ありがとう熊さん

食品スーパーのおやじが、生き方について辛いことも楽しいことも含めて、心を込めて書かせてもらいました。

「ぶりっ子おばさんが嫌い」「なよなよした男は嫌い」と言うと人間性を疑われる

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何となく肌に合わない人に神経をすり減らす。

皆様の職場で何となく肌に合わないなと思うような人はいませんでしょうか?仕事で大きなミスをするわけでもなく、実害もないけれど、どことなく性格的に合わないなと思う人のことです。

実は、あの人とは合わないんだよな」とは良く聞く言葉です。職場にはいろいろな個性の人がいてて当然です。

それぞれ違う環境で育ち、異なる価値観をもった人が集まってきているからです。つまり、相性が合う合わないは現実問題として存在するのです。

そんな時に、どうにかならないものかと神経をすり減らし、心が落ち着かなくなっている人も多いのではないでしょうか?今回はそのような気持ちになった時に考えて頂きたいことです。

中年女性のぶりっ子な言動に心が振り回されていた私

勤め先の食品スーパーで、30代後半で中学生の息子さんがいてるパートさんのことが気になっていました。

とにかくキャピキャピしているのです。声がアニメっぽく、事あるごとに「あーーん」「いやーーーん」「ふんふん」「へぇーそうなんだー」と可愛く接してくる人です。

実は、私はその可愛さが苦手です。でも、本人には言えません。愛嬌があってみんなから人気もある彼女を否定すると私が悪者になるでしょう。それでも気になった私は・・・

今思えば随分ひどいと思うコソコソ話をしました。

自分だけが気になっているのかな?と思い同僚に「あの人の『イヤーン』『あーーん』って言うのどう思う?」と聞いたことがあります。

すると同僚は、「あっ!それは私も気になっていたよ。でも仕事でミスをしている訳じゃないし、まぁ、良いんじゃないの?」と言われました。

今から思えば陰でこのようなことを言うのは酷いことですが、その時は人に自分の気持ちを聞いてもらうだけで気が楽になったような気がしたものでした。そんな気持ちになっていたある日のことです。

なよなよした男性を毛嫌いする上司の話

「店長さんはおられますか?」と取引先の若い男性が挨拶をしにきました。さっそく内線で店長に伝えましたが、「あっ!俺、あいつ嫌いだから熊さんが適当に相手しといてくれる?」 と言わました。

なので、「申し訳ないのですが、店長は今、別の用事で手がはなせないので・・・」と言って、私が相手をすることになりました。

新商品の紹介なので、ほんの少しの時間だけで終わることですが、店長はなよなよしている男が大嫌いです。

店長は、同じ取引先からの挨拶でも、しっかりとした頭の回転の早い人だと話しがいがあると思うところが、なよなよしている男性の相手をすると何となく無駄な時間を過ごした気分になるそうです。

もちろん、店長も仕事なので、仕方なく相手をする時はきちんと対応をしているのですが、心の中ではイライラするそうです。ちなみに私は、男として気持ちは分からなくもないのですが平気です。

ナヨナヨしている男は嫌いではありません。

というよりも、むしろ好きなタイプです。大人しくて無害なイメージがあるからです。そんなことを店長と話すると・・・

「熊さんは人間が出来てますね」と言われました。

「僕は全然気にならないですけど」と言う私に対して、「熊さんは人間が出来てますね」と店長に言われ、複雑な気持ちになりました。

なぜなら、私は男のなよなよは平気ですが、女性のぶりっ子は苦手だからです。店長は逆に女性のぶりっ子は好きですが、男性のなよなよは大嫌いです。

それを考えると、どっちも人間が出来てないと思います。 あの時の私は、いくらなよなよした男性が嫌いだからと言って、その対応を部下に押し付ける上司の対応に人間性を疑いました。しかし、良く考えてみると私も同じような人間性を疑われることをしていました。

陰で人のことをああだこうだ言うことは人間性を疑われる

様々な個性が集まる職場において、「どうもあの人は苦手だな」「なんとなく嫌だな」そのように思うことは自由です。

しかし、問題はそれに対して神経をすり減らし、何とかならないものかと思い恥ずべき行動を取っていないかと考える必要があります。

そう考えると、上司が、なよなよした男性が嫌いだからと言って部下に対応を押しつけたことも、私が「あの人のぶりっ子な態度どう思う?」と陰で言ったことも両方とも恥ずべき行動です。

女性のぶりっ子。男性のなよなよした雰囲気。自分が苦手だと思う個性に対して嫌悪感をもちイライラする気持ちは分かるのですが、そんな時こそ、じゃあ、それに対してイライラしている自分はどうなの? と苦手な相手と自分を冷静に見比べて見るのです。

