本当の友達は無責任なアドバイスが出来ない
結婚前の友人の悩み
20代前半の話だ。高校時代からの友人の鹿田君(仮名)の結婚が秒読みという段階に来た時、ある悩みを私にしてきた。
婚約者である彼女には以前付き合っていた彼氏がいて、しかもちゃんと別れた状態でなく、別れてからも友達として付き合っていたそうだ。
彼女は、そのことで鹿田君に相談をした。彼女と別れた元彼氏は、今になって未練がましく言いよってくるのだった。
彼女自身も気持ちを整理したいけど、人生で最初に付き合った男に対する複雑な心情があり、モヤモヤした気持ちになっていたそうだ。
最後に元彼氏と話をすることになった彼女
そこで、最後に、この関係を終わりにして気持ちを整理したいと言ってきた。それは、「最後に元彼氏と二人きりで話をさせてくれ」ということだった。しかも、会うのは元彼氏の部屋だった。
どうして、元彼氏の部屋なのだろう?喫茶店じゃだめなのだろうか?と疑問に思ったが、色々と事情があるようだ。
そこで、鹿田君は私に、「付いてきてほしい」と言ってきた。「彼女が元彼氏と会っている間、気が狂いそうだからそばいてほしい」と言う願いだった。
車の中で待機することになった私たち
友人のお願いに二つ返事でOKを出し、彼女が元彼氏の部屋に行っている間、私たちは車の中で待機をすることになった。
鹿田君は、彼女に、「これが本当に最後だから、本当に思い残すことのないように話をしたらいいよ」と言った。同じ男として、この言葉を言うのはとても辛かっただろうと思った。
そして待つこと、30分・・・・彼女はまだ出てこない。
さらに1時間が経過・・・・彼女はまだ出て来ない。
鹿田君が横で大きなため息をついた。友人として、今私に出来ることは何だろう?と必死で考えた。どんな言葉をかけたらいいのだろう?と悩んだ。
友人にどう話しかけていいのか悩む私
ほとんど無言の緊張した空気が二人のいる車内に流れた。どんな言葉をかけたらいいのか?考えて頭に浮かんでくる言葉はどれも、私にとって納得のいく言葉ではなかった。
それに私は当時、女性とまともに付き合ったことのない男だった。女性の心理とはこういうものだと言うこともアドバイス出来なかった。
そんな重たい空気が流れる時間が1時間以上すぎたころ、彼女が車に戻ってきた。
「大丈夫だった?」
「うん」
「もう思い残すことはない?」
「うん」
鹿田君の精一杯の問いかけに小さくうなずく彼女。その間、私は無言だった。心の中では、「何か言わなきゃ」と思いつつ、もう一つの心が、何かを言うことを拒絶していた。
過去を捨ててきた彼女を許した友人
その後、めでたく彼女とゴールインした鹿田君は、後日、私にその後の彼女との会話を教えてくれた。
彼女は元彼氏に、きっぱりと、「友達としても付き合えない」と言ったそうだ。すると元彼氏に、「思い出として最後に抱かせてくれ」と言われたそうだ。
彼女がそれを断ると、「服を着たままで、何もしないから、本当にこれが最後だから、これできっぱりと気持ちを整理するから」と言われ、服をきたまま、軽く抱かれたそうだ。
そして、最後のキスだけをしたそうだ。それ以上の男女の関係はなかったそうだ。
鹿田君は、正直に答えてくれた彼女を許した。
過去のことは問わない。過去を捨ててくれたのだから、それでいいという気持ちだったと言っていた。
何もアドバイスできなかった私に友人が言った言葉
ここで私は、彼に謝った。
「ごめん。俺、あの時に何か言ってあげたかったけど、何も言えなかった」
「女と付き合ったことがないから、何のアドバイスも出来なかった」
すると彼は、「いや、熊に付いてきてもらってあの時は良かったと思ってる。何と言っても、高校時代からの友達だし、大人になってから出来た友達と違って無責任なアドバイスは絶対しないと思ってた。だから、何も言わなくてもいてるだけで価値があったと思ってるよ」
自分のことを「いてるだけで価値がある」と認めてくれた友人。
彼とは一生友達でいたいと思った。
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「あやしい催眠商法だましの全手口身近な人を守るために知っておくべきこと」
単行本: 230ページ
出版社: 自由国民社 (2018/11/2)
筆者 ロバート・熊
イラストレーター にゃんとまた旅/ねこまき
身近な人を守るために知っておきたい催眠商法の現場を元社員が詳細に明かした本です。
★本書の特徴
1.いかにしてお年寄りのこころを奪うか、元社員が明かします。
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