ありがとう熊さん

食品スーパーのおやじが、生き方について辛いことも楽しいことも含めて、心を込めて書かせてもらいました。

とりとめのない話を長時間されるお客様へ、これ以上応じられない姿勢を見せることは冷たい対応なのか?

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若いお客様よりも年配のお客様に多いと思う

 人と接する仕事でよく言われるのが、事務的な対応ではなく、人と人との人間味ある対応を心掛けた方が良いということ。

 でもね、人は十人十色、不特定多数のお客様が来店される店ではもう、それこそいろんなお客様がいるんですよね。

そんな中で、ある程度の事務的な対応も必要かなと思うことがあるんです。そのうちの一つがとりとめのない話を長い時間されるお客様。たいていの場合は年配のお客様。

というよりも、年配のお客様しか知りません。間違っても20代の女子大生が、私にとりとめのない話を長時間してくることはありません。どうしてでしょうね?

年を重ねた人にしか分からない寂しさ

 若者が、「いったい何の話なんだ?」と首をかしげたくなるような話をされることがあります。つい最近も、こんなことがあったんですよ。

ちょっと兄ちゃん

「ちょっと兄ちゃん、あんたにちょっと言いたいことがあるねん」といきなり見た目70代ごろの女性のお客様に話しかけられました。

なにやら、切羽詰まったような表情から、クレームかな?それとも・・・と、こういった時ってね、いい話はめったになくて、あまりうれしくない話の方が多いんで、何をこれから言われるのかと緊張の走る瞬間だったんです。

それにしても、今回は驚いたんですよ。もう想像の斜め上を行くようなことを言われたんです。

あの男は絶対に相手したらあかんよ

お客様 「ちょっと兄ちゃんに一言、忠告しといたるわ」

私 「はい、どういったことでしょうか?」

お客様 「あのな~兄ちゃんも自民党の〇〇は知っとるやろ?あの男はな、絶対に相手をしたらあかんで~」

※この時、私は自民党の〇〇さんの名前は知っているけれど、会ったことも見たこともありません。相手をするも何も近づいたこともないのに?って言う気持ちでした。

20年間騙され続けたの

お客様「私はな、20年間もあの男に騙され続けてな、家も財産も全部持って行かれたんや」

私 「あっ、はい」←とりあえずハイとしか言えない私。

お客様 「あの男のすることは、血の通った人間のすることと違うで~。家も財産も失った私に最後に残された50年間のアルバムまで盗んでいったんや」

※ 私の頭の中では、この話はいつまで続くのか?しかありませんでした。大体私にそんな話をされても私は何もしてあげれませんから。

しかし、そんな私の心配をよそにこういったとりとめの無い、あの男はどうだこうだの話が続きそうなので私はこう言いました。

警察に相談すべき問題

私 「それは大変ですね。警察に相談された方が良いですよ」

すると、お客様は目を吊り上げて、テンションをあげてきました。

お客様 「何を言ってるの?警察なんてあてに出来ないのよ。警察もみんなぐるになって私に嫌がらせをしているのよ」

※ もうこれ以上話をしても仕方がないと判断した私は・・・

私の逃げ口上に

私 「申し訳ございませんが、今から別の用事がありますんで・・・」と

す~~とその場を離れることにしました。

別の用事という逃げ口上にお客様は、「あっハイ」と言いつつも、離れていく私の背中に向かってこう言いました。

「兄ちゃんこのことは黙っておくんやで、でないと暗殺されるからな」と。

どうしてとりとめのない話をするのか?

かなりハイレベルな、とりとめのない話だったと思います。とりとめのない話を

長々とされる。どうしてでしょうか?

  • 寂しさからか?
  • 長年蓄積されたうっぷんか?

いずれにしても、こういったお客様が求めているのは自分への優しい言葉や共感でしょう。

しかし、求められているのに応じてあげたいという気持ちがあっても、それは、とうていできることではないんです。

きりがないんです。

ここで必要なのは、同情ではなく、事務的にこれ以上応じられないことをやんわりと伝えるべきだと思うんです。

そうでないと、仕事は1ミリも前に進まなくなるでしょう。とはいっても、それでいいのかな?って言う気持ちもありました。

気の毒だなと言う気持ちが生まれたからです。事務的に離れるってどうなんだろうと思ったんです。 

人間って誰でも年を取りますよね。20年後、30年後はわが身の話になるんです。

といった遠い未来の話ではなく、直近であれば自分の親も昔に比べて同じような話を何度もするようになってきたのも気がかりです。

事務的に離れるというのは冷たい対応なのか?

しかし、ここで相手が求めている共感だとか、優しい言葉とかでは、いつまでたっても話は終わらないんですね。

応じれば応じるほど、終わりはなくなると思うんです。気の毒にと同情する気持ち。これはいかんともしずらいものですが、けじめはつけないといけないんですね。

冷たい対応なのか?そう思ったけれど、あくまでもけじめとしての対応なので、やんわりと、これ以上は応じられないと伝えることは決して失礼でも、冷たいことでもないんですよね。