ありがとう熊さん

食品スーパーのおやじが、生き方について辛いことも楽しいことも含めて、心を込めて書かせてもらいました。

「息子が選んだ女性に文句を言うつもりはない」と決意した母の姿に考えさせられる

「大好き・・・でも、私はあなたと結婚できないの」

友人のA君は彼女と結婚を前提に付き合っていました。そして彼女のご両親にも挨拶をして、いよいよ結婚という段階に来た時に悲劇は起こりました。

「大好き・・・でも、あなたと私は結婚出来なくなったの」

彼女はご両親に反対をされました。理由はA君が住んでいる地域に対する偏見です。21世紀にもなって嘆かわしいことですが、住んでいる地域による差別問題はまだ若干残っているようです。

A君と彼女は付き合って3年。A君にとって初めての彼女。とても大事に愛を育んできたA君は彼女を説得しましたが、彼女はご両親からこのように言われたそうです。

「親を取るのか?それとも男を取るのか?」
「俺たちはお前の幸せを思って言ってるんだぞ」
「親の反対を押し切って幸せには絶対なれないぞ」
「お前よりも何十年も親は人生経験を積んでいるんだ。その親の言うことを聞くべきだろ」
「好きと言う気持ちだけで結婚して不幸になった人を俺たちは何人も見てきてるんだ」

A君と彼女は別れることになりました。その後、親しい友人たちでA君を居酒屋で慰め、励ましました。A君は、「こればっかりは俺の努力ではどうにもならないな」と嘆いていました。

それから何年か経ち、A君は別の女性と結婚しました。

さらに息子さん2人も誕生し、とても幸せにしています。しかし、A君には若いころの失恋問題を今も気にしているようです。

気にしないようにしようと思ってはいるものの気になるようです。その一番の理由は、別れた彼女が40歳を過ぎた今でも独身でいることです。

前の彼女は共通の友人の紹介で知り合ったので、現在何をしているのか分かるようです。A君は前の彼女にも新しい恋を見つけて幸せになってほしいと願っています。

なぜ、前の彼女がまだ独身でいるのか?それは他にも理由があるのかも知れませんが・・・

はたしてそれはご両親の望んだことでしょうか?

あの時A君との結婚を反対しなければ娘さんは幸せな結婚生活を送れていたんじゃないか?と思います。

親の心配は山よりも高く、海よりも深い。しかし、子供の人生の選択に干渉をしすぎるとよくない結果を伴うこともあるのでしょう。

そんな親の葛藤を感じることが出来たもう一つの話があります。勤め先の食品スーパーでの出来事です。

お昼休みにパートさんと話しをしました。

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息子さんのことで聞いてもらいたいことがあるそうです。

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20歳の一人暮らしをしている息子さんと駅で待ち合わせをした時

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車から降りてきた息子さん。

「誰かに送ってもらったみたいで」

誰に送ってもらったんだろう?

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「車はなぜかとまったままだったから誰だろうと見て見たら

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えっ!女の人?もしかして彼女?

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母親の私に会釈の一つもなくて、金髪で、口紅真っ赤で派手で、体も大きくて

結構年上に見えてね

しかも、私に目も合わさずにお菓子ポリポリ食べてるの

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彼女なのかどうか気になったパートさんは息子さんにラインで聞いたそうです。

「彼女出来てよかったね。お母さんはうれしいよ」と。

すると、「違う」の一言だけ返ってきたそうです。

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息子さんは「ただの友達」と返事しましたが、女性の部屋に泊まりに行ってるようです。

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状況を都合のいいように捉えようとするパートさん。

「でも、うちの子はそういうのにあまり興味なさそうだから本当にただの友達かも?」

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いや、それはどうかな?そもそも男は自分の母親に自分の恋愛をペラペラしゃべりませんよ」

「それに女性の家に泊まってただの友達っていうのはあり得ないですよ

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「そうかな~やっぱり彼女なのかな?」

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「まぁ、私は息子が選んだんだから文句は言うつもりはないけどね

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悩みはつきませんね

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いかがでしたでしょうか?何もそんなに大げさに心配しなくてもと思われた方は多いのではないでしょうか?

