ありがとう熊さん

食品スーパーのおやじが、生き方について辛いことも楽しいことも含めて、心を込めて書かせてもらいました。

「好き勝手なことを言いやがって(怒)」と理不尽なお客様の言葉に傷ついた心をどう納得させるべきか?

どうしてお客様は好き勝手なことを言えるんだろう?

接客業をしていて、ふと思うことがあります。それは、私たちがお客様に対して、それは違うだろ?とツッコミ所がある内容でも、出来る限りお客様を傷付けないように、

「確かにおっしゃる通りですね」

「お気持ちは分かります」

「私もそう思います」

など、お客様に共感をする姿勢を見せているのに対して、お客様は思ったことをストレートに言うことが出来、「はぁー、なんで俺はこんな仕事を選んだんだろう?」とため息をつくことがあります。

食品スーパーに勤める私たち、社員だけでなく、パートさん、アルバイトさんも同じような悩みを持つことがあり、その都度愚痴を言ったり、慰めたちの毎日です。先日もこのようなことがありました。

私の対応に首をかしげるパートさんの話

パートさんが私に近づき、「熊さん、あのお客様ね。パンの袋を自分で破っておいて交換してくれって言うの。それで断ったら、今度は値引きしろって言うの。だから相手してあげて」と言ってきました。

さっそくお客様に話を聞きました。すると、お客様によるとただ持ち上げただけで袋が破れたそうです。「わざとじゃないですよ。わざとこんなことするわけないでしょ」と言われました。

どう見ても持ち上げただけでの破れ方ではありませんでしたが、誰も破っているところを見ていません。なんの証拠もない状態ですので、交換に応じることにしました。

しかし、ただ「交換します」だけでは、「あのパートの人は駄目と言ってたのに人によって対応が変わるのか?」と二次クレームが起きることが考えられます。

なので、「本来であれば交換出来ないのですが、今回は最初から破れてたと思いますので交換させていただきますね」と言いました。

後で、そのことをパートさんに言うと、「え~~、どう見ても自分で破ったとしか思えないのに、それって、おかしいですよね」と首をかしげていました。

私は、「でも、お客様にそういわれたら仕方がないですよね」とパートさんを納得させました。

話はそれだけでは終わりません。同じ日に私にも「理不尽だな」と思うような出来事がふりかかってきました。

いつもではないのに「いつも売り切れてる」と言うお客様の話

「兄ちゃん、これの在庫はあるか?」とお客様に言われ、たまたま品切れをおこしていた商品なので、「申し訳ございません」と謝りました。

するとお客様は・・・

「いつも、品切れさせてるな」と言いました。

後になり、悔しさがこみ上げてきました。その商品を品切れさせたのは、今回が初めてだと思うのです。そう簡単に品切れしない商品です。

それを「いつも品切れさせてるな」と言われるのは、理不尽じゃないのか?なんでそんな勝手なことを言うんだろう?

もやもやした気持ちになり、誰かに聞いてもらいたい。そんな気持ちでいてると、先ほどのパートさんが事務所で帰る準備をしていたので、話を聞いてもらいました。

すると、パートさんは私に・・・

「それこそ仕方がないことですよね」
と言ってきました。「いやいや、それは違うだろ?」「仕方がないことではなくて、腹が立っているんです」と思いましたが、「まっいいや」となりました。

接客では自分を出すことは出来ないという話

いかがでしたでしょうか?お客様に対して、「いや、それは違うでしょ?」とつっこみたいけれど、つっこめない私たちのストレス。

もやもやした気持ちが後に残ることが多々あります。このもやもやした気持ちをどこにぶつけたらいいのでしょうか?ストレートに言うことが出来ないという悩ましい問題です。

しかし、接客の世界では昔から「自分をだすな」という教えがあります。店員は、店に入った時点で、そこの店の人になるのです。自分がしたミスでなくても、その店で起きたミスには、その店の人として謝らなくてはいけなくなるのです。

そんな時に、「いや、自分は違いますから」とは言えません。理不尽だなと思っていても店の中では自分を出すことは出来ません。これは接客の世界では仕方がないことです。

納得と言うものはみんなの協力のもとに築かれる。

今回私が言いたいこと。それは、接客をする立場は言いたいことをぐっと我慢しなければいけない場面がたくさんあります。

それに対して、なんでも思ったことをストレートに言うお客様に対して、もやもやした気持ちになることがあります。

どうにも納得できない。あの時、思い切って言ってやるべきだったのか?いろいろよからぬことを考えてしまいがちです。

そんな時は、やはり「人を傷付けるのは人であり、人を癒すのも人である」と言う言葉通り、誰かに共感してもらうことで心が救われることがあります。

今回の話で言えば、「仕方がないよね」と言われて、すぐには納得できなかった私ですが、その言葉があったからこそ、「まっいいや」となったのです。

「仕方がないよね」・・・確かにそうなのですが、自分一人で悩むよりも誰かに言ってもらった方が納得に至りやすいでしょう。

つまり、納得と言うものは仲間との協力のもとに築かれるということです。