ありがとう熊さん

食品スーパーのおやじが、生き方について辛いことも楽しいことも含めて、心を込めて書かせてもらいました。

自分の仕事なのに他の人が勝手に手を出してくる。「面白くない」「やる気がなくなる」を解決する

手伝わなくても、手伝ってあげても愚痴を言う

「人間って勝手な生き物だな」とつくづく思います。「どうして手伝ってくれないの?」「私だけが頑張っているのは不公平だ」と騒ぐ一方でこんな声も聞きます。

「私の仕事に手を出さないで」と言う不満です。手伝ってもらえない時に愚痴を言う人が、今度は、手伝ってもらえたら感謝どころか「余計なことをしやがって」と相手を恨むという矛盾した感情を出します。

実は、人から感謝されるちょうどいい「お手伝い」と言うものは難しく、先輩と言えども、良かれと思って、後輩の仕事のフォローをすると、ありがたいと思われる時もあれば、迷惑に思われる時もあります。

自分の仕事を手伝ってほしくない心理

人の仕事を手伝う前に自分の仕事をもっとしっかりやってほしいと思う。つまり他人の心配をする前に自分の心配をしろという気持ちになる。

自分が考えている通りのやり方ではなく、先輩が主導権を握り、余計なことまでされてしまう。こうなると手伝ってもらったというよりも、仕事を取られた気持ちになる。

自分が責任をもってやっている仕事なのに、ケチをつけられたという気持ちになり、プライドが傷付けられる。

「誰も手伝ってくれない」と嘆く声の方が多く目立つため、見落としがちですが、意外とこういった不満がもとで起きる従業員同士のトラブルを見かけます。

手伝う方は、良かれと思っている。

手伝われる方は、迷惑と思っている。

両者はどうして分かり合えないのでしょう?今回は私の職場で起こった、「手伝われることに不満をもった従業員のトラブル」をご紹介して、人の仕事を手伝う人・手伝われる人の両者が配慮すべき問題点を洗い出していこうと思います。

先輩と後輩の口論の理由

勤め先の食品スーパーで、パートさんから、「何やら、あっちの方でもめているみたいだよ」と言われました。

どういうことかとバックヤードへ見に行くと、アルバイトの先輩君と後輩君が口論になっていました。

原因は、後輩君がお菓子の発注を任されているのに、先輩君が、勝手に追加発注をして在庫置き場がいっぱいになったからです。

なので、後輩君は「勝手に追加発注はしないでください」と言いました。しかし、先輩君にも言い分がありました。「出来ていないからフォローをしているんだよ」ということです。

発注というものは、少なすぎるとお客様に迷惑がかかり、かといって多すぎると在庫の管理が大変になります。

適正発注をしようと頑張る中で、予期せぬまとめ買いがあり、ごっそり売り場から商品がなくなることがあります。

だから先輩君は、後輩君の休みの日に、「あっ、これなくなっている。大変だ」と思って追加発注をしていたのです。

 手伝われると邪魔されていると思う

先輩君は良かれと思ってやっていることです。その行動そのものは良いことだと思いますが、後輩君が出来るだけ在庫をもたないように考えて発注をしているのに、どんどん余計なものまで追加されて腹が立ったのです。

今までは、自分の発注のミスをフォローしてくれている先輩ということで我慢していたけれど、その我慢が限界になり、ついに先輩君に意見をしたのです。そして、口論になりました。

後輩君は、「僕には僕の考えがあってやっている仕事なんですよ」と言い、先輩君は、「お前に全部任せてたら失敗するだろ?」と言い、二人の意見は平行線になっていました。

そして、私が間に入り、両者の気持ちは分かると言った上で、今後は先輩君は、売り切れているもの以外は、後輩君の追加発注をしないということになりました。

手伝われると担当者として面白くない。

若干腑に落ちていなさそうな先輩君に事務所で話しました。
「気持ちは分かるけど、フォローは最低限でいいよ」「彼は彼なりに必死で考えて動いているんだから、その後ろからなんでもかんでもフォローするのは何のための担当者か分からなくなるよ」と言いました。

