いい人で終わるのは女性が何のサインも出さないからである。
違う。俺はいい人なんかじゃない。
あの時どうして本当の自分を出さなかったんだろう?
でも、出していたら恥をかいたかもしれない。
今まで積み上げてきたいい人演出の全てがぱぁになる。
でも、それでもいい。結果はどうであれ、あきらめもつく。
でも、恥をかかずにすんだかな?
そして、それは遠い過去の記憶となりました。
今回のお話は、私の若いころの、ちょっぴりお恥ずかしいお話です。
たまには、過去の恋の話もしてみたくなったのです。
もう20年以上前のこと。
年は20代前半。工事現場の職人をしていました。そこで一風変わった先輩に可愛がってもらったことがあります。
その先輩はビールが大好きで仕事終わりの電車の中でビールをシュパっとあけて飲む人でした。
京都の工事現場からの帰りの電車。いつもその人と一緒でした。しかも、私はその電車の中でビールを飲むのに付き合わされました。
「電車でビールなんて、めちゃくちゃ恥ずかしいです」「勘弁してください」という私に先輩は・・・
飲む・打つ・買う
「職人の基本は飲む・打つ・買うや」と言われ、さらに、「こんなことで恥ずかしがってるようでは一人前になれない」と言われ、しぶしぶ付き合うことになりました。
ある日、先輩におごってやると言われ、真冬の寒い時期にスーパードライ350mlをキヨスクで買ってもらいました。
先輩は500mlです。しかし、先輩は飲むのが早いのです。歩きながら飲むのですが、駅のホームにつくころには飲み終わっていました。
先輩は飲み終わった空き缶をゴミ箱にポイしました。それを見た私は「ヤバい」と思いました。このままでは私一人だけ缶ビールをもって電車に乗らなければいけない。嫌だ。恥ずかしい(汗)。
しかし、真冬でビールはまだ半分も飲めていませんでした。私は前方を歩く先輩にばれないようにゴミ箱にポイしました。
すると、「ゴン!」、と鈍い音がゴミ箱の底から響きました。「オイ、お前、せっかくおごってやったのに・・・」と怒られました。
しかし、泣きそうな顔をすると許してくれました。 その後、上機嫌でいてる先輩は、「オイ、あの女の子に声かけろ」と言いました。
見ると、すらっとした背の高いモデルみたいな女の子がドア側に立っていました。
「絶対無理です。そんなに言うのなら見本を見せてくださいよ」 そう言う私に「分かった」と先輩は言って彼女に話しかけました。
難攻不落の要塞のようないい女です。しかし、 絶対に相手にされないだろうと思っていたのに、話が盛り上がったのです。
ちなみに私もその中に入りました。私の1000人を超える女性経験(AVを見た数も含む)の中でも彼女はまぎれもなくトップクラスです。
彼女は有名な大学に通う20歳の女子大生でした。私も先輩も「モデル見たいやなー」と大絶賛。先輩の「まるで江角マキコみたいや」と言う言葉に「それはちょっと微妙です」と笑って見せてくれました。
電話番号をゲット
確かに江角マキコになんとなく似ているのです。褒め言葉です。でも、彼女からしたら、きつい女と思われた感じたようで、喜んでいいのかどうか悩んだそうです。
それでも話が盛り上がり、電話番号をゲット出来ました。 私は彼女が先に電車を降りた後、先輩に、「可愛いです。タイプです。何とかしたいです」と懇願しました。
すると先輩は、「お前が行ったらいいよ」と言ってくれました。 その夜、さっそく電話をかけました。
「今度、飯を食いにいかへんか?」と。私の言葉にすんなりと「良いですよ」これには飛び上がるほど嬉しかったと記憶に残っています。
さらに、「ゴルフの打ちっぱなしに行こうか?」これにもすんなり「良いですよ」と言ってくれました。
彼女はゴルフの打ちっぱなしは初めてで喜んでくれました。
「これは悪い見本で、素振りってやつだぞ。よ~く覚えてときや」
とガチの空振りも指導に変えてあげたのも甘い思い出です。
さらに、私は大阪の千早川マス釣り場にも連れて行きました。そこは、誰でも釣れる所です。釣った分だけ買い取らなければいけないシステムで、入れ食いです。
彼女にとって、釣りもゴルフの打ちっぱなしも初めての経験なのでした。彼女は初めての経験をいろいろさせてくれる私に、「こう言うの初めてです。嬉しいです」と言ってくれました。
さらに調子に乗った私は会社の職人仲間同士の海でのバーベキューにも彼女を誘いました。ちなみにそのバーベキューは奥さん、彼女を連れてきてもOKでした。
海につき、彼女の水着姿を初めてみました。心の中で叫びました。「ありえない。意味が分からないぐらいの完璧ボディーやんか?」それに比べて俺はお腹が出ておりました。仕方がなく言い訳をしました。
海でのバーベキューが終わり、彼女を家まで送る途中、「あっ?」と思いました。彼女が横ですやすや眠っているのです。
