「現場を知らない上司の指示は意味がない」と愚痴る部下ほど事業の全体像は見えていない。
現場を知らない上司の指示で現場は大混乱
どうして現場を知らないのに口を出してくるんだろう?。どう考えても現場で頑張っている私たちの方が状況を正確に分かっているのにと憤りを感じる時があります。
しかし、上司の指示を部下は無視出来ません。縦社会の難しい問題です。そして、疑問を抱きつつ従った上司の指示で現場は大混乱です。
すると、「それ見たことか、だから言わんこっちゃない」「現場を知らないからそうなるんだ」「余計な口出しはせずに、俺たちに任せておけばよかったんだ」と一斉に部下の毒吐きが始まります。
現場を知らない上司への部下の不満
言うのは簡単。しかしやるのは私たち。最後まで一緒に手伝うのなら、それも良し。しかし、言うだけ言って途中から丸投げ。後に残るのは「やらされた感」だけである。
いきなりの計画変更。もううんざり。とんでもない無茶な指示。やらなければ結果は分からないと言うが、結果は目に見えている。だからこそやる前から疲れを感じてしまう。
失敗は部下の責任。やっても結果は目に見えていた。失敗。もうやめた方がいい。しかし、結果が伴わないのは部下のやる気のなさにあると思われている。自身のプランが間違っていたとは認めない。これは理不尽ではないか?
そして、こういった不満を感じた部下がとる行動は大きく分けて3つあります。
現場を知らない上司の意味のない指示に対する部下の行動
- やっても無駄だということを説明して断る。
- とりあえず「分かりました」と返事をして、実際はスルーする。
- 素直に受け入れ、全力で当たる。
「どうせ、やっても失敗に終わるんだ」と思った時、断るのか、受け入れるのか?その2択以外に、受け入れたふりをするという行動が入っています。
実はこういった返事だけの部下は意外と多いと思います。この行動はとても日本的で、外国のビジネスマンからは不思議がられる行動です。
アメリカでは、やっても無駄だと自分が思ったことは、はっきりと相手に「NO」を突き付ける人が多いと聞きます。
そこで議論が生まれ、上司は目的のための手段をきちんと説明し、それに対して部下は納得した上で行動に移すことが多いと聞きます。
「ハイ」「分かりました」と返事だけは勇ましく、実際はやらない。やっているふりをする。やっても本気を出さないというのは日本人らしい部分だと言えます。
なぜやる気もないくせに断らないのか?
どこの組織にも納得がいかないことは上司に対しても「NO」を突き付けられる人は一定数います。周囲からは「よくぞ言ってくれた」と称賛され、その立場は「しっかりと自分の意見を言う人」として同僚から評価されます。
しかし、上司からの評価となると話は別です。うまく上司を説き伏せたと思っていても、「やっかいな部下」としてレッテルを貼られます。
そして、次のステップには進めなくなるでしょう。組織の中で求められるのは、上からの指示に従う人でしょう。たとえそれが無駄だと思える指示だったとしてもです。
そういった風土がある中から、中途半端なイエスマンが生まれるのです。イエスと言いながら心の中ではNOを言う部下です。
こういういつわりのイエスマンがいるからこそ、本気で取り組み上司の意向通りの結果を出す部下が光って見えます。「こいつやるな」と思われるのです。そして次のステップに上がれるのです、
そうは言っても、やはり人間と言うものはゴールがしっかり見えてないものには全力で取り組むという気持ちになりにくいです。
だから、やっているふりをして、結局は「頑張りましたけど無理でした」となります。本当は頑張らなかったので無理でした」なのですが、やっているふりで終わらせた方が楽だという考えを持つ人が多いのです。
現場を知らない上司の指示は、とんちんかんなのか?
現場を知らない上司の指示に従って失敗をする。「それ見たことか」と部下はさらに聞く耳を持たなくなる。悪循環です。
「現場に任せてればいいんだ」の叫び声を上司は感じます。部下の厳しい視線はやっかいと思うようになります。そこで「よし、これからは現場の声を最優先にやっていこう。上司は現場をもっと信じよう」と思う上司が生まれます。
しかし、そう思うのは早計です。過剰な指示は現場を混乱に陥れることがありますが、逆に現場に任せっきりと言うのも大きな問題です。
現場を知らない上司だからこそ、その指示の重要性を説くべきです。そもそも、現場を知らない上司の指示に従って失敗をするというのは、本当にその指示がとんちんかんなことだったからでしょうか?
