ありがとう熊さん

食品スーパーのおやじが、生き方について辛いことも楽しいことも含めて、心を込めて書かせてもらいました。

セクハラが許される男と、許されない男の境界線を探るのは夢のまた夢で終わる

「お前、老けたな~」

テレビのバラエティー番組で活躍のオアシスの大久保佳代子さん。この方は昔、コールセンターで勤めていたそうです。

女性ばかりの職場に男性の上司が一人。おしゃれで、話し上手で、爽やかなイケメン上司。その男性にひそかに憧れていたという大久保さん。

昔の職場の仲間と久しぶりの同窓会を番組でやってもらい。最後はお決まりの「そういえば佳代子って、あの人のことが気になってたんだよね」っていう風なくだりで、その上司が登場するっていう、いかにもなパターン。

昔の爽やかさが健在の元上司の姿にスタジオからも「おぉ~~」の声が上がり、そして、焦る大久保さん。イケメン爽やか元上司は大久保さんに近づき一言・・・・

「お前、老けたな~」と言いました。

許されるキャラは何かを持っている。

大久保さんは、「久しぶりの再会で何を言い出すんだよ」と言わんばかりの表情を見せましたが、「もぅ、この距離なのよ~」と元上司の自然に相手の懐深くに入っていく様を笑いに変えていました。

私の記憶に頼った番組の内容なので、若干登場人物の言葉は違うと思いますが、イケメンで爽やかな元上司のいわゆる「許されるキャラ」というものは、とっても印象に残っています。

そうそう、こういう人っているよな~と妙に感心しました。男女問わずこういう、普通に考えたら失礼な言葉でも、なぜだか許されるような空気にしてしまう。その人が持つ何かが気になってしまいました。

許されるキャラへの嫉妬

とくに、私には、そういう「許されるキャラ」と言うものがないがために、そういう人種を見ると嫉妬をしてしまいます。

そして、女性に対して同じようにきわどい言葉を投げかけても、許される男性とそうでない男性がいるのも気になるところです。

転職回数9回以上ある私は、様々な「許されている男性」を見てきました。同じ男性として、「それってアウトじゃねぇの?」と思える会話でもその人の持つ雰囲気だとか、打ち解けている両者との関係などが、「も~~う、悪い人(笑)」で済まされているケース。

そんな場面を数多く見てきて思うことが、この差は一体何なんだ?と言うことです。
戦略的に許されるキャラになれるのか?

捉え方によってはセクハラになるのではないかと思われる発言をしても、「もう、悪い人(笑い)」となることもあれば、「キモイ(怒)」となることもある。

どっちが、人間関係に有利なのか?そう思うと「この人はこういう人なんだから」で片付けられる前者の方が有利に見えて仕方がありません。

そこで生まれるのが、「これは戦略として使えないか?」「と言うよりも戦略としてこのようなキャラを自分に付けることは出来ないか?」という想いです。

しかし、それにはとんでもない落とし穴があると気づかされた出来事があります。

女性は我慢していることを知るべきだと感じた出来事

男性が女性に対し性的な嫌がらせをする時、男性は冗談のつもり、相手と楽しくコミュニケーションをとっているつもりでも、女性にとって、とても辛い我慢をさせていることがあります。

「これぐらいなら大丈夫だろう」

「ほんの少しだから」

「冗談で済まされているから大丈夫なんだ」

と思いがちですが、冗談で済まされているのではなく、女性が我慢をしていることを知るべきだと感じた出来事です。

そしてセクハラは解雇という大きな制裁が待っいてることを今更ながら、感じた出来事です。

食品スーパーに。長年勤めていると信じられないような出来事に出くわします。

「セクハラ社員を出せ!」と旦那さんは怒鳴りこんできました。

他店から移動してきた社員は移動前の店でセクハラの注意を受けたことのあるA君でした。話によるとアルバイト女性に「寒いから手を温めてあげる」と言い手をぎゅっと握ったそうです。

そこの店長にアルバイト女性は相談し、A君は、うちの店舗に異動になりました。勤務態度はまじめで、良く動き、頼りになる男でした。

しかし、ある日40代前半のパートさんの旦那さんが店に怒鳴りこんできました。「○○ってやつにうちの嫁がセクハラされている」「○○をだせ」と。そして私と、A君と旦那さんの3人で話をすることになりました。

A君はパートさんにどんなセクハラをしてたのか?

耳に息を吹きかけた。

着替えて帰ろうとしてた時に、背中が開いている服を着ていて、その背中を「温めてあげる」と言って触った。

肩や腰を触ってきた。

何でそんな事をしたのか聞きました。

彼は「冗談のつもりでした」と小さな声で答えました。パートさんはとても明るい性格で、おそらく彼は冗談を受け入れてもらえていると勘違いしたのでしょう。

A君に肩や背中を触られた時、パートさんは「止めてください」と言って逃げたのですが、大声をだしたり、誰かに助けを求めることはしなかったそうです。

そして他の社員に相談しようと思ったそうですが、目撃者のいない状態でこんなことを言っていいのか悩んだそうです。どうしていいか分からず、ついに旦那さんに相談したそうです。

「冗談のつもりでした」のA君の返事に旦那さんはさらに怒りました。

「冗談でしてもいいことか?もし逆の立場で自分の嫁さんがそんなことをされたと知っ

たらお前はどうするつもりだ?」A君は黙りこみました。

A君は解雇されました。

異動前の店舗で問題を起こし、注意されていた彼。2回目で、しかも言い逃れの出来ない状態で解雇になりました。

この件の後、知ったのですがA君は別のパートさんの肩もポンポンと叩いたり、「あっごめんごめん」と言いながら脇腹をつついたりしていたそうです。パートさん達はこれぐらいで怒っていいのだろうか?と悩んだそうです。

A君は恐らく冗談で済まされているから大丈夫と思ったのでしょう。冗談で済まされているのではなく、女性が我慢をしていることをA君は知るべきでした。そしてセクハラは解雇という大きな制裁が待ってることも知るべきだったと思います。
セクハラなのか冗談なのか?