そうすればおのずと答えは見えてくるでしょう。 いずれにしても、「なんとなく、この人とは肌が合わないな」と思うことがあったとしても、それを周囲に言うことは、「そうそう私もそう思ってた」と言われることもあるでしょうが・・・ 「何言ってるの、この人は?」と人間性を疑われることも多いのです。

「あの人が言っていた」よりも自分の意見を言ってほしい

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「誰々がこう言ってたんだけど・・・」と嘘を言う人

皆さんの周りでこのような人はいませんでしょうか?自分の意見を言う時に、あえて「○○さんから聞いたことなんだけど」と自分の意見を他人からの意見のように言う人です。

「その意見に責任を持ちたくない」 「自分よりも影響力のある人の意見にすることで意見を通りやすくしたい」 など、その理由は分からなくもないのですが、あまりにも、癖のようにそういった言い方を多用されると「ずるい人だな」という印象を人に与えます。

嘘つきは泥棒の始まり

昔から良く聞くことわざに、「嘘つきは泥棒の始まり」というものがあります。嘘をつくことで心が悪に染まっていくのでしょう。

普通に意見をするよりも自分よりも影響力のある人の意見にすり替える。この安易なやり方が癖のようになると、周囲から大きな、しっぺ返しがくるということを目の当たりにした出来事があります。

勤め先の食品スーパーで、従業員に注意する時に、やたらと「お客様に言われたんだけど・・・」と、切り出すことが多かった店長の下で働いたことがあります。

「お客さんに言われたんだけど・・・」

とても、怪しいです。なぜなら店長は私のように店の中で動き回っていると言うよりも事務所にこもっている時間の方が長いからです。

そんなに頻繁にお客様が助言してくるものなのかな?と言うほど数が多いのです。 さらにその内容にも疑問があります。

ここの店員さんは他と比べて元気がないんですね」

「せっかく買い物にきたんだから商品を選択する楽しさがほしいですよ」

とお客様に言われたそうですが、確かに言われなくもないのですが、本当に言われたのか怪しい内容が多かったです。

なぜ、わざわざお客様が言ってきたことにするのか?それは、お客様からのご意見にしたほうが注意されたほうは納得に至りやすいからでしょう。

お客様あっての商売なだけにお客様からのご意見は重く受け止めなければいけません。そこを分かった上で「お客様が言ってたんだけど・・・・」を大義名分のように使っていたように思われるのです。

さらに店長は、上司が視察に来た後は、ここぞとばかりに私たちに駄目出しをしてくるのです。もちろん上司の名前を出してです。

「部長が言っていたんだけど・・・」

「部長が言ってたんだけど・・・」と、これも言われなくもないだろうと言うような内容なのですが、言い方がどことなく大げさな感じに聞こえました。

「来ていきなり言われたんだけど・・・・」

「めちゃくちゃに怒られたんだけど・・・」

と、ありえなくもない内容なのですが、その頻度の多さと大げさな語り口調から、なんだか怪しい。そんな気持ちにさせられました。

しかし、本人になかなか「それって嘘でしょ?」と言えることでもなく、悶々とした日々を過ごすことになりました。

そんなある日のこと、店長が発注ミスをしたのです。売れ筋の商品があと2日後でないと入って来ないと言う時に、近所の系列店に商品を分けてもらうことになりました。

その店へのお願いの電話は店長がしたのですが。そのお願いの仕方を私に自慢げに語ってきました。

「『お客様の注文だから』と言えば一発だったよ」

普通に、「商品の数に余裕があれば分けてもらえませんか?」と言うよりも、「お客様の注文なのですが、分けてもらえませんか?」と言う方が分けてもらえると言う独自のやり方を自慢してきました。

この時私は、「あっ!この人やっぱり黒だな」と思いました。 この店長とは半年ほどしか一緒にいませんでした。

半年ほどで他店に異動になりました。そして、残念なことに異動してしばらくすると降格になり、さらに消えるように辞めて行かれました。この話には続きがあります。

「あの人、いっつもそうなんですよ」

仲良くなった上司に辞めた店長について真相を聞きました。

店長は月に一回の会議の時に上司から、店長が率先してやるべき仕事について出来ていないことを指摘されると・・・ 「あれっ!○○さんに言ったんですけど?・・・えーと。申し訳ないです。もう一回言います」 と首をかしげながら1段高いキーの声をだし、スラスラっと言い訳をするのです。

