ありがとう熊さん

食品スーパーのおやじが、生き方について辛いことも楽しいことも含めて、心を込めて書かせてもらいました。

自分の出勤日に仕事を減らし、自分の休みの日に仕事を増やすことで楽をする先輩に後輩が出来ることは?

「あの人が休みの日に限って仕事が山盛りだね(怒)」

どこの世界でも「ずるい人」はいるものです。みんなが力を合わせて頑張っている職場で、「自分だけが楽をする」という考えを持つ人は目立ちます。

長年食品スーパーで勤めている私が不満に思っていることがあります、それは、「自分の休みの日にどっさり納品をさせ、他の人に荷捌きをしてもらうことで自分の出勤日は楽をしよう」という考えが見えている発注担当者が一定数いることです。

注意するなら言い逃れできないようにきちんと尻尾を捕まえてから

「人に多くの仕事をさせることで自分が楽になる」その行為は周囲から大きな反感を持たれてしまいます。

ほんの少しならばれないのですが、あからさまな「ズル」と言うものは本人が気づかれていないように思っていてもばれているものです。

しかし、その「ズル」がバレたとしても、すぐに指摘されるものでもありません。なぜなら、「どうせ言ってもシラを切られるだろうな」という気持ちが生まれるからです。

「ズル」というものは、それに気づいた最初の段階では、「もしかしたら?」の憶測であることも考えられるからです。そこで「もう少し様子をみてから指摘しよう」ということになります。

1回や2回の「ズル」を指摘しても、「それはたまたまだよ」と言われたらそこでおしまいと思うからです。

言うからには、「いつもそうですよね」という事実を自信たっぷりに突き付けたいものです。

しかし、そこまでしても、他人の「ズル」を指摘するのは本当に難しいと感じることがあります。

仕事を押し付ける人に注意しにくい理由

立場上注意しにくいから。相手が上司、先輩であったり、性格上注意されることで不機嫌になり職場の雰囲気が悪くなるため

言い訳をされるから。ズルをした本人も周囲から注意をされることを予想していることがあり、様々な言い訳を用意していることがある、例えば、食品スーパーでいえば、

「前日に多く売れたから多く仕入れなければいけなくなったから仕方がないでしょ」という理由。

特に職場では上下関係があります。「後輩から先輩に」「部下から上司に」というのはとてもハードルが高くなるのではないでしょうか?

今回は、そんな後輩から先輩へ『ズル』を指摘する難しさを感じた出来事を紹介して、自分なりに気付いたことをまとめたいと思います。

勇気をもって注意した私

人にいっぱい仕事をさせることで、自分が楽になる。同僚の女性社員のアラフォーさんからは、そんなオーラを感じます。

自分が休みの日に多く納品させて、自分が出勤日の日に少なく納品させる。それに振り回され大きなストレスを感じていた私。

しかし、同僚と言っても彼女の方が私よりも若干先輩です。後輩から先輩へ注意をするというのは少しハードルが高くなります。

しかし、いつもいつも彼女の休みの日に限って納品が山盛りです。どう考えても、わざとしているとしか考えられません。

ここまで、同じような状況が続いたからには間違いないことだと確信しました。そして、パートさんからも「お願いですからガツンと言ってやってください」という後押しもあり、ついに注意しようと思いました。

素直にズルを認めない同僚

「自分の休みの日にどっかり納品させて、自分の出勤日にほとんど納品させないのは、困ります。勘弁してください」

と言う私に対して、まったく予想してない答えが返ってきました。

「熊さんだって同じことしてるじゃないの?」

「熊さんだって同じことしてる」ってどういうことでしょうか?まったく身に覚えはありません。同じことはしてません。自信をもって言いきれます。

おそらく、自分が「人に仕事を多くさせることで楽をする」という考えを実践しているから他人もそうだろうと思っているのでしょうか?

なので、私は反論しました。

私 「そんな勝手なこと言わないでください」

アラフォーさん 「それだったら熊さんも勝手なこと言わないでくれるか」

私 「僕は事実を言ってるんですよ。昨日、今日だけの話ではなく、ずっと見てきていて、明らかにアラフォーさんの出勤日の日の物量と、休みの日の物量が違うから言ってるんです」

するとアラフォーさんは目をつりあげて・・・

「そんな言い方しなくてもいいんじゃないの?」と怒った表情で言いました。

ビックリしました。私はけっしてきつい口調で言っていません。言葉を選び丁寧に接しました。「そんな言い方しなくても・・・」の「そんな」はどこを指しているのでしょうか?不思議に思いました。