私がそう言った理由は、先輩君が後輩君のフォローする気持ちは分かります。おそらく先輩君は、最初のうちは売り切れていた商品だけ、お客様に迷惑がかからないようにフォローしたのでしょう。

しかし、フォローしているうちに、「あっこれも少ないな?」「あっちも少ないな?」「どうせ売れるんだからもっと取っておいたらいいのに」と言う気持ちになって、後輩君が発注した後をもう一度全部確認するようになったのでしょう。

そう、悪気はないのでしょう。しかし、男の仕事にかける気持ちというものを無視しているのではないか?と思いました。

俺がやっているのに、勝手に人の仕事をさわるな。俺には俺の考えがあるのに横から邪魔しやがって、ややこしくしやがって・・・そんな気持ちになって、後輩君としては面白くなかったのでしょう。

フォローの線引きをしっかりさせる

 自分の仕事を触られたくないと思っていても、仕事内容によってはどんなに頑張っても、周囲からのフォローが必要な時もあります。

それが本当に必要なフォローなのか、その線引きを先輩が見誤ると、せっかく良かれと思ってしたことが相手に迷惑なことと思われてしまいます。

先輩として、気を付けなければいけない問題ですが、後輩は立場的に先輩に対して、我慢を重ねていることが多くあります。

そんな我慢が限界に来た時にさきほどの話のような口論に発展することがあります。やはり、ここは、その上の上司や先輩を通して、フォローの線引きをしっかりさせることが一番の解決だと思うのです。

何かをフォローする時、任された本人に言わずにやると「勝手なことをしやがって」と思われます。報告・連絡・相談は、基本中の基本です。

言わずにやるのなら、最小限のフォローで、自分の責任の範囲内でやるべきでしょう。それがフォローする側の気を付けるべき相手への配慮です。

では、フォローされる側はどうなのか?こちらも大きな勘違いをしている場合があります。

「その手伝いは迷惑」は言わなければ伝わらない。

自分の仕事が出来ていないのに人の仕事を手伝いたがる人。私もずいぶんこの手の人に頭を悩まされてきました。特に若い時分の血気盛んな頃は大変なストレスで胃が痛くなりました。

日本語には「ありがた迷惑」と言う言葉があります。「まずは自分の仕事を先にしろ」と迷惑に感じます。

自分がやるべき仕事を横からやられてしまう喪失感。何のための担当者なの?これじゃ、私が担当している意味はないんじゃないの?と疑問に思ってしまいます。

自分が任せられているのに、後ろから私の仕事を追いかけられる。まるで私がちゃんと出来ていないみたい?そしてプライドがズタズタになります。

しかし、相手は良かれと思っていることです。どんなに私がプライドズタズタの喪失感にさいなまれていても言わなければ相手には伝わりません。

そういう意味では今回の後輩君が先輩君に直接つらい気持ちをぶつけたのは、お互いにとっていい経験になったでしょう。

しかし、立場上言いにくい。言っても実際にフォローされている部分もあり、無下に「手伝うな」と言いにくいケースもあります。

そんな時は、いつか気づいてくれるだろうと希望的観測になります。しかし、希望的観測は、希望のまま終わります。

そんな時はどうすればいいのでしょうか?

勝手な手出しが本当に迷惑なのかを疑う

「手伝ってほしくない」「でも言えない」と言う気持ちの奥には手伝ってもらって多少は助かっている。フォローされているという気持ちが隠されています。

つまり、100%邪魔なことをされているわけではないのです。それなのに、「別に手伝ってほしいといった訳ではないのに」とブチ切れそうになる感情を抑え、心臓はバクバク、胃はキリキリ。

相手に対して、「まるで手伝ってやった」と言わんばかりの表情を感じ、「俺に感謝しろ」と言わんばかりのオーラを感じてしまいます。

心のどこかでは、「フォローしてもらえた」と言う気持ちがありながら、自分のテリトリーに入ってこられたという気持ちの方が勝ってきます。

そんな時は、とても大事なことを見落としています。

「自分の仕事を手伝われた」と言うストレス。よく文面を見るとあることに気付きます。自分の仕事?それは本当に自分の仕事なのでしょうか?