部下に自分は言っています。やっていないのは部下が悪いから的な意味合いの発言です。

会社が力を入れて販売をする商品の売れ行きが良くないことを指摘された時には・・・ 「お客様がおっしゃってたのですがこの商品は・・・・」 とスラスラっと出てくる売れない理由に上司も最初は妙に納得させられたそうです。

しかし、毎回同じような自分の責任を逃れるような発言に、本部の上司から・・・

「いい加減にその言い訳はやめた方がいいですよ。周囲の状況のせいにばかりするのは自分には状況を変える力がありませんと言っているのと同じですよ」

と言われたのです。その時に、謝りつつも、首をかしげている店長の姿を見て上司は「こ・・・・これは直らないな」と思ったそうです。

「お客様が言ってたのですが・・・」を多用すると、まるでずるい営業マンの様に思われます。

この店長の「お客様が言ってたんだけど・・・」の口癖から思い出すことがあります。それは私が20代の頃、浄水器の訪問販売の会社で働いていた時のことです。

そこの上司から教わった事は、商品の良さを説明する時に・・・ 「さきほどのお客様にも言われたんですけど・・・・」と他のお客様がその商品を褒めていたという形にして話しを持って行った方が、信憑性が高まるというものでした。

それを聞いて私はずるいやり方だなと思ったものでした。 「誰々がこう言っていた」と自分の意見を人の意見にすり替えて、自分の意見に重みを持たせる行為。

たしかに、それが本当のことならば良いのですが・・・ それが嘘ならば、正直に自分の言葉で言うべきなのです。

なぜならば、自分の意見を人の意見にすり替えるという、ずるいやり口は癖になりがちで、周囲から気付かれた時には・・・ 自分自身の評価を大きく落とす結果になるからです。

心配しなくても駄目なら戻ってこれるんだよ

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「お久しぶりです。戻ってきちゃいました」

食品スーパーに勤めています。今回は私たちの会社の、ちょっとした自慢話をしようと思います。

実は私たちの会社では、アルバイトから社員になったけれど、またアルバイトに自ら戻ってくる人がおります。

この様な事を書くと、「オイオイ、それのどこが自慢話なんだよ?」「せっかく社員になったのに戻ってくるなんて恥ずかしくないのか?」という声が聞こえてきそうです。

しかし、戻ってきた人も温かく迎え入れてあげられるのはある意味温かい職場だと思うのです。今日はそんな話です。 

面接時と考えが変わる

最初の面接時に、「いずれは社員として働きたい」と言っていたアルバイトさんも心変わりすることがあります。

私たちの会社ではアルバイトにも、正社員登用のチャンスを与えたいとのことで経験を積んだアルバイトに店長が、「社員として働きませんか?」と誘う事があります

しかし、面接時の「いずれは社員になりたい」という気持ちから心変わりして、社員への誘いを断るアルバイト もいます。

なぜこの人達は心変わりしたのでしょう。 それは、私たち社員のハードな仕事内容をそばで見ているうちに、「やっぱりアルバイトでいいや」と言う考えになるからです。

やれば出来ると思うから声をかけているのにもったいない

この断ってくる人達に思うことは、実にもったいないということです。そもそも、無理な人には「社員になりませんか?」と声をかけません。

この人なら社員としてもやっていけるだろうと思うから声をかけます。 しかし、断ってくる人達の気持ちも理解出来ます。

なぜなら自分の力以上のことを求められるととても大きな苦しみを伴うのではないかという恐怖心は誰の心にもあるからです。

期待されて社員になったのに、「やっぱり駄目でした」と言うのは恥ずかしいのではないか?と思ってしまいます。そんな時に優しく背中を押してくれることがあります。

それは、駄目だったらまたアルバイトに戻れるんだという事実です

実際に私のいてる店でも過去に何人ものアルバイトが社員になりました。その人達の中には、店長から「駄目だったらまた戻ってきたらいいじゃないか?」と言ってもらった人もいます。

そして実際にアルバイトで戻ってきた人もいます。もちろん、私たちは温かく迎え入れるようにしています。

そもそも社員に推薦されるアルバイトは周囲がその働きを認めた人なのです。店にとって必要だけれど、その人の将来を思って推薦をした人なのです。

「駄目なら戻ってもいい」はチャレンジ精神を高めてくれます。

この「駄目なら戻ってもいい」ということは賛否両論あると思います。チャレンジする前に逃げ道を作っているようでそのチャレンジへのハングリー精神が削がれるのではないかと思われる方もいるでしょう。

しかし、その逃げ道があるから社員へのチャレンジを決意して、社員として活躍している人もいるのです。

急増する中年フリーターが社会問題になっていますが、この様に人の背中を優しく押してくれる私たちの会社もあるという、ちょっとした自慢話をさせていただきました。