ありがとう熊さん

食品スーパーのおやじが、生き方について辛いことも楽しいことも含めて、心を込めて書かせてもらいました。

能力を見せることが難しくても心配りを見せることは出来る

20代前半のアルバイト2人が口論になった。
「話を聞いてください」と2人に言われ、聞くことになった。
二人はお互いに相手の気に入らない部分を言い合った。お互いの粗探しをどんどんしているようで、次から次に出てくる相手の粗探しが話をこじらせた。
2人はほぼ同期、年齢は1つだけ違った。年上君が年下君の仕事に対して「もっとこうした方が段取りがいいだろ?」とアドバイスしたのがきっかけだった。
それから「言われなくても分かってる」
「何だ、その言い方は?」
「何だとは何だ?」
「余計なことは言わなくていい」
「それはこっちのセリフだ」と口論になり、それが大きくこじれてお互いの態度を責めるようになった。
きっかけはとてもささいなことだった。ささいな時にサッと身を引けばこじれなくてすんだことだ。
「何で、どちらも一歩引けないんだ?」私の問いかけに、彼らは、それでも相手が悪いと言った。彼らは一歩引くことが出来なかった自分の非を認めるべきであった。引くに引けないほど感情的になっていた彼らを一旦引き離し、仕事に戻らせた。
しばらくして、年上君が「さきほどはすみませんでした」と私に謝ってきた。
「俺に謝ることよりも、彼に謝ることが大事だよ」
「いや・・・その・・・・」
「いやって子供じゃないんだから、どっちが悪いとかじゃなく、ムキになったのは事実だろ?どっちかが謝らないと収まらないだろ?」
「でも、あいつ、仕事終わって帰りましたけど」
「じゃあ、明日でいいんじゃない?」
「明日、僕、休みなんですけど」
「じゃあ、なおさら価値のある謝り方が出来るじゃないか?俺だったら、それだけのために店に来るよ。ジュースとお菓子買って、昨日はごめん。これで気持ち良くなれるんじゃないか?」
「休みの日に来るんですか?」
「勘違いしないでくれよ。別に休みの日に仕事をしに来いと言ってる訳じゃない。これは自分の気持ちの問題だろ?」
彼は、年下のアルバイトに乱暴な言葉使いをすることがある。自分を年上として見てもらいたいがための行動であるが、その行動は空回りしていた。仕事での能力を見せるよりも、その偉そうな態度の方が目立っていた。
だから私は「年上として見てもらいたかったら年上としての部分を見せなきゃいけない」と言ってあげた。年上としての部分とは何か?決して偉そうにすることなんかじゃないはずだ。だから話を続けた。
「勘違いしたら駄目だぞ。謝ったら負けじゃない。謝ったら勝ちなんだ。年上として見てもらいたかったら年上としての部分を見せないといけない。このまま何もしなければ、何も見せられない。頭を下げても、男の価値は下がらない」
次の日、彼は店に来た。仕事じゃない。男を上げに来た。ただそれだけだった。
「謝ってきました」
「あっ偉い。大丈夫だった?」
「逆に、『俺の方が悪かった。すみません』って彼に言われました」
「はははは、そうだろ、爽やかだな」
その後、二人は息を合わせ、協力的に仕事をするようになった。人と人との摩擦が人を成長させると思った。年上としてのプライドを持ちたくて偉そうにする人は、どうも空回りするようだ。仕事で、能力を見せつけることは、同期なら、難しいこともあるだろう。
しかし、年上としての心配りぐらいは見せられるだろう。それが年上としてのマナーだと思う。

 

 

あやしい催眠商法 だましの全手口  身近な人を守るために知っておくべきこと

あやしい催眠商法 だましの全手口 身近な人を守るために知っておくべきこと

 

 

 

「あやしい催眠商法だましの全手口身近な人を守るために知っておくべきこと」
単行本: 230ページ
出版社: 自由国民社 (2018/11/2) 
筆者 ロバート・熊
イラストレーター にゃんとまた旅/ねこまき
身近な人を守るために知っておきたい催眠商法の現場を元社員が詳細に明かした本です。
★本書の特徴
1.いかにしてお年寄りのこころを奪うか、元社員が明かします。   
2.ネット上にある催眠商法の説明はごく簡素なものですが、事実はかなり込み入った内容です。本書では複雑で巧妙な手口をあますことなく紹介いたします。
3.まず近づかないことが一番ですが、もし被害にあってしまった場合の有効な対策も分かります。