実は、そうではなく、中途半端なイエスマンが、やっているふりだけで終わらせていることが原因であることが多いです。
「ハイ」「分かりました」と言う返事は、ただの見せかけだけであり、上司の機嫌を損ねないためのツールと化しているのです。
そこで、根性論として、「黙って従え」と言ったところで、心から従わせることは出来ません。では、どうすればいいのでしょうか?
「現場を知らない上司の指示は意味がない」は間違い
「現場を知らない上司の指示なんていらない」と言う考えは、一見正しいようで、間違っています。
現場を知らないとは言っても、会社の上層部であり、事業の全体像は見えているのです。逆に現場を知っている部下はその立場上、事業の全体像は見えていないことが多いです。
だからこそ、その事業の全体的な視点から見ると、その上司の指示は光っていることがあります。しかし、そのことを知らない人があまりにも多く、「なにをやっても無駄状態」を作っているのです。
なので、せっかくの指示が「ただの時間の無駄」で終わらないためには、上司も部下もお互いの見えている問題点の食い違いに気付く必要があります。
今からご紹介する話は、私が経験した「一見意味がないと思われる上司の指示にも意味がある」と言うことに気付かされた出来事です。
その後に、現場を知らない上司はどのように部下を納得させるべきか?そして、部下はどのように納得をすべきかを説いていきたいと思います。
永遠の売上右肩上がりを期待されるのは正直辛い
勤め先の食品スーパーで、私が配属された店は、とても絶好調で年々売上を伸ばしてきました。
その好調の大きな要因は、従業員の前年を上回る頑張りと、さらなる工夫だと思います。しかし売り上げの伸びとともに私たちの大変さも大きくなってきました。
会社からは毎年、前年を上回る売上を要求されました。
会社がそれを要求するのは、ライバル会社との熾烈な販売競争に打ち勝ち、社員への待遇の改善(少しでも給料をあげる)を図り、雇用を維持するためです。
そこで私たちは会社の期待にこたえるべく年々店の売上を伸ばしてきたのですが、従業員のさらなる頑張りと、さらなる工夫という成長要素が頭打ちになり出してきました。
「永遠の成長なんてありえない」とは良く聞く言葉ですが、私たちの店の成長も停滞期に入ってきたのかと思うようになりました。
会社の中では、絶好調で売上を伸ばしている時は誰も何も言ってこないのですが、売上が低迷しだすと「どうして?」と聞かれます。
そんな時に、「永遠の成長なんてありえない」などと言える訳でもなく、かと言ってこれ以上の頑張りと工夫ってなんだろう?と考えさせられました。
近隣にライバル店が出店し、お客様が大きく流れて行きました。うちの店も安売りですが、そこも負けず劣らず安売りでお客様の奪い合いが激化していました。
「もう現場だけに任せておけない」と判断された私たち
売上が下がり、本部の上司から「どうなっているんだ?」と聞かれ、売上低迷の理由をライバル店の影響ということで説明しました。
しかし、それまで年々右肩上がりで売上を伸ばしていた当店です。そろそろ頭打ちかと思っていた時の話です。つまり、都合よく頭打ちの理由をライバル店の影響にしたのでした。
しかし、半年、一年が経っても売上が改善されずに、いつまでも「ライバル店の影響です」とは言えなくなってきました。
もっと別の理由で売上が低迷しているんじゃないかと思われるようになり、ついに本部からテコ入れが入りました。
指示を受け入れるしかない私たち
大人数でのテコ入れなので様々な人の意見が反映されるのですが中には、「それは違うだろ?」と思うような売り場変えもされました。しかし、受け入れるしか仕方のない空気がありました。
売上が右肩上がりの時は誰も何も言ってこないのですが、落ち目になるとありとあらゆることを要求され、日常業務ができないほどあれをしたらいい、これをしたらいいと言われます。
沢山の意見が反映されるということは良さそうに見えて逆に以前の売り場の方が良かったと思われるところも出てきました。同僚女性のアラフォーさんも私と同じことを感じていたようです。
中年女性の一言に思わず納得
「よってたかって駄目にしてきてるね」とアラフォーさんはつぶやきました。この言葉に、「あーーそうだな。その通りだな」と妙に納得させられました。
なんとも悩ましい問題です。ちなみにこの大人数でのテコ入れは一時的なものです。売り場を魅力的なものにするため、大掛かりに変えて、「後はよろしく」と立ち去られます。
