ありがとう熊さん

食品スーパーのおやじが、生き方について辛いことも楽しいことも含めて、心を込めて書かせてもらいました。

「誰々がこう言っている」と言う嘘はばれにくいが人間性を疑われる癖になりがちである

やたらに、「誰々がこう言っていた」と言う言い方をする店長の下で働いたことがある。特に多かったのが、「お客さんに言われたんだけど・・・」と、自分の意見をお客様からのご意見にすり替える言い方だった。

とても怪しいと思った。なぜなら、店長は私よりもお客様に接している時間が短かったからだ。それにしてはお客様からのご意見を頂戴する回数が多すぎるだろうと思った。
さらにその内容にも疑問があった。「ここの店員さんは他と比べて元気がないんだね」「せっかく買い物にきたのに商品を選択する楽しさがほしいです」と言ったことを、お客様に言われたそうだが、どうも怪しい。言われなくもないのだが、本当に言われたのか怪しい内容が多かった。

さらに店長は、本部の上司が視察に来た後、ここぞとばかりに私たちに駄目出しをしてきた。もちろん上司の名前を出してだ。「部長が言ってたんだけど・・・」と、これも言われなくもないだろうと言うような内容なのだが、言い方がどことなく大げさな感じに聞こえる。
「来ていきなり言われたんだけど・・・」
「めちゃくちゃに怒られたんだけど・・・」
 あり得なくもないことだが、その頻度の多さと大げさな語り口調から、「なんだか怪しい」という気持ちにさせられた。しかし、本人に「それって嘘ですよね?」とは、なかなか言えることでもなく、悶々とした日々を過ごすことになった。

そんなある日のこと、店長の発注ミスで売れ筋の商品があと2日後でないと入って来ないと言う時に、近所の系列店に商品を分けてもらうことになった。その店へのお願いの電話は店長がした。そして、そのお願いの仕方を私に自慢げに語った。

普通に、「商品の発注ミスで、数に余裕があれば分けてもらえませんか?」と言うのではなく、「急なお客様の注文で数が足りなくて、分けてもらえませんか?」と嘘をつくことで、助けてもらったのだ。この時私は、「あっ!この人やっぱり黒だな」と思った。

今まで、私に「お客様がこう言っている」「上司がああ言っている」と言ってきたのは嘘なんだと思った。自分の意見よりもお客様のご意見にした方がお客様あっての商売なだけに部下の納得を得られやすいと思ったのだろう。そして上司の意見にすることで、自分よりも影響力のある人の意見として聞いてもらえると思ったのだろう。
この店長とは半年ほどしか一緒にいなかった。店長は、半年ほどで他店に異動になった。そして異動してしばらくすると降格になり、さらに消えるように辞めて行った。

この話には続きがある。仲が良かった本部の上司に辞めていった店長についての話を聞いた。

店長は月に一回の会議の時に、会社が力を入れて販売をする商品の売れ行きが良くないことを指摘された時、「お客様からお聞きしたのですが・・・」「部下がこう言っていたのですが・・・」と言い訳をしたそうだ。その、あまりにもスラスラとした言い訳に上司は最初、妙に納得させられたそうだ。

しかし、毎回同じように自分の意見を他人の意見にすり替える店長の人間性を疑った上司は、「いい加減にその言い訳はやめた方がいいですよ。周囲の状況のせいにばかりするのは自分には状況を変える力がありませんと言っているのと同じですよ」と言ったのだ。

その時に、謝りつつも、首をかしげている店長の姿を見て上司は、「これは直りにくい癖だ」思ったそうだ、

誰々がこう言っていたと自分の意見を、さも他人の意見にすり替える行為は、話に信憑性を持たせる目的で使うことがある。

簡単に人を納得させやすいということで癖になりやすい。しかし、それが嘘なら、しょせんは小手先のテクニックだ。

癖になってしまうと逆に信用されなくなってしまうのだ。

 

あやしい催眠商法 だましの全手口  身近な人を守るために知っておくべきこと

あやしい催眠商法 だましの全手口 身近な人を守るために知っておくべきこと

 

 

 

「あやしい催眠商法だましの全手口身近な人を守るために知っておくべきこと」
単行本: 230ページ
出版社: 自由国民社 (2018/11/2) 
筆者 ロバート・熊
イラストレーター にゃんとまた旅/ねこまき
身近な人を守るために知っておきたい催眠商法の現場を元社員が詳細に明かした本です。
★本書の特徴
1.いかにしてお年寄りのこころを奪うか、元社員が明かします。   
2.ネット上にある催眠商法の説明はごく簡素なものですが、事実はかなり込み入った内容です。本書では複雑で巧妙な手口をあますことなく紹介いたします。
3.まず近づかないことが一番ですが、もし被害にあってしまった場合の有効な対策も分かります。

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