ありがとう熊さん

食品スーパーのおやじが、生き方について辛いことも楽しいことも含めて、心を込めて書かせてもらいました。

「2回とも同じものが出た」というガチャガチャのクレームに対応して気づかされたこと

「たった10分で150円損したじゃないの(怒)」

食品スーパーに勤めています。夕方近くになると総菜コーナーの値引きが始まります。その値引きについて苦情が入りました。

「ちょっと兄ちゃん、これも半額にしてよ」

と年配女性のお客様から、レシートを見せられました。話を聞くと、お客様は10分前に総菜コーナーで300円のから揚げを購入しました。そして車に戻った時、買い忘れの品物があったことに気づき、店に再度入りました。

するとさきほど購入したから揚げと同じものが全部半額になっていました。

それを見て、「損をした」と思われました。しかし、お買い上げ前なら半額シールを貼って対応できるのですが、お買い上げ後には半額に出来ません。そのことを伝えると・・・

「たった10分だけで150円損したのよ」

と言われ、同情の気持ちが生まれました。これが1時間も2時間も経っているのなら、強く断れるのですが、つい先ほどのことなので、逆の立場で考えたら私でも嫌な気持ちになったと思います。

と言っても苦情を入れる勇気はありませんが(汗)。と言うことで、半額にレシートを打ち直し、差額をお渡ししました。

「お気持ちは分かりますので今回はそうさせてもらいます」

本来であれば規則としてできない対応を、「お気持ちが分かりますので今回だけ、そうさせてもらいます」という対応を店員がすることがあります。

ただ、このような対応は大変リスクが伴うように思います。なぜなら、「前にもしてもらったじゃないの」と悪しき前例をつくり、要求がエスカレートすることが考えられるからです。

一度許すとまた同じことをされがちです。

さらに、他のお客様がそのことを知り、「なぜあの人だけ?」と不公平感を持たれることもあるでしょう。

そもそも店の商品の値段はその日、その時によって値段が変わることがあり、それに対して、「損をした」と言われても対応は出来ません。

それなのに規則外の対応をするのは、お客様のご気分を害さないようにという店側の配慮です。それが「今回だけは特別に・・・」という対応です。

こんなことを書くと、「なんだか言ったもの勝ちだな」と気分を悪くされた方もいるかもしれませんが、はたして本当に言ったもの勝ちでしょうか?

そんなことを考えさせられるエピソードがあります。

女性のお客様に呼ばれました。

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ガチャガチャに対する苦情です。

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2回とも同じおもちゃが出たそうです。

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そう言って、おもちゃを見せてきました。

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だからと言って交換には応じられません。

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「お気持ちは分かるのですが、確率的にそういうこともあるかと・・・」

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「兄ちゃん、実はなこれは一回目と違うで」

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遠慮して泣き寝入りしたこともあるそうです。そんな不満がたまっての苦情だそうです。

「この前は金を入れたのに出てこなかったけど、遠慮をして泣き寝入りしたんやぞ」

なので、マスターキーでガチャガチャの機械を開けろと要求されました。

「にいちゃん鍵もってるやろ?」「ああああ」

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さらにお子さんをだしに使い同情を引いてきました。

「毎回こんな嫌な思いさせられたら子供が可哀そうや」

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前回もご迷惑をおかけしたということで特別に融通をきかせました。

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お目当てのおもちゃは入っていませんでした。

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そこでお客様の要求はエスカレートしました。

「まぁ、しゃあないわ、兄ちゃんがもう1個サービスしてくれたらいいことや」

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しかし、これ以上の対応は出来ませんので強くお断りしました。

「申し訳ございませんが、店として対応が出来るのはここまでです」

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「なんや、1個だけ交換してそれでおしまいか?

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あんまり客をがっかりさせとったらあかんで、客が来ないなるで」

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やんわりとお断りして、なんとか諦めてもらいました

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いかがでしたでしょうか?まず、ガチャガチャで同じおもちゃが続けて出てくることは

確率としてあり得ることです。ここに苦情を入れてくるのはどうかと思います。

何が出てくるか分からない。そして、出てくるおもちゃによって、がっかりしたり喜ん

だりと一喜一憂するのがガチャガチャの面白さです。

気に入らないおもちゃが出てきても店員が交換に応じることはありません。

しかし、なぜ私は本来規則としてできない交換という対応をしたのでしょう。それには2つの理由があります。

1 嘘か本当か分かりませんが、以前にお金を入れておもちゃが出てこなくてお客様は、泣き寝入りしたこと。
2 子供が可哀そうだと思ったから。

この理由で、これ以上ご気分を悪くされては申し訳ないという気持ちが働き、「今回だけは・・・」という対応をしました。

しかし、ご注意願いたいのは、「あっこのようにすれば店員に無理を通すことが出来るのか」と思わないでいただきたいです。

社会的なモラルの観点から、真似はしないでもらいたいです。なぜなら・・・

同じお客様としての目で見ると恥ずかしいと思います。

私も職場を離れれば一人の客として様々な店を利用します。一人の消費者として常に、「どうせなら得をしたい、損したくない」と常日頃から思っています。

しかし、現実には購入するタイミングや店の選択によって、「あっしまった、損した」と思うことが多々あります。

最初にご紹介した自分が購入した商品が半額になっていたという女性客の気持ちも理解できます。しかし、それに対して苦情を入れることはありません。

なぜなら、みんな同じだからです。

タイミングによって「損した」「得をした」ということは誰にでもあります。ガチャガチャのように運で左右されることも多いです。そこに苦情を入れるのは恥ずかしいことではないでしょうか?

そんなことを店員の立場である私はお伝えしたくて記事にしました。最後までお読みいただきありがとうございます。