ありがとう熊さん

食品スーパーのおやじが、生き方について辛いことも楽しいことも含めて、心を込めて書かせてもらいました。

フランチャイズって、どこの馬の骨か分からん奴に儲かることが分かっている店を簡単に与えるわけないよね

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無知はすべてを失う

後で振り返り、冷静になり考えたら分かることなのに、なぜそこに気付かない?過去を振り返りあの時の自分に説教をしてやりたい気持ちです。

タイトルにもあるように、「儲かることが分かっている店をあなたに任せるわけないでしょ」っていうことにすべての今回お伝えしたことがつまってるんです。

でもね、この話って、現実のリアルの世界では、あまり私は話することはないんです。

と言うのも・・・

何度も何度も同じこと聞かれてうんざりなんです。

今は、食品スーパーに勤めているのですが、こう見えても10年前は某居酒屋のフランチャイズに加盟しててね、小さいながらも居酒屋のマスターだった私。

前職を聞かれたら正直には答えているんだけど、この話を誰かにすると、かなりの確率で食いついてこられるんですよ。

まぁ、それはそれで嬉しいんだけど、「どうして辞めたの?」には、複雑な気持ちで答えてるんですね。

で、私はこう答えているんです。

「実際にやってみたけど、自分には向いていなかった」と。

それは実際にそう思っていて嘘をついているわけではないんだけど、心の奥底では、「場所が悪かったんだよ」と言いたい気持ちが山ほどあるんです。

場所のせいにするのは恥ずかしい?

私が加盟した居酒屋のフランチャイズってね、駅近の一等地ではなく、あえて一等地から外れた家賃の安い店舗での営業をウリにしていたんです。

地域に根差す、マスターの人柄、魅力で勝負するような店です。あまりこれ以上言うとどこのフランチャイズかバレると思うし、いろいろ面倒なので省略しますね。

簡単に言うと、マスターが人間的な魅力で、常連客を増やしていくようなお店。男性版スナック。

そんな店でね、儲からなかったのを店のせいにするのは、みっともない気持ちも生まれているんです。

儲からない奴ほど、場所のせいにするという本部の考えがあるんですね。儲からないのは場所ではなく自分の責任であることを自覚しなくては失敗して当たり前っていう教えがあったんですよ。

とはいっても、私は辞めた人間ですし、そのことをどう思おうと、勝手なんですが、「場所が悪かった」と言うよりも、自分の至らなさを話したほうが楽なんですよ。

下手に場所のせい。本部のせいにするとね・・・

「こいつ言い訳がましい奴だな」と思われるのではないかという恐れね。

実際に繁華街からほど遠いような場所で成功している加盟店も多くあるからね。

でも、あまりにも、お荷物的な店を任されたら?

直営店なら、間違いなく撤退して店を売り払っているであろうお店。そんなお店を与えられることがあるんですよ。

昔は儲かっていたお店。でも今は評判が地に落ち、地域住民からそっぽを向かれているお店。

やり方次第で赤字店舗を黒字に出来るという。そんな生易しいレベルではないお店もあるんですよ。

もちろん、フランチャイズの説明会の時に、店は本部が用意するもので、自分では選べないと聞いていたので、ある程度は納得済みです。

でも、いくらなんでも、それはないだろ?と思うような私の経験談です。

未経験でもやる気次第で成功できることを謳うフランチャイズチェーン。

その募集を見るといかにこのビジネスモデルが素晴らしいかということをこれでもかとアピールしていました。

月収100万円可能。わずか3年で複数の店舗を経営するオーナーになった例など、とても夢がありました。

もうサラリーマンは嫌だ

子供の頃からの夢は社長になることでした。しかし、何のノウハウも持ってない私。それならノウハウが用意されているフランチャイズならいいんじゃないか?という考えになりました。

自分で一からやるよりは、ネームバリューもあるし、システムやノウハウも学べて、と言うよりは盗んで、いずれはオリジナルのお店を持とうという気持ちでした。

飲食は不況に強そうなのと、本屋に並んでいる成功者の本も居酒屋の社長が多いことも後押ししました。よし、これでいこう。そう思いその居酒屋フランチャイズに応募しました。

厳しい修業の後に用意されていたボロボロの店舗

4カ月の研修の後、本部で正式に契約をすませ、案内されたのは、家から車で30分。そして、築何十年?と思うような小さくボロボロな店舗でした。

「えっ?」と思いましたがもう後戻りできません。覚悟を決めました。

眠たい目をこすりながら駅でのチラシ配りをしました。

どうしてこんなにお客さんが来ないんだ。歩いて5分の駅近なのですが、駅の商店街を抜けたとても静かな場所に店舗はありました。

待っててもお客様は来ない。15時からの仕込みと2時までの営業でフラフラなのですが、昼から住宅街や駅に「ドリンク1杯目無料」のチラシを配りに行きました。

しかし、効果はほとんどなく、お客様はほとんど来なかったです。

信じられない。こんなに頑張ってるのにお客様が1日ゼロって(涙)

