定時よりも早く出勤させようとする上司に反撃した先輩に思うこと
上司に頼まれると嫌と言えない私
年末になるといつも思いだす昔の職場での出来事です。12月の繁忙期。上司から、「忙しいから、明日から12月いっぱいまでは1時間早く来てくれるかな?」と言われました。
その時、私は心の中では嫌だと思いましたが、上司から言われた言葉ということもあり「ハイ」と返事しました。
「本当にそれでいいのか?」と聞く先輩
その話を後ろで聞いていた先輩がいました。その先輩はしばらくして私に「本当にそれでいいのか?」と聞いてきました。私は「12月は忙しいし仕方がないです」と言うと先輩は、「俺は納得してないよ」と言いました。
私も心の中では「出来れば1時間早く出社するのは嫌だ」と思っていました。その時の会社の給料は残業代が込みの金額で、それ以上残業しても早く来ても給料は変わらない状態だったからです。
私は先輩の「納得してないよ」と言う言葉を聞いて、「あ~先輩も納得してないんだ。でも上司に言われたから仕方がないと思ってるんだろうな」と思っていました。
そこでこの話は終わるのかなと思っていたのですが、しばらくして上司と先輩が口論になっていました。
上司の権限で出来ることと出来ないことがある
口論のきっかけは先輩が「1時間早く来た分はどこかで早く帰ってもいいのですか?」と聞いたことです。以下はその口論のやり取りです。
上司 「年末は忙しいから仕方がないだろ?」
先輩 「私が言っているのは会社の労働時間が決められているので、その1時間早く来た分はどこかで早く帰らせてもらうか、それともどこかで遅く出勤してもいいのかで帳尻を合わせていただきたいんです」
上司 「そんなことを言うのはお前だけだぞ」
先輩 「私は別に早く出社するのが嫌と言ってる訳じゃないんです。12月は忙しいのは分かっています。だから早く来ますけど、その分を来月でもいいので、例えば休みを増やすなりして帳尻を合わせて欲しいのです」
上司 「お前、なにしに来てるんだ?仕事をしに来てるんじゃないのか?労働時間のことをああだこうだ言うんだったら、そういう会社で働いたらいいんじゃないか?」
先輩 「会社をブラックにしたいのですか?上司の権限で出来ることと出来ないことがあるんですよ。私たちには決められた労働時間があるんです。それを上司の権限で増やすことは出来ないと思いますけど」
上司 「分かった、1月は12月で早く来た分、早めの退社日を作る。しかし、こんなことをいうやつは他の営業所にいないぞ。みんな気を使って我慢して働いてるんだ」
誰かが言わないと会社はブラックになる
こうして先輩の意見が通りました。そばで聞いていた私は後で「とても自分には真似ができないことです」と先輩に言いました。先輩は「誰かが言わないと、どんどん会社はブラックになっていく」と言いました。
今回の記事は大きく意見が別れる事だと思います。私の様に、上司の顔色をうかがいながら言いたい事を言えずにとりあえず指示通り仕事をする。それとも先輩のように「それなら他で帳尻を合わせてください」と意見を言う。どちらがいいのか?
とりあえず「ハイ」と指示通りにする。これは自分はしんどい思いをするけれど、上司から嫌われることはないと思います。それとは逆に意見を言うことは、上司には嫌われるリスクはあるけれど自分を犠牲にしなくてすむと思います。
珍しく批判コメントを頂いた記事
この出来事は、以前にサイバーエージェント社のニュース&エンタメメディアSpotlightで書かせてもらったことがあります。その時の記事はわけあって削除しましたが、大きな反響はありました。
はてなブロガーさんが紹介しているのも見ました。そして、Spotlight上ではコメントを残すことは出来ませんが、たまに、読んで頂いた方が、よほど何かを感じたときは、ライターの詳細ページから、私のもう一つのブログ(アメブロ)にたどり着き、メッセージや、コメントをしてくれることがあります。
2年以上ライターをしていて数えるほどしかありませんが、そのうちの一つがこの記事についてのコメントでした。
それは、このようなコメントでした。
「先輩は素晴らしいと思います。それにひきかえあなたの行動は情けないと思います。あなたのようにブラックな上司の要求をなんでも「ハイ」と受け入れる人がいるから、日本からブラック企業がなくならないんです」
これは私の今後の課題です。
これには、確かにその通りだと思いました。しかし、上司から言われたことに反論するのは、私にとってハードルが高いんですね。
というのも、その当時、他店でも同じように時間外労働を当たり前のようにしている空気があった中で、なかなか自分だけが反論するというのは難しいと思ったんです。
そして、もって生まれた性格もあって、上司に嫌われたくないという気持ちがあってね、どうしても「ハイ」と返事してしまうんです。ここは私の今後の課題だと思っています。
上司はさぞ無念だったでしょう。
上司が「こんなことを言うのはお前だけだぞ」と先輩に言ったことから分かるように、上司としては寝耳に水のような先輩の反撃だったと思うんです。
他店では、みんな疑問に思っていても、それに仕方なく従っている時間外勤務。だからこそ、先輩の反撃は予想外だったでしょう。
予想出来ないパンチは避けきれないんですよね。ここで私が上司に思うことは、さぞ無念だっただろうということです。
上司としては、私や他店の社員のように、「ハイ」という気持ちの良い返事を期待していただけにショックだったでしょうね。
私が、もしこの時の上司だったら?
サービス業なので、どこかで部下に無理をお願いすることはあると思うんですよ。そんな時には、不平不満をぶつけられたら終わりだと思うんですね。
なので、部下から「無理をした分はどこかで帳尻を合わせてほしい」と言われる前に上司から条件を言ってあげることが必要かなと思うんです。
部下から条件を言うのはハードルが高いんですよ。そのハードルを越えて意見するということは、よほど覚悟を決めないと出来ないことであってね、その強い覚悟をぶつけられることを思ったら、最初から不平不満は出ないように、配慮をすべきなんですよね。
とまぁ、ここまでが上司の立場から考えたいことで、最後に今後私がこんな場面にあった時にどうするかを考えたんですね。
誰かが言わなければ会社はブラックになる。
正直に言うと、同じような場面がもう一度自分に降りかかってきたら?と考えるとね、とてもではないけどあの時の先輩のように上司とバトルすることは出来ないと思うんですよ。
しかし、私たちが勤める会社がブラックにならないためには、誰かが意見を言うことが大事なんですね
あまりにもひどい要求であるなら、覚悟を決めていう勇気も必要かなと思うんです。その時に思い出したい言葉が、あの時の先輩の言葉です。
「上司の権限で、出来ることと出来ないことがあるんですよ」
頭の片隅に置いておこうと思うんです。いざと言う時に強く言えるためにね。