彼女が挨拶一つなかったのは、もしかして息子さんがお母さんのことを話してなかったのかもしれません。

そして、彼女が金髪で、派手な服装で、口紅が真っ赤でというのは好みが分かれることでしょう。お母さんにとって気に入らなくても息子さんにとっては好みなのでしょう。つまり・・・

お母さんと息子さんの好みは違います。

第三者の目から見て、お母さんは心配しすぎに見えるのですが、やはり親というものはいくつになっても子供のことが心配です。

しかし、お母さんの好みを押し付けると息子さんの選択の幅は狭くなります。そのことを頭で理解していたからこそ、気持ちの上では好みではなくても、受け入れる覚悟を決めたのでしょう。

なので私はパートさんのことを、「いいお母さんだな~」と思いました。そして私の母親にダブって見えました。

「あんたが選んだ人なんだから、どんな人でもお母さんは受け入れるよ」

私が独身時代、母に言われた言葉です。

「あんたが選んできた人ならお母さんはどんな人でも受け入れるよ」

私を信用して言ってくれた言葉に感じました。どんな人でも受け入れるという母の言葉を聞いて、逆に母にがっかりさせたくないという気持ちが働きました。

そして私が嫁さんを母に初めて紹介した時・・・

「でかしたな。いい子選んだじゃないの」と祝福してくれました。そんな母にはとても感謝をしています。

そして、最初の話に出てきたA君の彼女とそのご両親に私が思うことは・・・

A君の彼女が別れる決意をしたのは仕方がないと思います。自分を育ててくれた親の意見を無視することは難しいでしょう。

それでは彼女のご両親は?娘の幸せを思う気持ちからの反対なので一粒の同情はあります。一番の問題はこれだけ差別をなくそうと叫ばれている現代で、結婚相手の住んでいる地域による差別が残っていることです。

とても嘆かわしいことです。A君の家には何度も遊びに行きましたが、閉鎖的なイメージもなく周囲の環境も明るくて普通に見えました。

近くに様々なお店も立ち並び、便利なところです。何が問題なのか分かりませんが、ご両親が調べたところ昔からの偏見を持たれている地域だっただけです。

偏見はあくまでも偏見で、実際にA君と結婚した奥さんは幸せに暮らしています。仕事も順調です。

今回私がお伝えしたいことは、親が子供を心配するのは当たり前ですが、子供の人生の選択に過剰なまでに干渉するのはとても残念な結果をもたらすと思うことです。

「2回とも同じものが出た」というガチャガチャのクレームに対応して気づかされたこと

「たった10分で150円損したじゃないの(怒)」

食品スーパーに勤めています。夕方近くになると総菜コーナーの値引きが始まります。その値引きについて苦情が入りました。

「ちょっと兄ちゃん、これも半額にしてよ」

と年配女性のお客様から、レシートを見せられました。話を聞くと、お客様は10分前に総菜コーナーで300円のから揚げを購入しました。そして車に戻った時、買い忘れの品物があったことに気づき、店に再度入りました。

するとさきほど購入したから揚げと同じものが全部半額になっていました。

それを見て、「損をした」と思われました。しかし、お買い上げ前なら半額シールを貼って対応できるのですが、お買い上げ後には半額に出来ません。そのことを伝えると・・・

「たった10分だけで150円損したのよ」

と言われ、同情の気持ちが生まれました。これが1時間も2時間も経っているのなら、強く断れるのですが、つい先ほどのことなので、逆の立場で考えたら私でも嫌な気持ちになったと思います。

と言っても苦情を入れる勇気はありませんが(汗)。と言うことで、半額にレシートを打ち直し、差額をお渡ししました。

「お気持ちは分かりますので今回はそうさせてもらいます」

本来であれば規則としてできない対応を、「お気持ちが分かりますので今回だけ、そうさせてもらいます」という対応を店員がすることがあります。

ただ、このような対応は大変リスクが伴うように思います。なぜなら、「前にもしてもらったじゃないの」と悪しき前例をつくり、要求がエスカレートすることが考えられるからです。

一度許すとまた同じことをされがちです。

さらに、他のお客様がそのことを知り、「なぜあの人だけ?」と不公平感を持たれることもあるでしょう。

そもそも店の商品の値段はその日、その時によって値段が変わることがあり、それに対して、「損をした」と言われても対応は出来ません。

それなのに規則外の対応をするのは、お客様のご気分を害さないようにという店側の配慮です。それが「今回だけは特別に・・・」という対応です。

こんなことを書くと、「なんだか言ったもの勝ちだな」と気分を悪くされた方もいるかもしれませんが、はたして本当に言ったもの勝ちでしょうか?

