お年寄りは催眠商法の宣伝会場に寂しいから通い、そのお礼に買うのです。
日本全国に山ほどある催眠商法の会場
開催期間は1日間、3日間、1週間、1か月、2か月、3か月と会社によって違いがあります。
その中でも主流にになっているのは2か月間です。
では、どうして2か月間が主流なのでしょうか?
催眠商法はお年寄りの中ではすでに有名なことです。来店され、購入されるお客さんの多くは他の会社でも会員になっています。
お客さん同士のネットワークのようなものが出来ています。
「あの会社はああだこうだ」と噂が立つのです。
1日しか開催されない会社は次に同じ場所では商売しにくくなります。どんどん場所を移動していく寿命の短い会社になるのです。
その点、2か月間営業をするとその場所で信用が生まれますよね。次にその場所に戻ってきたときに「また2か月間楽しませてくれる」とお年寄りは思うのです。
では2か月間どのような流れで営業がされるのか?本には第二章からオープンから紹介する商品の順番通りに講演内容を紹介しています。
その大まかな流れはこうです。
オープンの信用づくり(3日間)
1つ目の健康食品の宣伝(7日間)
1つ目の健康食品をもう一度宣伝(5日間)
健康グッズの宣伝(5日間)
2つ目の健康食品の宣伝(7日間)
健康布団の宣伝(7日間)
3つ目の健康食品の宣伝(7日間)
4つ目の健康食品の宣伝(7日間)
5つ目の健康食品の宣伝(7日間)
移動前の挨拶(2日間)
第二章からこの順番通りに話が進んでいきます。
健康食品も健康布団もいずれも30万円から40万円と高額です。
そのような高額商品をこのように次から次に売りつけるのです。
どうやって売りつけるのか?知らない人にとっては不思議ですよね。
それには巧妙に組み立てられたストーリーがあるのです。
お年寄りはそのストーリー通りに気持ちが誘導されます。
どのお年寄りも最初は、行くだけ行って、高いものは絶対に買わないでおこうと思っています。
しかし、「私は絶対に買わないでおこう」という気持ちがいつの間には「これは絶対に買わなければ」に変えられるのです。
そのからくりが、この本を読んで頂ければ分かります。
催眠商法はお年寄りがターゲットですが、巧妙に組み立てられたストーリーは若い人も騙されるでしょう。それほどのレベルのストーリー、セールストークです。
それと、業者は、宣伝会は2か月間開催することを最初にするのですが、場所移動の話はギリギリまでしません。
その場所がうまく行かずに早めに切り上げる時もギリギリまで発表はしません。大体2日前に発表するケースが多いでしょう。
1週間も2週間も前に発表することはないでしょう。
次に移動する場所の話をすると、客の気持ちが離れ、宣伝が上手くいかなくなるからです。
お年寄りは、寂しいから通い、そのお礼に買うのです。
もうすぐ場所移動すると知った瞬間、もう少ししか通えないなら買わないでおこうと思うのです。なので業者は、場所移動をギリギリまで発表をしません。
だからと言って宣伝が終わってすぐに明日からさようならというようなことをすると客から冷たい目で見られますよね。
業者としては、高額商品を買ってくれた会員さんとは末永いお付き合いをして、また買ってもらわなければいけないのです。なので発表は2日前というパターンが多いでしょう。
第二章からスタートするそれまでの一連の流れを読んで頂けると分かるのですが、とても中身の濃いお年寄りにとって充実した2か月間になります。
従業員も買ってもらおうと必死で接客をします。
そんな充実した2か月の終わりの時は従業員全員一人ずつ前で挨拶をするのです。
「皆さんには大変にお世話になりました。またお会いできる日を楽しみにしています」と。
ここで涙を浮かべるお年寄りが多かったです。
「次の場所も頑張れよ」
「みんな早く店長になれよ」
温かい声をかけてくれるお客さん。2か月間ともに充実した日々を過ごしたお年寄りと若者は一人一人握手しながら涙を流します。
お年寄り「頑張れよ」
若者「ハイ、頑張ります」
そこには騙されたと感じているお年寄りはいません。騙していると思っている若者もいません。こうなると何が悪で何が善なのかすら分からなくなります。
そうして2か月間充実した日々を過ごしたお年寄りは感謝の気持ちをもち、催眠商法の会社の大ファンになっていくのです。
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単行本: 230ページ
出版社: 自由国民社 (2018/11/2)
筆者 ロバート・熊
イラストレーター にゃんとまた旅/ねこまき
身近な人を守るために知っておきたい催眠商法の現場を元社員が詳細に明かした本です。
★本書の特徴
1.いかにしてお年寄りのこころを奪うか、元・詐欺会社の社員が明かします。
2.ネット上にある催眠商法の説明はごく簡素なものですが、事実はかなり込み入った内容です。本書では複雑で巧妙な手口をあますことなく紹介いたします。
3.まず近づかないことが一番ですが、もし被害にあってしまった場合の有効な対策も分かります。