しかし、これ以上議論しても無駄に思い、その話は終わりました。
ますますひどくなる同僚のズル

「でも、言うことは言ったから改善するかな?」と一途の望みにかけました。しかし、そんな私の希望を無視するかのように、ますますひどくなってきました。

アラフォーさんが出勤日の日は1時間で終わるほどの少ない納品数。 アラフォーさんが休みの日は夕方までみんなで泣きそうになりながら頑張ってやっと終わる納品数。

人に多く仕事をさせることで、自分の仕事量を減らす。決して真似をすべきではないブラックテクニックです。

店長もあきれてものが言えない状態でした。しかし、店長は私にこう言いました。

「そのうち痛い目にあう時がきますよ」

「そのうちギャフンと言わせられる時が来ますよ」と。

私は思いました。「店長はなにか考えがあるのだろうか?」と。しかし、その店長は結局何の手も打たずに、間もなく異動になりました。とても残念な気持ちになりました。

世の中そう甘くはない。

しかし、その時がきました。代わりに異動してきた店長は発注業務が好きなタイプでした。そこで発注をしたいということで、アラフォーさんの発注業務を店長が引き継ぐことになりました。

今まで、自分の都合で納品量を多くしたり少なくしたりが出来なくなったアラフォーさん。今までのように楽は出来ません。しばらくして私に愚痴るようになりました。

「店長が発注した量が多すぎる」

「荷捌きが終わらない」

「私の時はあんなにひどくなかっただろ?」

と言うアラフォーさんの愚痴を聞いて、心の中でつぶやきました。「いやいや、あなたの時は私はずいぶん大変な思いをさせられましたよ」と。

「熊さんからも店長に一言いってやってよ」と私に店長の発注の仕方について意見するように求められましたが、「はははは・・・」と笑ってごまかしました。

これにて一件落着かと思いきや

この時は、本当にほっとした気持ちになりました。世の中というものは常ではありません。今まで通用していたズルが通用しなくなったアラフォーさんに、心から「だからあの時私は注意したのに・・・」という気持ちになりました。

そこで、めでたしめでたしとなると思いました。しかし、せっかく店長がアラフォーさんから発注を取り上げて状況が良くなってきたのに、またしても店長の異動があり、発注はまた元のアラフォーさんが担当することになりました。

そして、「わざとでしょ?」「違うわ」の戦いがエンドレスに続いているのでした。
いかがでしたでしょうか?

大変悩ましい問題です。人に多くの仕事をさせることで自分は楽になる。周囲から大きな反感を持たれる行為。しかし、注意しても簡単にこういった行為をやめさせることが難しい事があります。

何とかならないものか?そう悩み続けて、ある時、状況が変わり、相手が今までしてきたズルが通用しなくなった。私はここに救いがあると思いました。

しかし、救いはありませんでした。「世の中そううまくはいかないんだ」と喜んでいたのも少しの間だけで、今度は逆に「世の中そう、うまくはいなない」という現実に吐きそうになりました。

なんとか救いはないものか?周囲を見渡し、はっと気づかされたことがあります。それは・・・

損得は、仕事量ではなく時間で考える

パートさんも私と同じで、アラフォーさんの「人に仕事を押し付ける行為」に腹を立てていました。しかし、同じ腹を立てるにしても私と若干考えは違いました。

それは、「もし、アラフォーさんが他店に異動になってなんでも自分でやってしまう出来る社員さんが代わりに来たら私たちの仕事が少なくなるかも?」と言うことでした。

なるほど、私はニッコリと膝をたたいてニッコリ笑いました。状況が変わっても、良くなることとそうでないことが両方あるということです。

しかし、そうは言っても私は社員だから、仕事量が多くても給料が増えるわけじゃないし・・・」と嘆きました。

なんか損してる?

なんだか損してる。

やっぱり損してる。

どう考えても損してる

相手のズルで、相手が楽をしている。自分には仕事が多い。どう考えても損している。そんな気持ちがピークに達して頭から煙が出るほど悩んだ日々が過ぎました。

そんな頭から出てくる煙とともに、ふと思ったことがあります。それは、「あっ、損していると思うけど、その損って何?」と言うものでした。

同じ給料なら楽な方が良い。それはよく言われることですが、「タイムイズマネー」「タイムイズライフ」時は金なり、時は命なりと言う言葉があります。

私にとって、時間内に帰れるのであれば、さほど損はしていないのです。きちんと帰れているのです。無理やりですが、妥協してでもなんとか帰れているのです。

つまり、自分の時間さえ守ることが出来たらなら、それでいいんじゃないか?と言う考えになったのです。

損得を仕事量で考えると、腹が立って仕方がない。しかし、時間で考えてみると意外に気持ちは落ち着くことがある。そんなことに気付いたのでした。