A君と同じようなことをしてもセクハラではなく冗談で済まされる。そんな場面も今まで沢山見てきました。例をあげますね。

飲み会で、男性従業員が女性従業員の肩に手を回したり、腰に手を回したりする姿を見たことがありますが、女性従業員は普通に接していました。

別の会社で社員旅行(海外)で女性従業員がそばにいるのにかかわらずに性的な話で盛り上がる男性従業員を見たことがありますが、女性従業員は聞いていないふりをしていました。

どこまで許されるか攻めすぎたA君。

しかし、冗談で済まされているのではなく、女性が我慢しているからセクハラとしての制裁がないのです。

これぐらいは冗談で済まされているから大丈夫と思うことは今回のA君のような大きな制裁が待ってることを認識することが大事でしょう。

今回のケースで私が注目したのはA君の「冗談のつもりでした」と言う言葉です。彼はどこまで許されるのか?と言うことを攻めすぎたように思います。

許される境界線を探る行為は危険な行為である。

男女問わず、馴れ馴れしいような印象を私は彼に持っていました。そんな彼からは、セクハラと思われることでも、自分の立ち位置がどこまで許されるかを探っていたように見えるのです。

これはとても、危険な行為だと思います。確かに様々な、きわどい行為をする男性の姿を見てきて、「もう悪い人ね(笑)」と笑いで済まされているようなケースと、セクハラ一発退場処分を受けている男性をたくさん見てきました。

私にはそんな許されるキャラはなく、一発退場させられる自信?があるので、触らぬ神にたたりなしできわどいことは封印しています。危険な行為ですからね。

許される境界線に正解はあるのか?

正直な気持ちを言うと、「許される人」というものに嫉妬を感じることがあります。そんな時は、何とかして「許される人になれないものか?」と探りたくなる気持ちが生まれます。

自分の立ち位置を変えて、戦略的に女性のパーソナルスペースにすっ~~と入っていくことは可能なのか?と言うことです。

「キモイ」と思われるゾーンから「面白い人」と思われるゾーンに入っていく方法。それに正解はあるのか?と思ってしまいます。

しかし、これは夢のまた夢で終わると思うのです。

一見、「許されている」と見えることは、疑った方がいいのではないかと言うことです。「許されている」と言うことは本当の意味で許されているのでしょうか?

例えば、最初に紹介した、大久保さんの上司の言葉、「お前、ずいぶん老けたな~」は普通に考えたら失礼なことですよね。

ちなみに、私は思っても、一回も言ったことはありません(笑)。テレビのバラエティーという場や、大久保さんがお笑いのお仕事をしているという特殊なケースが、笑いになっているのだと思うのです。

キャラ作りは昨日今日では出来ない

さらに、テレビで拝見した元上司のキャラは、同じ男性としてみても、「あっなるほど、これは許されそうだ」と思えるような雰囲気を醸し出していました。

こういうキャラは昨日今日では作れないでしょう。長年の染みついてきた自身のキャラが「この人はこうだから」という気持ちで片付けられるのです。

もちろん、これはテレビの番組なので、多少は面白おかしく大げさにやっているのかもしれません。しかし、現実にこういう人っているよな~とも思います。

普段から周囲に「そういう人だもんね」と思われる言動で、失礼なことでもケロッと言ってしまい、相手もそれを受け入れるということ。

あまりにもケロッとした顔で言ってのけるので、相手の女性もセクハラの概念を考える間もなく日常的なことと錯覚してしまうんです。

自分の立ち位置の自己評価は低めが良い

しかも、こういった「憎めないキャラ」は爽やかで清潔感のあるイケメンだけに限らず、見た目以上にその人が醸し出す雰囲気からくるものが多く、こういうのを見ると・・・

「あっ俺もマネできるんじゃないか?」と思ってしまいがちです。そう言った人は、表面上しか見ていないから、自分もいけると自分で自分を勘違いしてしまいます。

どこから、そんな自信が生まれるんでしょうね。こういったことに関しては自己評価は低めがいいでしょう。

その場では許されているように見えているだけであることもあるんです。テレビなんかでも、毒舌キャラって言うのがいますけど、私たちがそのキャラを見るのは編集後の映像です。

これは大きな落とし穴でしょう。数多くのセクハラ退場事件を近くで見てきて思うのは、セクハラが許されるキャラなんて存在しないと思った方が賢明です。

もっと言うならば、自分もやり方次第では、憎めないキャラになれるという自信は幻想だと思った方が賢明でしょう。

まとめ

まとめると、セクハラが許される人と許されない人との境界線を探るというのは危険な行為だと認識したほうが賢明です。

今回のA君のように、勘違いがどんどん進行するでしょう。セクハラは一発退場もあれば、2発目退場や3発目退場もあります。

勘違いの進行度合いが高ければ高いほど、許されるキャラではなく、許されない迷惑なキャラになるのです。