ありがとう熊さん

食品スーパーのおやじが、生き方について辛いことも楽しいことも含めて、心を込めて書かせてもらいました。

妻が海外先物取引の会社に騙されて1千万円の勝負をさせられ弁護士に相談しました。

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「どうしてそんな大事なことを黙っていたんだ?」

「私、投資を始めたの」

妻の突然の言葉に耳を疑いました。普段、10円でも20円でもと安い買い物を心がける妻がまさか投資を始めるとはビックリしました。

「なんで黙って始めたの?」 私の問いかけに妻は、「だって、あなたに言ったら反対するでしょ?」と答えました。

確かに私は反対したでしょう。素人がそんな簡単に儲かる世界ではないからです。

「ちゃんとした投資の会社だから」とパンフレットを見せてきました。

「ところでどういう投資なの?」私の問いかけに 立派なパンフレットを片手に妻は、「海外先物取引」と答えました。

「え?海外?それってどういうものか理解してるの?」

私の問いかけに妻は「大丈夫、お客さんはお金を出すだけで、実際に取引をするのはその会社だから知識がなくても大丈夫。プロが運用してくれるから安心なの」

「おいおい、知識がないからプロに任せるって一番駄目なパターンだろ?」

私の心配に妻は、「大丈夫、最初電話がかかってきて、それから営業の人が家に来たんだけど、その時は怪しいかな?って思ったんだけど、実際にそこの会社に見に行ったの」 「そしたら、都会のど真ん中のビルの中で、凄く大きな事務所だったの」と言いました。

妻の話によると、本当にその会社は信用が出来るのかと事務所まで見に行ったそうです。するととても大きな立派な事務所で他のお客さんも来られていて、実際の取引の実績も大きなものらしいので、こんな大きな会社だったら安心だと思ったそうです。

「私だって馬鹿じゃないんだから損しても納得出来る額だけにしてるよ」

「いったいいくらのお金を出してるの?」 私の問いかけに妻は、「100万円」と言いました。話によると始めてすぐにそれが120万円になったそうです。

そこで、「もっとお金を追加するとさらに儲かりますよ」と言われたけれど断ったそうです。

投資というものは損をすることもあることは理解しているようで、貯金の中から100万円だけと決めて、ある程度大きな損が出たらきっぱりとやめるつもりでいてたそうです。

「その契約書を見せてくれる?」

そういって契約書を見せてもらいました。するとそこには100万円の数字がありました。

しかし、良く見ると100万円の数字のそばに、10,000,000の数字がありました。 「あれ?」と思いました。

100万円だよな?でも何度見ても1000万円なのです。どうやら100万円を証拠金にして1000万円の勝負をさせられていました。

妻はそれを知りませんでした。1,000,000 も10,000,000も普段見慣れていない数字なのでてっきり100万円だと思っていたそうです。

「シャレにならん金額だぞ」

と言うことで妻もどうしようかということになりました。 「よし、消費者センターに電話しよう」 いきなりそこの会社に「どういうことだ?」と電話をするよりも、こういった問題に詳しい専門家に相談したほうがいい。

とりあえず消費者センターなら無料だと思い電話をしました。 すると、こういった問題は弁護士の先生のほうが法律的に詳しいので、よろしければご紹介しますと言われました。

そしてさっそく電話で相談の予約を入れ弁護士の先生に会うことにしました。 担当してくれたのは美人弁護士でした。 深刻な相談の場で、若干ドキッとしました(汗)。とても綺麗な美人弁護士の先生だったのです。

「最近そういう相談が増えているんです」

弁護士の先生の話によると

「こんな立派な会社だったら大丈夫だろうと思った」

「こんな豪華なパンフレットだったら大丈夫だろうと思った」

「営業の人がしっかりしてそうだから大丈夫だろうと思った」

相談に来る人はみんなそう言うらしいです。「会社の事務所が立派だから」「パンフレットが立派だから」というのはその会社が信用出来るかどうかの判断基準にはならないそうです。

むしろ、お客さんに信用してもらうために立派な事務所を構えていることが考えられるのです。

「奥さんはこの投資がどういうものか御理解されてますか?」 先生の問いかけに妻は、「担当者からきちんと説明をうけているので大体は理解しています」と答えました。

「じゃあ、このパンフレットにのっているこれについて説明できますか?」 なにやら難しいことが書かれているページでした。

当然のように妻は、「分かりません」と答えました。

すると先生は「そうですよね。もしこれを一つずつ説明できるほどの知識が奥さんにあるのでしたら、その会社に頼らずにご自分で投資されていると思いますよ」

先生によると、海外先物取引は投資の中でもトップクラスに難しい投資だそうです。投資と言えばまっさきに思い浮かぶのが株式投資です。

ですが、日本に住んでいる私たちでも日本のどの会社の株が上がるか下がるかを予想するのが難しいのに、海外先物は海外の情勢を読みとらないといけないからさらに難しくなるのです。プロでもなかなか利益を出せないほどの難しさだそうです。

「これって解約できますか?」

「解約しようと思うのですが、何かと理由をつけてお金を返してもらえないってことはないですか?」

私の不安に先生は 「そういったことも考えられますが、そう言った場合には相談していただければ内容証明をその会社に送り返金に応じるようにさせてもらうことが出来ます」と言われました。

先生が今まで相談にのったケースでは、解約しようと思っても会社そのものがなくなっていてお金を取り戻すのが困難になった人もいるそうです。

それに対して、妻は立派な事務所を見に行ったばかりだから、その事務所が存在するかぎり打つ手があるのが救いです。

「もし、後で電話をするのが不安でしたら、今この場所で私がいてる前で電話をしてもらってもいいですよ」と言う 先生の問いかけに、「大丈夫です。後で自分で解約します」と妻は言いました。

私たちは先生に、「相談して、とても良かったです」とお礼を言い弁護士事務所を出ました。

早速妻が問題の会社に電話をしました。

「主人に反対されてどうしても解約したいのですが」

「今、解約すると損ですよ」

妻の解約の電話に担当者は、「今解約すると80万円しか戻ってきません。でも、もうちょっと待てば値段があがるから絶対解約しないほうがいいですよ」と言ったそうです。

妻は一旦電話をきって私に相談してきました。

「今、解約したら損するらしい」と。私にとって多少の損は予想の範囲の中なのです。もうちょっとまてば返ってくるお金が変わるという気持ちで待つのは大きなストレスです。

「だから、100万円が80万円になってもいいから解約してほしい」 と言い解約してもらいました。

20万円の損ですがいい人生勉強にはなったと思うようにしました。

妻は100万円の勝負のつもりが1000万円の勝負をさせられていたことに対して私に、「ごめんなさい」と言ってきました。

私は「まだ若くて働き盛りの時の失敗だからいいよ」 「年を重ねて、年金暮らしになってから痛い目をみるよりはましだ」と妻に言いました。

人生ではシャレにならないほどの失敗でなければ多少の失敗は予想の範囲内だと思います。 そして今思うのは、相談料30分5000円の弁護士への相談は本当に価値があり勉強になりました。弁護士の先生にはとても感謝をしています。