そんなことを考えさせられるエピソードがあります。

女性のお客様に呼ばれました。

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ガチャガチャに対する苦情です。

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2回とも同じおもちゃが出たそうです。

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そう言って、おもちゃを見せてきました。

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だからと言って交換には応じられません。

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「お気持ちは分かるのですが、確率的にそういうこともあるかと・・・」

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「兄ちゃん、実はなこれは一回目と違うで」

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遠慮して泣き寝入りしたこともあるそうです。そんな不満がたまっての苦情だそうです。

「この前は金を入れたのに出てこなかったけど、遠慮をして泣き寝入りしたんやぞ」

なので、マスターキーでガチャガチャの機械を開けろと要求されました。

「にいちゃん鍵もってるやろ?」「ああああ」

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さらにお子さんをだしに使い同情を引いてきました。

「毎回こんな嫌な思いさせられたら子供が可哀そうや」

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前回もご迷惑をおかけしたということで特別に融通をきかせました。

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お目当てのおもちゃは入っていませんでした。

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そこでお客様の要求はエスカレートしました。

「まぁ、しゃあないわ、兄ちゃんがもう1個サービスしてくれたらいいことや」

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しかし、これ以上の対応は出来ませんので強くお断りしました。

「申し訳ございませんが、店として対応が出来るのはここまでです」

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「なんや、1個だけ交換してそれでおしまいか?

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あんまり客をがっかりさせとったらあかんで、客が来ないなるで」

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やんわりとお断りして、なんとか諦めてもらいました

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いかがでしたでしょうか?まず、ガチャガチャで同じおもちゃが続けて出てくることは

確率としてあり得ることです。ここに苦情を入れてくるのはどうかと思います。

何が出てくるか分からない。そして、出てくるおもちゃによって、がっかりしたり喜ん

だりと一喜一憂するのがガチャガチャの面白さです。

気に入らないおもちゃが出てきても店員が交換に応じることはありません。

しかし、なぜ私は本来規則としてできない交換という対応をしたのでしょう。それには2つの理由があります。

1 嘘か本当か分かりませんが、以前にお金を入れておもちゃが出てこなくてお客様は、泣き寝入りしたこと。
2 子供が可哀そうだと思ったから。

この理由で、これ以上ご気分を悪くされては申し訳ないという気持ちが働き、「今回だけは・・・」という対応をしました。

しかし、ご注意願いたいのは、「あっこのようにすれば店員に無理を通すことが出来るのか」と思わないでいただきたいです。

社会的なモラルの観点から、真似はしないでもらいたいです。なぜなら・・・

同じお客様としての目で見ると恥ずかしいと思います。

私も職場を離れれば一人の客として様々な店を利用します。一人の消費者として常に、「どうせなら得をしたい、損したくない」と常日頃から思っています。

しかし、現実には購入するタイミングや店の選択によって、「あっしまった、損した」と思うことが多々あります。

最初にご紹介した自分が購入した商品が半額になっていたという女性客の気持ちも理解できます。しかし、それに対して苦情を入れることはありません。

なぜなら、みんな同じだからです。

タイミングによって「損した」「得をした」ということは誰にでもあります。ガチャガチャのように運で左右されることも多いです。そこに苦情を入れるのは恥ずかしいことではないでしょうか?

そんなことを店員の立場である私はお伝えしたくて記事にしました。最後までお読みいただきありがとうございます。

「帰れる時は帰ろう」という声は必要でしょう。

帰りたいけど、なんだか帰りづらいな

食品スーパーに勤めています。薄利多売の人件費をギリギリまで削ったとても忙しい職場です。大変繁盛している店で、夕方のピーク時はレジに長蛇の列が出来ます。

社員である私の勤務時間は、朝から出勤して夕方帰宅できる早番と、昼から出勤してラストまで勤務する遅番があります。

しかし、早番は夕方に帰宅できるとはいえ、その通り帰れることはほとんどありません。それは会社が、「残業しろ」と言っているわけではなく、私自身が帰りづらくて帰らないだけです。