本当に自分一人だけの仕事なのでしょうか?そうではないはずです。自分が任されているというだけで、みんなの仕事です。

本当に自分の仕事と言い張りたければ、世の中にはいくらでも、一人で完結する仕事があります。いわゆるフリーランスの仕事です。

風邪をひいても、忙しくても、自分しか頼れないフリーランスの仕事です。これなら誰にも手出しはされません。

それでも、「自分が任せられている仕事だ」と腹が立つことはあるでしょう。しかし、長い目で見れば、任せられている期間なんてものは人生のほんの一瞬です。

ずっと、その仕事は自分のものでしょうか?年を重ね、様々な役割を経験すれば、そうでないことを身をもって知ることが出来るでしょう。

「自分の仕事なのに」と嘆く人は「みんなの仕事」であることを見落としているのです。

 

あやしい催眠商法 だましの全手口  身近な人を守るために知っておくべきこと

あやしい催眠商法 だましの全手口 身近な人を守るために知っておくべきこと

 

 

 

「あやしい催眠商法だましの全手口身近な人を守るために知っておくべきこと」
単行本: 230ページ
出版社: 自由国民社 (2018/11/2) 
筆者 ロバート・熊
イラストレーター にゃんとまた旅/ねこまき
身近な人を守るために知っておきたい催眠商法の現場を元社員が詳細に明かした本です。
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1.いかにしてお年寄りのこころを奪うか、元社員が明かします。   
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大型書店の法律書の棚に並べられていることが多いです。
お近くの書店に置いてない時は、本のタイトルをお控えになり、お取り寄せでお願いします。

「前の上司の方が良かった」と思うのは当然のことであり当然のように消え去るものである

上司が変わることで生じやすい部下の悩み

前の上司の方がよく動いてくれたのに
前の上司の方が優しかったのに
前の上司の方が好きなことをやらせてくれたのに

組織の中で生きる以上は、上司の交代は避けては通れない問題です。そこで上記のような不満が生まれやすいでしょう。

私が勤める食品スーパーでも店長の交代が頻繁にあります。店はその都度店長の個性が変わることで、ドタバタ劇がおこります。

今回はそんな私の経験談をご紹介して、この上司交代についての不満への解決のヒントを書きたいと思います。

新しい上司が動かない

パートさんから、「あの店長、全然動きませんね」と不満をぶつけられたことがあります。パートさんの不満の原因は前の店長と見比べたことでした。

私が勤める食品スーパーでは店長の異動が頻繁にあります。パートさんの愚痴は新しく交代した店長と前の店長を見比べて思った不満でした。

上司にも個性と言う物があります。会社勤めでは部下は上司を選べません。頭では理解しているものの、どうしても上司が交代した時はそれぞれの個性を見比べて、「前の上司の方が・・・・」「今の上司の方が・・・・」とどちらが良いか見比べてしまうことが多々あるように思います。

その時のパートさんの愚痴も前の店長と比べて新しい店長はレジ打ちも、商品の補充もほとんどしないことに対する不満からきたものでした。

前の上司の方が良かった

「前の店長の方が良かったです」と言うパートさんの言葉に、「そうとも言えないですよ」と私は言いました。なぜなら前の店長がしていた仕事はレジ打ちや商品補充と言っ

たアルバイトでも出来る内容の仕事だったからです。

確かにアルバイトの仕事はとても大事です。しかし、時給で考えると店長がアルバイトでも出来る仕事ばかりをするのはもったいないという面もあります。

新しい店長はレジや商品補充をあまりしないけれど、売り場のレイアウトの変更や事務的な仕事などで力を発揮していました。

上司が得意な仕事をするのは仕方がないこと

様々な上司の下で働いてきて思うことは、上司も人間である以上は、得意不得意があると言うことです。上司が得意な仕事ばかりをするのはある意味仕方がないこととして割り切れるようになりました。

