ありがとう熊さん

食品スーパーのおやじが、生き方について辛いことも楽しいことも含めて、心を込めて書かせてもらいました。

辞めた職場にちょこちょこ遊びに来る人って何?その疑問に切り込みました。

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辞めたのに先輩風?

食品スーパーのおやじです。半年前に「友達が会社を作るので、一緒にやることになった」と言って、辞めたアルバイト君が最近遊びに来るようになりました。

結局、彼は友達が「作る」と言っていた会社をいつまで経っても作らないと言うことで、今はセルフのうどん屋でアルバイトをしているそうです。

ちなみに彼は3年近く、働いていて、真面目で使えるアルバイトでした。しかし、辞めてから半年経った今になって、その時に仲が良かった後輩アルバイトに近づき、先輩風を吹かせるようになりました。

現在の職場の忙しさをアピールする彼

彼が今アルバイトをしているセルフのうどん屋は大手スーパーのフードコートにあり、昼のピーク時や土日は戦場のような忙しさがあるそうです。

その忙しさを「食品スーパーの3倍の忙しさだよ」と表現していたそうです。半年前に俺がやってた時はこうしていた」と過去に自分がやっていたやり方を教えたり、言っていることはもっともで、親切心から教えてくれてるのは分かるのですが、それが頻繁に続きます。

私が言いたいのは、たまに「お元気ですか?」程度の挨拶に来るのなら歓迎出来るのですが、彼の場合は週に1回ほど来て5分から10分ぐらいアルバイトに話かけているのです。

私も黙って見ていたわけではありません。ちょっと長引きそうだなと思った時は私が近づくようにします。すると彼は、「それじゃ、また来ますね」と言って帰ります。

私は何も注意をしていません。しかし私の「忙しい時に手を止めてほしくない」と言う気持ちを彼は知っているのでしょう。私が近づいたら、「これ以上話かけたら迷惑なのかな?」と感づいて帰ってくれます。

話しかけられるアルバイトは、「元先輩だから、話しかけられたら逃げられません」と迷惑をしているようなので・・・・

一旦離れることの大切さを教えました。

同じ場所で作業しているからずっと話かけられるのだから、「すみません」と言って一旦離れるべきだとアドバイスしました。

すると彼は、分かりました」と言った後に「あれって一体何なんですかね?」と聞いてきました。

私は、「うーーーん」と考え込みました。

「いったい何なの?」ということを考えるといろいろな何かが想像出来きます。

今の職場を自慢したいのか?

今の職場の愚痴を言いたいのか?

うちの職場にまだ未練があるから?

まだ先輩風を吹かせたいから?

上手く「これだ!」という説明が出来なくてもやもやしました。それからしばらくして彼はまた遊びに来ました。今度は和歌山に旅行に行ったお土産を持ってきたそうです。

それを事務所に置いておいたから皆様で食べてください」と言ってきたのです。話を聞くと事務所には無断で入ったそうです。これに私は・・・・

辞めたら部外者であることを教えました。

「せっかくお土産を持ってきてくれた〇〇君にこんな事言いたくないけれど、辞めた職場の事務所に入る時は社員の許可を得て、一人で入ったら駄目だよ」

「いや・・・熊さん達が忙しそうにしていたので・・・」

「元気そうな顔を見せてくれるのは嬉しいことだけど、辞めた時点で部外者なんだから、事務所は関係者以外立ち入り禁止なんだよ」

この出来事で私の彼にたいする「こいつは何?」というもやもやした気持ちはさらに大きくなりました。そして同僚女性にもこの事を話しました。すると彼女は鋭い一言を放ちました。

「寂しい奴だな」

この言葉を聞いて私は、「あっそれだ。なるほど、そうだ、寂しい奴だ」と見事なまでに納得に至りました。

中年女性は時に「あっそれ鋭い」と思う一言で人の心を納得させてくれるものなんだなと、妙に感心をしました。「そうそう!それだよなー」と言う鋭い一言が、「一体何なんなんだあいつは」というもやもやをすぅーーーっと消してくれたのでした。

