売上が下がった時は自分の考えとは違う助言を受け入れなければ上司の理解を得られない
売り上げが前年比マイナスになった
私が配属された店は売上が大きく上がっていった。頑張れば頑張るほど売上が上がり、他店の社員から「凄いね」と言われ、私は誇らしかった。
そんな状態が5年ほど続いた。これだけ長い期間一度も前年の同月比の売上を下回ったことがないことに誇らしかった半面、「そろそろ落ちるかもしれないな」という気持ちもあった。
「永遠の成長なんてありえない。いつかこの成長も頭打ちするだろう」と思っていたのだ。そしてついに売上が前年同月比よりも下回った。
永遠の成長なんてありえない
本部からは「どうなっているんだ?」と聞かれた。私はどうも納得のいかない気持ちになった。5年間ずっと売上を伸ばしてきたのだ。そこを評価せずに、まるで売上の減少は怠慢じゃないかと思われているようで嫌な気持ちになった。
私は上司に「永遠の成長なんてありえないのに、どうして会社は永遠に前年同月比の売上を超えようとするのですか?現状維持でも良いんじゃないですか?」と不満をぶつけた。
上司は「熊さんの言いたい事は分かるよ。いつまでも前年以上の頑張りと工夫を求められても、いつかは限界になるんじゃないかと思う気持ちは私にもあるし、みんな頭では分かっていることだと思うよ。でも向上心を持たないでいると成長どころか現状維持も難しくなるもんだよ」と返した。
確かにそうだなと思っていたある日、あまりにも売上の低迷が続いているということで店に本部から売上改善のための応援が入ることになった。
売り上げ改善のための応援が入った。
これが結構大変で「ここを変えて」「そこを変えて」ととにかく変えることを要求されるのだ。大人数での応援で、様々な人の意見が反映されるのだが中には、「それは違うだろ?それをしたからどうなるんだ?」と思うような意見も言われるのだ。
しかも受け入れるしか仕方のない空気があるのだ。売上が右肩上がりの時は誰も何も言ってこないのだが、落ち目になるとありとあらゆることを要求されて日常業務ができないほどあれをしたらいい、これをしたらいいと言われるのだ。
沢山の意見が反映されるということは良さそうに見えて逆に以前のやり方の方が良かったと思われるところも出てくる。
私たちは意見出来る立場ではない
私は我慢出来ずに店長に「よってたかって駄目にされてますね」と言った、店長は「私たちは意見が出来る立場じゃないから仕方がない事だよ」と返した。
なんとも悩ましい問題だと思った。ちなみにこの大人数での応援は一時的なもので、売り場を大掛かりに変えた後は、「後はよろしく」と立ち去られるのだ。
売り場が魅力的かどうかは売上を大きく左右する。この応援によって多少の売上の回復の兆しが見えてきたのだが、本部の上司が求めているほどの効果はなかった。
助言を受け入れる姿勢
あいかわらず売上の低迷は続いたのだ。そのような状態から抜け出せない店は言われたい放題だと思った。
「何か対策は打っているのですか?」「何が原因なのですか?」と本部の上司が聞いてきた。なんとも悩ましい質問だが私は「皆さまから様々な改善策を頂戴してますので、結果も出ると思います」と答えた。
スランプ時はそれをしたからどうなる?と思うようなことを言われることが多い。個人で商売をしているのなら無視をしても、それを咎める人は少ないだろう。
しかし組織の中では違う。自分の考えと違うと言うことで受け入れなければ上司からの理解は得られない。
なぜなら、今までの自分達のやり方では頭打ちになっているからだ。上司が求めていることは「現状を変えろ」と言うことなのだ
そんな時は、今までと同じように「頑張ります」では大抵の場合理解が得られないのだ。なので、少々疑問に思うような助言でも受け入れることが大切だ。現状を変えようとしている姿を見せることが出来るからだ。
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単行本: 230ページ
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筆者 ロバート・熊
イラストレーター にゃんとまた旅/ねこまき
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