こえてきそうです(汗)。
しかし、販売する方は熱を入れれば入れるほど、そのギャップに頭を悩ませています。それは私たち食品スーパー内の人たちだけでなくメーカーさんもです。
大々的に売り出すビールメーカーの新商品
定期的にテレビのコマーシャルやら、新聞の広告とかで「ついに出た」「衝撃の〇〇」と華々しいデビューを飾る新商品のビール・チューハイ・第3のビール。
近所のスーパーに行くと大きな看板がぶら下がっていて、山盛りに陳列していませんか?発売と同時にものすごく売れているように演出している陳列です。
どこのメーカーのどの商品かっていうのは言えないけれど、確かに宣伝の効果で一時的に売れはするんですよね。
でも、期待をして山積みにするほどでもないということがそのうち分かってくるんです。つまり売れ残ってくるんですよ。
あれだけ「ついに出た」と騒いでいた商品の話題を誰も口に出さなくなる。
それでね、やっぱり売れるのは昔からお客様がついている定番の商品に落ち着いてしまって、後に残ったのは在庫の山。
下手すると、あまりにも売れたのは最初だけと言うことで、店に陳列する定番からカットされることもあるんですよ。
まぁ、購買心理を刺激するのはとても難しいし、たとえ刺激できても、その持続性は年々短くなっているように感じます。
売る気満々の売り場が不発に終わる。
食品スーパーでは、出来る限りボリュームのある陳列を心掛けているんです。商品がたくさん山積みされている方がお客様の購買意欲は高まる。これは定説ですから。
しかし「あっ、やばい、このままでは売り切れてしまう」って言う時も購買意欲は高まるようです。
具体的には、食パンが山積みの時は売れ方が緩やかなのに、残り10個になったとたんに一気に売り切れてしまうんですよ。
売れるスピードが高まるようです。これは「早く買わなきゃなくなる」という心理が働くからでしょう。
では、売れなかったのは商品を山積みにしていたからなのか?
会社から販売に力を入れなさいと指示された商品をね、なかなか売れないからとわざと売れているように、ところどころ歯抜けにして陳列する。
販売する方はなんとかしてと言う気持ちであの手この手を使うのですね。そんな中ではね、山済みの陳列というセオリーすら疑いたくなる時があるんですよ。そのことで最近、パートさんとプチバトルになったんです。
以下はその様子を4コマ漫画にしたものです。
なぜ、山積みしているから売れ残ったと感じるのか?
それは、長年発注をしている私の心の中にある「あっ、やばい!このままでは売り切れてしまう(汗)」という商品ほど一気になくなるという苦い経験からきているんです。
苦い経験ほど、記憶に残るんですね。本来商品を販売する立場として、売れたら喜ぶべきところが、発注者にはお客様には決して言えない不都合な心理がどこかに生まれることがあるようです。
発注を任されている立場として、やはり売れ数の見込み違いで早い時間に売り切れてしまうのは情けないものなんですね。
だから、残り僅かになった瞬間に一気になくなるように見えるんですよ。無情にもなくなっていくように見えるんです。
こういった苦い経験から、発注者は、山積みしているよりもわざと少しだけの陳列にしたほうが購買心理は高まるのではないか?と思ってしまうんですね。
明日までの日付けの豆腐が山済みになっている。なかなか売れないものです。しかし、自然な流れで残り20個ぐらいの時は日付が近くても、値引きしなくて、す~~~と全部売れてしまうんです。
では、意図的に残り20個ぐらいにしたら?
実際に日付が新しいものを売り場に出すとそちらばかり売れてしまうので意図的に新しいものを出さずに少しだけの陳列にすることがある。
しかし、これはね、思い通りに売り切れてくれないことがあるんです。あとちょっとの数が売れないんですよ。
ところが自然な流れで残り20個になった時は日付に関係なくかなりの確率で、一気に売れるようです。
つまり、意図的な場合は、上手く行かないことの方が多いと感じます。
売れなかったのは山積みのせいか?
さきほどのパートさんのバトルで私が吐いた言葉。「売り場にいっぱい並べているから逆に売れなくなっている」というのは私の勘違いも入っているのでしょう。
意図的にいっぱい並べているものを少しにしても効果があるかどうかはその時次第です。
パートさんが言う通り、お客様の立場からするとたくさん並んでいた方が買う気になるというのはあるでしょう。
そういう意味では、発注者として長年の経験が逆に勘違いも生むようです。気を付けなきゃなって思った私の経験談でした。