17時からの営業から厨房の中でいつ来るのか分からないお客様を待つ。とても辛かったです。1日営業してもお客様が一人も来ない日もありました。

ノーゲストでノーマネーでフィニッシュです。

アルバイトも暇そうなので、カウンターにサクラとしてお客様のふりをしてもらったりもしました。

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※ダンスで客寄せは冗談ですけどね(汗)。

そんな努力もむなしく閑古鳥が鳴いていました。

やる気はあってもお客様が来なけりゃ意味がない。やる気満々でどうすればお客様に喜んでもらえるか?新たな戦略を立てる毎日ですが何をしても無駄な空気がありました。

実はその店舗は、今までの店長が5人逃げた赤字続きの店でした。

常連のお客様から聞きました、「この店は店長が5人入れ替わってるよ」「こんな静かな場所でみんな無理だと逃げたんだよ」と。

私は愕然としました。店長が変わるたびに、評判もどんどん落ちていき、常連様もほとんどいない状態。

小さな地域に根差したお店で一度評判を落とすと、そこから這い上がるのは並大抵のことではありません。

来てくれたら分かる。食べてくれたら分かる。そう思っても来てくれなきゃ勝負しようがないということです。

赤字なので辞めると言うと本部は・・・

「もうちょっとだけ待ってくれ○○という店がもうすぐ空くから」と言われました。○○店は、私よりも先に独立した先輩の店です。先輩から売上が良くないから撤退すると聞いてた私は即座に断りました。

最後の日が一番売上が良かったです。

辞めることを常連のお客様に連絡すると、最後の日、満席状態が続きました。私も、食材を残しても仕方がないので、たっぷりとサービスをしたりもしました。常連の方々の温かい心は今でも忘れません。

本気で居酒屋を成功させたいなら物件は自分で納得できるものを選ぶべきです。

私がその店を去った後、半月もしないうちに新しい店長がその店をオープンさせました。しかし、その半年後、また店の店長は変わりました。結局儲かるのは本部だけというお店でした。

場所は大事だと思う。

ビジネスのノウハウをもっていない独立志望者にとってフランチャイズはとても便利だと思います。その中でも低コストでの出店を売りにしているフランチャイズってとっても魅力的に見えるのです。

私が一番この記事でいいたい事。それはどんなにいいビジネスモデルを持っているフランチャイズでも、場所は大事なんじゃないか?実際に全国的にブランド力のあるフランチャイズでも赤字店舗を閉鎖していってる事実もあります。

今回の記事でお伝えしたいことってね。そう簡単に儲かる店を与えてもらえるわけはないって言うことなんだけど。

その理由を説明する前にね・・・

誰もが最初は成功するつもりでいている。

これも、当たり前な話なんだけど、フランチャイズで独立を決意した人ってね、10人中10人とも成功する意気込みを持っているんです。

一人たりとも、失敗するつもりでチャレンジはしていないんですよね。

それでいて、情報や知識レベルでは、チャレンジしても成功する人と失敗をする人はいることぐらいは分かっているんです。

世に言われる飲食業の生存率の低さ。1年で半分が生き残れないとも言われていることも分かっているんです。

生き残る確率が半分だとしても、その半分に自分は入っていると思ってしまうんです。

自分の生き残る確率が半分という認識ではなく、生き残る半分の確率に100%入っているという認識です。

失敗した人と自分は違うと思いたがる。

私がそうでした。失敗する人もいることは分かっているんです。でも、その失敗する人と自分は物が違うと思っているんです。

失敗した人は、選択したフランチャイズが間違っていた。もしくは、独立したのはいいけれどサラリーマンの気持が抜けきらず頑張りが足りなかったのではないかと思ってしまうんです。

もう、そうなると、考えれば分かることも考えられなくなるんです。

儲からない店をあなたに押し付けるのは当然

儲かっている店を加盟店の店主が手放すことはめったにありません。だとするならば、どこの馬の骨とも分からないあなたに与える店舗は儲かりにくいお店であることが当然でしょう。

当然と思った方が、現実を直視できます。

かるとはなから分かっている店は直営店にしたほうが会社は儲かります。

なにも親切に他人にやればやるだけ儲かる店を渡すことはないでしょう。

こういうと、当然、雇われではなく自分の店ということでやった方が店の営業は上手く行くからという反論はあると思います。

私もそのように本部に言われて、納得しましたから。雇われて働くよりも、自分の店のほうが頑張れる。それもそうだなと言う気持ちでした。

しかし、居酒屋のフランチャイズってね。オーナーが撤退した店をいつまでも遊ばせておくわけにはいかないの。

だから、儲かりにくいって分かっててもね。次の借り手とも言うべき店主を入れたいものなんです。

そこに情けというものは存在しないと思った方が、下手に希望を持たずに済むと思うんですね。

もちろん、儲かる店をいいタイミングでゲットできることもあるでしょうが、そんなのは一握りだと思った方が良いと思うんですよ。

あのマクドナルドでも、赤字店舗を数多く閉店させているんですから、どんなに秀逸なビジネスモデルでも成功する店とそうでない店はあるんです。

私みたいに後悔したくなければね期待をしないこと。

「儲かることが明らかな店を、どこの馬の骨ともわからないあなたに任せるお人好しな会社があるんでしょうかね?」

「世間知らずなおバカさんは、最初からうまみのあるお店何て任せられないの。無知はすべてを失うんだよ」

そんな風に過去の自分に説教してやりたい今日この頃でした。