今の職場の自慢をしたい。

今の職場の愚痴を言いたい。

前の職場に未練がある。

前の職場で先輩風をふかせたい。

様々な心理を見事に一つに言い表した一言に、拍手を送りたい気持ちと残念な気持ちが生まれました。 実は、彼が久しぶりに顔を見せた時、正直に私は嬉しかったのです。

「うわーー、久しぶり、今何してるの?元気?」と声をかけ、まるで「懐かしのヒーロー」を見るような気持ちで彼を迎え入れました。

なので彼にとってうちの職場はヒーローになれる場所なのでしょう。しかし、懐かしのヒーローでも、頻繁に出てきたら、「またか?」と思われるのでしょう。

今までになかったやり方で成功したい気持ちを最初から出すと孤独の海に沈められる

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今までになかったやり方で成功したい思い

「そ・・・その発想はなかった」と周りが嫉妬するほどの、今までになかったやり方で成功したい。そこに大きな浪漫というものを感じていた若い頃の話です。

20代の頃、何度も転職を繰り返してきました。しかも、すべて異業種です。私の頭の中では、同じ業種間での転職は考えにありませんでした。

「同じ業種に転職してもどうせ同じことの繰り返しだ」と思っていたからです。そして転職のたびに、「次の仕事こそは成功してみせる」と思っていました。

「次の仕事こそは・・・」

そもそも、転職を繰り返したのは、前職で花を咲かすことが出来なかったからであり、ぱっとしない私の至らなさが原因です。なので「次こそは・・・」と言う思いが強かったのです。

転職して真っ先に考えることは、「かっこいい自分を見せたい」という思いです。「凄い、とんでもない才能溢れる奴が入ってきた」と先輩達の度肝を抜かせたいという気持ちでした。

しかし、その多くは空回りをしました。その空回りをした経験の中からシェアしたい出来事があります。賃貸不動産の営業の会社に転職をした時の事です。

先輩の後ろについて仕事を覚える

とても優秀な成績をもつ先輩に仕事を教えてもらうことが出来ました。先輩の後ろについて賃貸の営業の難しさを知りました。それまで賃貸の営業なんて、お客様が望む物件を見せるだけの楽勝な仕事だと思っていました。

しかし、このお客様の望む物件というものが難敵です。お客様は少しでも、駅から近く、築年数も新しく、間取りも広く、環境も良く、それでいて家賃が安くと夢を描いてやってくるのです。

しかし、私が入った会社は大阪の不動産激戦地にありました。

オトリ広告というものをご存知でしょうか?相場よりも明らかにかけ離れた条件の客を寄せるためだけの物件のことです。

オトリと言っても存在しない物件ではありません。本当に存在していない物件を情報誌に載せていることがバレたら、当然罰則が発生するからです。

これは裏話になるのですが、自分のところの会社が部屋を買うなり借りるなりして、それを相場よりも安い家賃で情報誌に掲載して、お客様に来てもらうことがあります。不動産の営業はお客様に来て頂かなければ始まらない待ちの営業なのです。

当然、お客様はその安い家賃の部屋を目的に来店するのですが・・・

不動産業者は絶対にその部屋を貸しません。なにかと理由をつけて違う部屋を契約させるのです。もちろん、「オトリです」なんてことは口がさけても言いません。

全ての不動産会社がそうしている訳ではなく、一部の会社がそういうことをしているのです。この「世の中、そんなに上手い話なんてないんだよ」というところを上手く説明して、大阪の各地域の家賃の相場を理解してもらうことが難しいのです。