なぜなら、上司は部下に指示を出す立場であり、指示を受ける立場ではないからです。自分の判断で動くことが出来る立場です。

「前の店長の方が良かった」と言う言葉に疑問をもった出来事

そうは言っても私もパートさんと同じで新しい店長がレジや商品補充をあまりしないことに対して若干の不満を抱いていました。

今まで、店長がやってくれていたことを自分たちがやらなけらばいけないと言う負担が増えた不満です。

しかし、前の店長も異動先の店の従業員から不満を持たれていることを知りました。
そこの従業員で仲の良い社員から聞きました。「いやー、今の店長は、レジや商品補充ばかりしてますよ。せっかくの店長なのにバイト仕事ばかりしていてもったいないですよね」

私たちが評価していた前の店長の動きは他の店では不満の原因になっていたのでした。

良く動く上司もあまり動かない上司もどちらも不満の原因になりえる

今までさんざん「良く動く上司」と「あまり動かない上司」を見てきてそれとともにパートさんやアルバイト君から多くの不満を聞いてきました。しかし、本当にどうしようもない人間がそうそう上司になれるものではないと言うことです。

本当にどうしようもない人間はそのうち消されます。

本当にどうしようもない人間が上に立つと、売上の減少やクレームの多発など、なにかしらの悪影響がでるのです。そんな状態を会社は放っておきません、店長を下ろされます。

過去に何人もそういう店長を見てきました。 自分たちはこんなに汗を出して頑張ってるのに、なんで動かないんだと腹が立つのですが、会社は何の取り柄もない人を出世させません。何かを持っているから出世をします。

世の中の全ては常ではないとつくづく思います。 

上司が変わるとどうしても前の上司と見比べて不満が出やすくなると思います。しかし、本当にどうしようもない上司なのか?良く見る必要性があると思います。

上司への不満は、あくまでも得意、不得意が前の上司と違うだけではないか?その上司の不得意な仕事が回ってきて、その状況の変化に自分が気持ちを切り替えることが出来ないからではないかと思うのです。

「あの時の失敗があるから今の俺がいる」・・・そんな話を聞かせてくれてありがとう

成功したことだけが称賛される社会なんて嫌だ。

「成功したことだけが称賛される社会なんて嫌だ」といきなり、ひねくれたような主張から入りました(笑)。

なぜ私が今回このようなことを書こうかと思ったのは、私たちの周りでは成功したことだけが称賛される社会になっているような気がするんです。あくまでも主観ですげどね。

なので、失敗したら、「それ見たことか」と白い目で見られるのではないか?そんな恐怖に怯えちゃうんですよ。

そして、「どうせこんな風に人生に失敗したみじめなおっさんの話なんか誰も聞きたがらねぇだろ」と思いこんでしまうんです。

そして、変に自分を大きく見せようと、過去の話はとてもキラキラした武勇伝になるんです。

「昔はやんちゃでブイブイ言わしてたんだよ」

「あの時の失敗があるから今の自分がいるんだよ」

「人よりも多くの苦労を味わってきた俺だから今を強く生きれるよ」

皆様の周りにこのようなことを言う人はいませんでしょうか?聞いてもいないのに一体何の目的があるの?と周囲は、「んっ?」と首を傾げる。

そして「これって美化してねぇか?」と勘ぐるのです。いったい何のためなのでしょうか?