そして、このテコ入れによって多少の売上の回復の兆しが見えてきたのですが、本部の人が求めているほどの効果はありませんでした。あいかわらず売上は低迷していました。
落ち目の状態から抜け出せない店は言われたい放題。
「何か対策は打っているのですか?」
「何が原因なのですか?」
と本部の上司が聞いてきました。なんとも悩ましい質問ですが私はこう答えました。
「本部の方に様々な意見を頂戴して、全員の力で魅力的な売り場に変えたので、これからお客様が戻ってくると思います」と。
よってたかって意見を出され、とても大変な気持ちになる。なんとも悩ましいものですが、黙って従う姿勢そのものが対策として認められるようです。
常に結果を求められる従業員の立場から考えること
「どうして会社は毎年毎年、前年以上の結果を求めてくるのだろう?」「永遠の成長なんてありえないのに?」は、会社勤めをする人から良く聞く不満の一つです。
何年もずっと、さらなる努力とさらなる工夫を続けてきて、これ以上どうしたらいいのか?と思う段階で成長が停滞する事が多いように思われます。
しかし、それでも組織の中で生きる以上は「じゃあどうするの?」「何か対策はないの?」と求められます。
そんな時は現場に直接いる自分たちの目線では「もうやるだけのことはやってきた。だからそろそろ限界になってきただけだ」と思いがちです。
そんな時に他部署からのテコ入れで様々な意見を言われると「余計なことを言わないでくれ」と思ってしまいます。
しかし、それは期待されている証拠でもあるのです。期待されていなければ無視され、最悪は店の存続にも影響してきます。
上司の指示が駄目でも経験値はプラスされる。
その経験値が次回の成長の種になります。頂いた意見が裏目に出ることはありますが、とりあえず従ってみて駄目なら元に戻すということで何がいけなかったかを考えることができます。
なぜなら、何かを変えなければそのままでしょう。やってみなければ何も始まりません。そこで考えなければいけないことは、現場の人間は今までのやり方に固執しているということです。
視点を変えるのは現場を知らない上司
現場にいる人は、「この地域のお客様はこうだ」「この店ではこれが強みなんだ」「このやり方で今までやってきたんだ」と今までのやり方を変えることを嫌がります。
だから、変われないのです。現場を知らない上司の意見があるからこそ心機一転することが出来ます。気持ちと心を一気に入れ替えて人は頑張れます。
実はここが一番重要なのではないでしょうか?私たちは、「現場を知らないくせに」「そんなことしたって何の意味もないのに」と腹を立てがちですが、意味がないように見えて、それは長年やっている自分の視線を変える意味で意味があるのです。
分かっていないのはお互い様である。
まとめると、「現場を知らない上司の指示は意味がない」と何をやっても無駄状態になるという問題は上司・部下ともにその問題に気づいていないのです。
現場を知らない上司ですが、会社の上層部であり、その立場上では現場の部下よりも、その事業の全体像が見えています。
もっと言うならば、現場の人間が「現場にいる私たちの方が現場を知っているのに」と愚痴るほど、それまでのやり方に囚われています。
細かい部分での現場を知らない上司と、長年その場所にいることで広い視点で現場を見れなくなった部下とでは、分かっていないのはお互い様です。
「現場を知らない上司の指示は意味がない」は部下の勘違いであることもあり、上司は部下にその広い視野を部下が分かったものだと決めつけず理解させる必要があるでしょう。
そして、部下も現場を知らない上司だからこそ、自分たちに見えていないものを教えてくれていることに気付くべきでしょう。
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筆者 ロバート・熊
イラストレーター にゃんとまた旅/ねこまき
身近な人を守るために知っておきたい催眠商法の現場を元社員が詳細に明かした本です。
★本書の特徴
1.いかにしてお年寄りのこころを奪うか、元社員が明かします。
2.ネット上にある催眠商法の説明はごく簡素なものですが、事実はかなり込み入った内容です。本書では複雑で巧妙な手口をあますことなく紹介いたします。
3.まず近づかないことが一番ですが、もし被害にあってしまった場合の有効な対策も分かります。
大型書店の法律書の棚に並べられていることが多いです。
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