なぜならお客様の頭の中には「そんな事言っても他の不動産屋に足を運べば相場よりも安い部屋があるんじゃないのか?」と考えているからです。

先輩には何度も何度もロールプレイングといってその話の持って行き方を練習させられました。そして私は一人でお客様の相手をさせてもらえるようになりました。

一人でお客様の相手をさせてもらえるようになりました。

しかし、先輩と同じようにしてもなかなか上手くいかずに、契約までいたりませんでした。私は、いろいろと創意工夫をするようになりました。

先輩に教えてもらったことを、私なりに使いやすくアレンジをして、営業をしました。ある日、女性のお客様が来店されました。

緊張しながらも自分なりの話の持って行き方で営業をしました

するとそれが上手くはまり、契約が取れました。 しかし、その私の話の持って行き方は教わったやり方と随分かけ離れたものでした。その一部始終を見ていた先輩が私に言いました。

「ずいぶんアレンジを加えたんだな」と。

そう先輩が言うほど私は独自のやり方になっていたのでした。ここで先輩は「何を勝手なことをしているんだ」と怒るかと思いきや意外なことに私の気持ちを認めてくれたのです。

「もしかしたら熊君のやり方が正しいかもしれないな」と。

先輩がそう言った理由は、私たちが扱っているマンションやアパートの賃貸の営業の歴史はそれほど長いものではないのです。大正時代後期に最初の木造アパートが誕生したことを考えると100年少ししか本格的な歴史はありません。

だから、まだまだ工夫の余地はあるかもしれないと言うことでした。

先輩が感心するほど、私はオリジナリティー溢れるトークを使い契約を取ったのでした。しかし、契約が取れたのはトークが良かっただけではありません。

お客様は急ぎで部屋を見つけたかったのです。急ぎのお客様ほど営業がしやすいものはありません。

先輩は、「もしかしたら独自のやり方で、みんながあっと驚くほどの成績が取れるかもしれないな」と私の創意工夫を否定しませんでした。

その後、先輩は話を続けました。

「しかし、それはたかが100年かもしれない先輩たちが編み出してきたやり方を無視することにつながると思う」

「短い歴史の中でも、いろいろな営業マンが回り道をしながら今のやり方を作ってきたことも考えないといけないと思うよ」

「もしかしたら俺が今言っていることは間違っているかもしれない。熊君が新たなやり方でとんでもない成功者になれるかもしれない」

「俺が教えていることよりも、もっと素晴らしいやり方を見つけられるかもしれない。そうだとしたら、俺はもう教えたくても教えてあげられない。なぜかというと、やったことのないやり方にアドバイスできるほど俺は出来る人間じゃないから」と先輩は諭すように話してくれました。

頭ごなしに「何で教えた通りに出来ないんだ」と言われても仕方がなかった私の自己流のやり方でした。後で良く考えると、とてもそのやり方で通用するとは思えないことでした。

先輩の言葉に反省した私。

なので、私は教えてもらった通りに出来なかったことを反省し、素直になることを先輩に誓いました。

先輩は分かっているはずでした。私のやり方は自己流で間違っていたことを。しかし、それを否定することなく諸先輩方がいろいろな回り道をしながら編み出してきた一種の口伝のような重みというものを考えさせてくれました。

口伝を無視するならしたらいいよと言うことです。その代わり、教えられないよと言うこと。つまり孤独の海での戦いになることですね。

黙ってサービス残業をすると上司に「なぁんだこの人数で大丈夫なんだ」と思われる。

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サービス残業労働基準法違反です。

サービス残業は賃金の発生しない時間外労働のことです。雇用主がその立場を悪用し、労働者に強制するのは違法行為であり、労働基準法には、6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金に処すると定められています。

では、従業員が勝手にやっているサービス残業は違反なの?

このケースで問題になるのは、見て見ぬふりをしているかどうかなのです。見て見ぬふりをするということは直接命令をしていなくても、黙認しているということで、それに対して賃金を支払わないことは違反行為です。

勝手なサービス残業をやめさせるのは意外と難しい

私の勤め先の食品スーパーでは、完璧主義者で、細かい所までこだわり、与えられた時間内では満足出来ずにサービス残業をしていたアルバイトのA君がいました。

彼に、「サービス残業労働基準法違反だからやめてくれ」と言ってもなかなか聞き入れてくれない時期がありました。

しかし、その彼がサービス残業をしなくなったきっかけがあります。

この出来事は同じく従業員の勝手なサービス残業に悩まされている人たちの一つのヒントにもなるのではないかと思い記事にしました。

きっかけは、新しく異動してきた店長にありました。

新しく異動してきた店長は売り上げに対して人件費をかけ過ぎているうちの店の現状を変えようとしました。つまり人件費を削ったのです、これに、A君が不満をぶつけてきました。