「キラキラつけなきゃやってられない」自分の過去を美化する理由

過去の自分を大きく見せることで優越感に浸りたい。

過去の失敗(自分がしてきた人生の選択)を正当化したい。

数多くの苦労を味わってきた自分の凄さを理解してもらいたい。

このような理由が考えられます。そして今回はその中でも、過去の失敗に対して美化する男性の心理について深く掘り下げてみたいと思います。

失敗したのは自分の実力不足。でも、そんな失敗にもキラキラしたものをつけなきゃやってられないという気持ち。

一見、そんなの反省してないだけじゃん?と思われるかもしれませんが、これはこれで人生を前向きに生きる上では大事なことだと思うのです。

その理由はこれから私が過去に出会ってきた「自分の過去を美化したがる男たち」の中でも、最も印象に残っている男をご紹介して、それから順を追って説明していきたいと

思います。最後までお付き合いをお願いしますね。

「ラーメンで天下を取る」と言った男

3年前、同じ職場で働いていた天下君(仮名)の話です。天下君は子供時代からの「独立して社長になる」と言う夢をかなえるべくラーメン屋を開業することになりました。

職場を離れる時、彼が言った言葉が今でも忘れられません。それは・・・

「俺は10年後にラーメンで天下を取るんだよ」

彼のビッグマウスに私は、心の中で、「おかしなことを言う奴だな」と思いつつ、「へぇ~~そうなんだ」と返しました。

その後、1回だけ食べに行きましたが、彼には会うこともなく月日が経ちました。そして、いつの間にか彼はラーメン屋をやめてしまいました。

彼はどうしているんだろう?

彼のその後が気になっていました。そんな彼と町で偶然会うことが出来ました。

「ま・・・まさか熊さん?」

久しぶりの再会に目を輝かせる天下君。

「そのまさかや」と返す私。

話を聞くと、天下君はラーメン屋をたたんで、今は派遣の仕事をしているそうです。おそらく儲からなかったんでしょう。商売がうまくいかなかったんでしょう。

「もっと彼から話を聞きたい」と思い、彼をお茶に誘いました。ショッピングモールの喫茶店に入り、私はわざと意地悪な質問を投げかけました。

「そういえばラーメンで天下を取るって話はどうなったの?」と。

すると彼はこのように言いました。

「味で勝負できる時代は終わったよ」

「熊さんも食べに来てくれた時、『美味しい』って言ってくれただろ?でも美味しいだけで成功できる甘い世界じゃないんだな」

「いくら旨いものを作っても、今はそれ以外の要素(場所・従業員の質・地域制・宣伝・時代の流れ)とかが複雑に絡み合って初めて成功するんだよ」

「まぁ、俺も最初は『食べたら分かる』と思って商売したのは考えが甘かったけどね」

どんどん出てくる彼の「美味しいけれど失敗した」と言う話にくぎ付けになりました。もっと聞きたい。そう思い「へぇ~、ふんふん、それで?」と話を引き出しました。

あの時の失敗があるから今の自分がいる

彼はさらに目をキラキラさせながらこのように話してくれました。

「下手に成功してたら自分は駄目になってたと思う」

「お客さんはみんな、『旨い』って言ってくれたけれど、旨いだけで成功するには時間がかかりすぎると感じたよ」

「確かに何年もやれば、その地域で認められる店にはなれると思うけれど、俺が求めているのってあくまでも「天下」だし」

「でも、苦労して一つの店を成功させたとしても、その苦労した年数分、達成感というもので満足してしまって、そこで自分は終わるんじゃないか?と思ったよ」

「今の時代、新しいラーメン店は10件中9件が一年以内につぶれるから、一つの店を成功させるのも凄いことだから]

私は、「へぇ~なるほど」と聞きほれました。さらに彼は話を続けました。

「結局失敗したことには変わりはないんだけど、自分を見つめなおすいいきっかけになったと思うよ」

「時代が悪かったと言っても、その時代を見極められなかった俺の方が悪かったと今では思っているよ」

そして最後の決め台詞はやはり:::

「あの時の失敗があるから今の俺があるんだよな」でした。

成功談よりも失敗談にひきつけられる。

いかがでしたでしょうか?私は、すごい男だと思いました。何がすごいかと言うと、ここまで過去を美化する男は初めてだからです。

どんどん出てくる彼の失敗をも武勇伝にする話に聞き入ってしまいました。どこまで失敗談にキラキラを付けるのだろうと思いました。

私が彼に感じたことは?