「ま・・・マジか?こんなに変態な俺の横で寝るとは・・うううう・・・」 お触りしたい気持ちをぐっとこらえました。
ちなみに私は当時、彼女いない歴が年の数だけありました。気持ちは焦りまくりですが、「女を口説くときは絶対に焦ったらだめだ」と先輩から言われていたので、その教えを守ることにしたのです。
実は彼女には彼氏がいた。
このバーベキューの数日後、先輩の家に遊びに行った時、奥さんに言われました。「熊くんの彼女、モデルみたいだね」と。奥さんもあの時のバーベキューに参加をしていたのです。
私は複雑な気持ちを奥さんに言いました。 「いや、ただの友達です。実は彼女には彼氏がいてるんです」 と。
すると奥さんは、「女の目から見たアドバイスしてあげるね。彼女が彼氏がいてるのに他の男に誘われたからと言ってその男の会社のバーベキューに参加するのは何かがあるからだと思うよ。普通は参加しないと思うよ」と。
言われてみればそうだとも思うのですが、この辺の事情は微妙だと思います。彼女は天然で軽い気持ちでのってきているようにも見えました。
実は彼女は以前から彼氏と上手くいってないと話していました。私は、もしかしたらという気持ちで友達付き合いをしていたのです。
そんな彼女がついに上手くいっていないという彼氏と別れたと言ってきました。しかし、すぐに彼氏が出来たそうです。別れた後、すぐにアルバイト先の先輩から、泣きながら土下座されて付き合うことになったそうです。
最後までいい人を演じた私
私は悔しい気持ちを押し殺しながら、大人の余裕を見せようと「彼氏出来て良かったじゃないの?」と言ってあげました。
しかし、彼女は彼氏に私のことを話したそうです。「とても親切で優しい社会人の人がいろんな所に連れて行ってくれる」と。
彼女からみたら私は彼氏候補ではないのです。あくまでも、親切にいろいろ教えてくれるお兄さんのような存在なのです。悲しいけれど仕方がないのです。
しかし彼氏としては面白くないでしょう。「お願いだから、その男と遊びに行くのはやめてくれ」と言ったそうです。それはそうでしょう。
しかし彼女は、「熊さんは、そんな人じゃないよ」「尊敬できる先輩だから」と言ったそうです。彼氏は信用してくれなかったそうです。
ここで、私は決断しました。「彼氏が言うことは、その通りだと思うよ。もし俺も彼氏の立場だったら、嫌だと思うし・・・」 と伝え、彼氏のためにも、私と遊ぶのは控えた方がいいということで、関係を絶ちました。
私は彼女に最後まで「好きです」と言えませんでした。 私は最後まで彼女に指一本触れられませんでした。
私は彼女が思っているような親切心で社会勉強をさせてあげてる人ではないのです。 彼氏がいるのを理解している下心のない男ではありませんでした。 マジで狙っていました。
しかし、行動に移せなかったのです。 いい人を演じ過ぎて、そこから本当の自分を見せるのが怖くなったのです。
あの頃にタイムトリップ出来たなら?
あのころに戻りやり直せたら?そんなことを思うことがあります。しかし、同じ行動をしたと思います。
恋愛でいつもいい人で終わる。女性から見ると、何かが物足りないのでしょう。
- 口説く気迫がない。
- ぐっと迫るものがない。
- はっきりしない感じで押しがない。
そんな物足りなさを感じるのでしょう。
いつまでも安全な位置から様子を眺めていて、本音が見えない。でも、それはお互いの距離を縮める上で大事なことだと思います。
距離がまったく縮まっていない状態で相手を困惑させてしまうこともあります。
いい人で終わるのはなぜ?
あの時どうして本当の自分を出さなかったのでしょう?
今になって思うこと。それは・・・
あの時本音をぶつけたら恥をかいたかもしれません。
でも、それでいい。結果はどうであれ、あきらめもついたでしょう。
でも、足がすくむのです。
女性はいざと言う時に行動できるかどうかを見ていると言います。
自分を引っ張ってくれる人かどうか?
そうでなければ恋愛対象になりません。しかし、グイっと引っ張ったらプツンとキレる蜘蛛の糸なのです。
いい人で終わる。では悪い人で終わればいいのかと言うとそうでもないのです。
安全な位置から眺めているようで、軽いジャブは放っていました。好意を持っていることぐらいは感じていたでしょう。
しかし、その気はないことは肌で感じることが出来ました。やってみなければ分からないと言いますが、女性からまったく何のサインもなければ動けないもの。そのサインとは楽しそうな笑顔ではありません。
気持がなびいているかどうかは雰囲気で感じ取れるものです。片思いか?それとも両想いになりつつあるか?こちらが本気であればあるほど敏感に感じられるものだと思います。
いい人で終わった恋愛はどうして自分を出さなかったんだと思ってしまいます。
しかし、出せないのには理由があります。
女性から何のサインも出なかったからです。