ありがとう熊さん

食品スーパーのおやじが、生き方について辛いことも楽しいことも含めて、心を込めて書かせてもらいました。

「どうしてあなたたちの意見は批判ばかりなのですか?」と上司に言われて気づいたこと

「どうしてあなたたちの意見は批判ばかりなのですか?」

私が勤める食品スーパーでは月に一回、役職別に本部で会議が開かれます。販売促進のための会議です。

各店の社員が店での取り組みについて発表し、それについて上司から順番に意見を求められます。

ある日の会議での出来事です。その時、発表した社員の取り組みがあまりにも、つっこみ所の多い内容でした。そこで意見を求められた私たちは・・・

ここも駄目、そこも駄目と、駄目出しばかりの意見を言いました。

これに対して上司は「どうしてあなたたちの意見は批判ばかりなのですか?」と言いました。

「意見を求められたら、いいところと悪いところ両方探してください」

さらに上司は「意見を求められたら、いいところと悪いところ両方探してください」と話されました。

その理由は・・・

同じ会社の仲間であり、仲間が一生懸命に取り組んだ内容だからです。悪い点ばかりが目に付くのは仕方がないとしても探せば、評価できる部分はあるはずです。

まずは、いい点も悪い点もバランスよく意見してください。それが結局意見する人の力になります。いい点を伸ばし、悪い点を改善する力が身につきます。

この上司の言葉を聞いて・・・

確かにそうだなと思った私。同じ職場で働く以上、相手の悪いところばかりを指摘するのではなく、相手が頑張ったことに対するねぎらいの言葉や、良い点も見つけてあげるのは、一つの思いやりだと思います。

そんな気持ちでいてた時の、あるエピソードがあります。

長期休養していたとても頼りになる従業員が戻ってきました。

一年ぶりに戻ってきた、ある事情で休んでいたパートさん

調子のいい言葉で迎え入れる私

「寂しかったよ」

「またまた、うまいこと言って」

休んでいる間パートさんは・・・

「熊さん、実は私ね、一年間休んでいる間にね」

「店の前を通るたびに、あぁこの店は私がいなくても全然大丈夫なんだって、なんだか寂しくなっちゃってね」

職場にいけないことを不安に思っていました。

「ははは、そんなの気にしすぎですよ。相変わらず面白い人ですね」

それに対してパートさんは、にっこり笑顔で返しました。

そんなパートさんの個性とは?

とってもお登りさんです。

認められるのが大好き

褒められるのが大好きなお登りさんです

「見て見て、熊さん、私が一人でやった売り場、ばっちりでしょ」

自分が仕上げた売り場で、さっそく高い評価をもらいたいようでした。

私は思いました。「確かに上出来だよな。でもあとここだけを直したら完璧だよな。よしっ」と。そして・・・

「うわぁー、惜しい、あとここだけ直したら100点ですよ」と改善点を「惜しい」と表現する私

「えー、100点だと思ったのに」

ちょっぴり残念そうなパートさん。

100点をとる難しさ。

「そう簡単には100点はあげられないですよ。でもね・・・」

「その明るさは100点満点ですよ。はははは・・・」

良いところは評価したいものです。

やる気が倍増する「惜しい」のもつ力

人は、あと少しでゴールという場面で特に力を発揮します。私が言った「惜しい」の言葉には「あと少しでゴールだから頑張ってください」のメッセージが込められています。

改善すべきところを探そうと思えばいくらでも出てくるのですが、一つに的をしぼって「惜しい」と言うことでやる気が倍増します。

人は相手の駄目なところに目がいきやすい。

人は意見を求められると、ついつい駄目なところを探してしまうことがあります。

良い部分よりもそうでない部分に目が行ってしまいがちです。なので、最初に紹介した会議での話にでてきた上司が言ったように・・・

良い部分とそうでない部分をバランスよく見るように意識することは大事でしょう。

それが評価を求められたときの相手への思いやりだと思います。あの時私が「惜しい」と言った理由は・・・

「あと少しで100点」ということを大きく評価したいという気持ちがあったからです。

そして私たちは組織の中で生きる上で息を合わせることが大事です。

あの時の会議で、同僚の駄目だしばかりをする私たちは配慮が足りていませんでした。そんな私たちに上司は、「どうしてあなたたちの意見は批判ばかりなのですか?」と言われ、ハッと気づかされました。

その後、上司から教えていただいた、「意見を求められたらいいところも悪いところも両方探してください」と言う言葉が素晴らしいと感じました。

その姿勢は、みんなで気持ちよく息を合わせてチーム力を最大化させるうえで必要なことではないかと今では実感しています。