「なんだかんだ言っても結局失敗したんだよね?」です。

でも、ついつい聞き入ってしまった私。人って意外と誰かが成功した話よりも失敗した話に引き付けられると思います。

状況によって「それもありかな?」と思うこと。

そんな失敗した話でも、大きく分けて2つに分かれると思います。

自分の実力不足による失敗
自分以外の原因での失敗

基本、私が誰かから失敗談を聞いた時に2番目の自分以外の原因を語られたら、あまりいい印象を持たないことの方が多いです。

そこには反省もなにも感じられないからです。むしろ現実から逃げているようにも思えるからです。

しかし、状況によってはそれもありかな?と感じています。それは、その職場を離れたときです。

現在進行形で、その職場にいる立場で失敗を美化して、「世の中が悪い」「運が悪い」というのと、過去の職場に対して美化するのとでは聞いていて印象が変わります。

なぜなら、その人は土俵を降りた人です。もう幕は下りたのです。今更悔やんでも、その仕事はもとに戻ってこないからです。

「あの時こうしておけばよかった」と悔やんでも、その仕事は取り戻せません。そんな人の失敗談にキラキラ付ける気持ちは男として理解出来ます。

自分の過去を価値あるものとして認めたい。過去をキラキラしたものとして持っておきたい。そんな気持ちが理解できます。

なので私は温かい目で、気持ちよく彼の話を聞くことが出来ました。というよりも聞き入ってしまいいました。なぜなら・・・

美化された失敗談には意外と気づきがある。

自分の実力不足よりも、世の中の状況というものによって失敗したという話。単純に「実は、僕の力不足なんです」で話が終わるよりも、いろいろなことが見えてきます。

「味で勝負できる時代は終わった」
「旨いもの出せば客が来るなんて考えは甘い」

そんな彼の言葉からは商売の厳しさを感じることが出来ました。彼の話を聞くことで、自分は安全な立ち位置から、なんの痛い目も遭わずに世の中の厳しさを実感できたのです。

つまり、その話はする方もされる方にも効用があるのです。そして、成功した話が称賛される世の中で、みんながみんな成功した話を聞きたいわけではありません。

失敗した話も意外と人をひきつけます。そういう意味では、過去にとんでもない失敗をしたけど、その教訓で今の成功がある的な話は最強でしょうね。

失敗談を聞きたい人にも、成功談を聞きたい人にも、両方をひきつけそうです。

偉人レベルは失敗すら概念にない

失敗を繰り返して成功したという話で私がまっさきに思い浮かぶのは、世界の発明家トーマス・エジソンです。

私たちの子供の頃って先生はエジソンの話をする人が多かったような。多分今でもそうなんでしょうけど。

電球を発明するのに2万回あれこれ試して失敗?してやっと成功したって話。努力を重ねることの大切さを子供に教えるにはとてもいいお話。

でもエジソンにとっては、「2万回の実験は失敗じゃなかった」と語ってたんですよね。失敗じゃなくて発見だって。

これってすごいセリフですよね。私だったら、2万回も失敗しちゃったよ~って話するけど、っていうかそんな努力できないけど。

エジソンにとってはそれは失敗ではなく、「あっこの材料でも光らなかった」という発見なんですよね。

いや~~しびれますね。もう、このレベルになると開いた口がふさがらないというか、世界の発明王には失敗すら概念にないのかな?毎日が発見。素晴らしいです。

「あの時の失敗があるから今の俺がいる」の効能とは?

エジソンの例を出しましたが、これは極端な例で、職場で、このように「失敗じゃなく発見だよ」と言うと「あほか?」と思われるでしょう。

私は何も失敗から逃げろと言っているわけではありません。職場では、失敗したら反省して次につなげる努力が必要だと思います。

しかし、私が今回言いたい状況というのは、過去の職場での失敗談です。これには多少のキラキラをつけても許してあげたくなるんです。

なぜなら、「自分が悪い」「自分は駄目な奴だ」と落ち込みすぎてしまうことが考えられるからです。

反省は大事だというけれど、反省してもその仕事はもう戻ってこない過去の仕事です。大事なのは現在進行形の仕事です。

過去の仕事での失敗を引きずるよりは、そんな失敗でもメダルのように掲げて、「はぃ、次行ってみよう~」と前向きに考えた方が良いでしょう。

「あの時の失敗があるから今の俺がいる」なんだそれ?と聞く方は思いがちですが、これはこれで、心を軽くして前向きに生きていける効能があるんですよ。