ありがとう熊さん

食品スーパーのおやじが、生き方について辛いことも楽しいことも含めて、心を込めて書かせてもらいました。

「何で私だけが注意される?」と不満をぶつけられるのは全体を見ていないからである

勤め先の食品スーパーで、新人パートさんの香水とネイルを注意した。その時は、「ハイ分かりました」と素直に返事をしてくれたパートさんだが、後になり私が注意したことに対して不満を持ったようだ。
パートさんに、「ちょっといいですか?」店の裏に呼ばれた。明らかに不満をもっているのであろう表情を見て緊張をした。そして、「何で私だけが注意されるんですか?」と聞いてきた。
この言葉に、腹が立ち、「ネイルと香水は社内規則で禁止をされています。それを注意するのは当たり前です」と言った。しかし、「他の先輩パート達も香水やネイルをしていますよ」と返された。そして口論になった。
私「あなただけに注意をしているのではないですよ。他の人にも注意はしていますよ」
パートさん「でも、改善されてないってことは注意出来てないってことですよね?」
私「見落とすこともあります」
パートさん「それって差別じゃないですか?見落とすってことは先輩には甘くて、新人である私には言いやすくて言っているのではないですか?」
私「別に言いたくて言っている訳じゃないですよ。普通は注意されたら『ハイ、分かりました』と言うべきでしょ?」
パートさん「注意されたことを怒っているのではありません。注意するのならみんなにして下さいと言っているのです」
私「みんなに注意はしますよ。でも、そのみんなの中にはあなたも入っているんですよ」
このような口論が終わり、なぜ注意した私が逆に怒られないといけないのかと考えるとパートさんの言葉が理不尽に思えてきて、とても腹が立って仕方がなくなった。
その気持ちを聞いてもらいたくなり2人の同僚に相談した。すると同僚の一人は、「あのパートさんは、考え方がとっても未熟ですね。社内規則で禁止されていることを注意した人を逆に責めるなんて酷い人ですよね」と私に同情してくれた。
しかし、もう一人の同僚は違った。「確かに『何で私だけが注意されるんですか?』と言う言葉を口に出すのは未熟な感じがするね。例えば、交通違反で捕まって警官に、『なぜ私だけ?』と言うのは通用しないもんね。でも、その言葉は言う方も問題だけど言わせてしまったことも問題だと思うよ。普段から他の人がルールを守っていて、そうでないのが彼女一人だけだったら、そんなことは言われなかったと思うからね。言われるのは言われる理由もあるんだと思うよ」と言われた。
 同僚に言われたことを良く考えてみると、確かに他のパートさんのネイルや香水を見落としていることもあった。ルールを徹底出来ていなかった。それが「何で私だけ?」と言う言葉に繋がったのだろう。不満をぶつけられるにはそれなりの理由があった。
それでも、「なんで私だけが?」の言葉を使ったパートさんに未熟なものを感じた。なぜなら私は職場では使わないからだ。今までの経験からその言葉が通用しないことは十分に理解しているからだ。
ということは、多くの人が黙って我慢していることだと思う。今回のように正直に気持ちをぶつけられることは少ない。しかし、それがあったからルールを徹底出来ていなかった自分の未熟さに気づくことが出来た。
「なんで私だけが?」の気持ちは口に出さない人がほとんどだ。面従腹背という言葉がある。表面では素直に聞き入れているように見せかけて、内心では反抗するという行為だ。口に出されなくても相手の心の中に、「何で私だけが?」を芽生えさせたら、面従腹背される。
人を指導する立場になった時は全体を見ることが大切だ。目についた相手だけを見て、その場限り指導になっていないか?十分に注意すべきことだ。