売り場がボロボロになってお客さんが離れる。

A君「こんなに人の数を減らされたら手が回りませんよ。このままでは売り場がボロボロになってお客さんが離れていってしまいますよ」

人の数が減らされて一人一人の負担が増えているから当然不満は出るだろうとは思っていました。

なので私は店の苦しい現状を話しました。

「大変だけど、今までの人件費だったら利益がでなくなるから仕方がないんじゃないかな?売上に対してこれ以上かけられない人件費ってもんがあるんだから、その目標とする数字に人件費を抑えるには単純に売上を上げるか人件費を削るかしないといけないだろ?」

この私の言葉にA君は、「でも、前の店長はどちらかと言うと人件費を削るよりも頑張って売上をあげて人件費を削らないようにしてたのに、今の店長は人件費を削ることばかり考えてますよね?」と新たな問題点を指摘してきました。

「あの店長は、この店のことを分かってないんですよ」とA君は言いました。

つまり、今の店長は店のことを理解していないから人件費を削っているのではないかということです。確かに、今の店長は異動してきたばかりだから店の現状(従業員の能力やお客さんの流れ)を正確に把握している訳ではありません。

しかし、その異動してきたタイミングで近くにライバル店が出店してきて売上が若干落ちているのです。本部の計らいで競合店対策でチラシをうち、競合店の価格対策もしていますが、それでもお客様は若干少なくなっています。

だから人件費を今までの様にかけられないのは仕方がありません。

しかしA君は「競合店が近くに出来たのなら、なおさら店をいいい状態に保って行くべきではないのですか?」と人件費を抑える守りの姿勢よりも責めの姿勢の方がいいということを言ってきました。

しかし、人件費を削ったのは店の責任者である店長の判断で行われているのです。まずはそれに従うべきではないかと私は思うのです。そして今回もっとも人件費で削られたのは閉店後の時間です。

今までは閉店後2時間アルバイトを使っていましたが、店長の指示で1時間に減らされました。 A君達アルバイトは、今まで2時間でやっていた仕事を1時間でやらなければいけなくなったのです。

2時間でやっていたことと同じことを1時間で出来る訳がありません。

どこかで妥協点を見つけて明日に出来る仕事は明日に回す割り切った動きをしないと時間を短縮なんてできません。

この妥協を最もきらうA君の性格を知っていた私は「今までと同じように完璧にしたい気持ちがあってもタダ働きはしないでくれよ」と先に釘をさしました。

「タダ働きでいけてる状態にしても本当の意味ではいけていないんだよ」

と、先にそれを言っておかないと彼はサービス残業をしてでも今までと同じように気の済むまで遅い時間まで残ると思います。勝手な残業は適性な人件費を考える上で障害になります。

だから、「A君が勝手な残業をして今まで通りの仕事を閉店後にしたら店長は『あっこれで全然いけるんだ』と思うだろう」と言いました。

店長は店全体の数字を考えた上で判断をしています。

だから、今までと違うやり方を取り入れているのです。だから、まずはそのやり方に従って、もし、どうしても無理だったら、その時に元のやり方に戻すかどうか考え直してもらったらいいと思いました。

そして、結果どうなったかというと、彼がサービス残業をしなくても妥協点を見付けて問題なく売り場はそこそこ維持出来ています。

サービス残業をしなくなった決め手は?

まじめで働き者な性格の彼は、サービス残業を禁止した私に最初反発していました。しかし、決め手はサービス残業がもたらすことによる新しい店長への影響を理解してくれたからです。その影響とは・・・・

サービス残業をされると適正な人件費を考える上で障害になるということです。