なぜ会社が残業を強要していないのに帰れないのか?それは・・・

夕方のピーク時の従業員がバタバタと忙しく動き回っている時間に、「お先に失礼します」と言いづらい空気を感じているからです。

「サラリーマンっていいよな」と思う瞬間

そんな私たちは、「サラリーマンっていいよな」と仲間内で愚痴ることがあります。ちなみに私たちもサラリーマンなので日本語としておかしいのですが、仲間内だけの会話なので大目に見てください。

私たちが、「いいよな」と憧れの目で見ているサラリーマンというのは、夕方の定時に仕事から上がり、「さぁこれからみんなで飲みに行くか?」とその後を楽しむ人たちのことを指しています。

私たちが、仲良くなった社員同士で飲みに行くのはお互いが休みの時ぐらいで、仕事上がりの後に飲みに行くことはほとんどありません。

なのでサラリーマンの仕事後の楽しみに憧れています。

休みの日に繁華街で友人と待ち合わせをすると、いかにも仕事が終わり「さぁ今から飲みに行くぞ」という雰囲気のサラリーマン軍団がどうしても気になり、「本当にいいよな~」とため息をついてしまいます。

しかし、そんな私たちですが、「俺たちだって負けずに人生を楽しむぞ」と思った出来事があります。それは・・・

本社で研修会があった日の出来事です。

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夕方に終わった研修会。このまま直帰する私。
他店の仲の良い社員に「一緒に帰ろう」と声をかけるも・・・

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彼は直帰することに遠慮をしていました。

「なんだか店長に、直帰しますって言いずらくて」

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「えっ?って言われそうで」

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「こんなチャンスないよ」と直帰を促す私

「店長に電話で何て言おうかな?」と悩む彼。

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アドバイスする私

「シンプルに終わりましたんでそのまま帰ります」でいいと思うよ

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「そうっすよね。大丈夫ですよね

「大丈夫、でも余計なことは言うなよ」

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「よし、いくぞ、かけるそ

どきどき

可愛いやつだな

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あっ店長お疲れ様です

終わりましたんでそのまま帰ります

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機嫌よく「お疲れさん」と言われちゃいました

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「いえ~~~い」

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熊さん救世主ですね

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今頃気づいたのか?

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「店戻ったら帰れなくなるだろ?」

「そうですよね~~」

「さぁ、飲みに行くぞ。ひゃっほ~~」

「だから~~歩くの早いって」

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いかがでしたでしょうか?そこまで大げさに喜ばなくてもいいんじゃないの?と思われた方も多いでしょう。

定時に帰るのは当たり前であるべきですが、その当たり前のことが出来ていない私たちには、大きな喜びに感じました。

焼き鳥屋に入り、勝利の美酒に酔いしれ、日頃の仕事での愚痴を言い合い、気分をすっきりさせることが出来ました。

町は、仕事上がりの「お疲れサラリーマンたち」であふれかえっていました。みんな楽し気ですが・・・

私たちが一番楽し気に輝いていたと勝手に思っています。

定時上がりの勝利の美酒に酔いしれ思うこと

今回のお話に出てきた山田君(仮名)はとても真面目で責任感のある男です。だからこそ、店に戻り残業をしようと思ったのでしょう。

もちろんそれは会社が強要していることではありません。会社からは出来るだけ定時で上がるように言われています。

それでも定時に帰れないのは私たちが遠慮をしているからです。「ここで帰ったら残されたみんなは大変だろうな?」と思うのです。

仲間を思いやる気持ちでの行動なので、多少はいいと思いますが、毎日毎日長時間の勤務で帰ったら寝るだけという生活では息苦しくなることがあります。なので・・・

「帰れる時は帰ろう」という声は必要でしょう。

そして、「直帰したいけど上司に言いにくい」と言った山田君に思うことは、彼が遠慮をしたのは、普段定時に上がることがほとんどないから、「本当にいいのかな?」という気持ちが生まれたのでしょう。

そこで、「大丈夫だよ」と背中を押して一緒に飲みに行って本当に良かったと思います。それは、当たり前のことを大げさに喜ぶ彼の姿を見れたからです。