キャバクラは女性の色気に惑わされないために心を磨く場所なんだって
20歳の時に勤めていた会社でのある日、私と同期のA君が営業部から総務部に異動になった。
総務部は年配の部長と課長以外は全員女性だった。そしてA君は私と同じで彼女がいなかった。私は思った。「くっそー、いいところに行きやがったな、あいつ。若い男が今まで一人もいなかった部署だ。女性と付き合える絶好のチャンスではないか?出来れば代わってほしい」
そう思い「羨ましいな」と言うと彼は「そうでもないよ。居心地は悪いよ」と男性が一人しかいない寂しさを語ってくれた。
そんなA君に不幸な出来事が訪れた。A君はある日、出勤して自分の机の上にある1枚の用紙を見て驚いたそうだ。その用紙は退職届だった。あとはA君の名前と印鑑を押して提出するだけのものだった。
それを置いたのはA君の教育係をしていたK子さんだった。A君は事務の仕事がなかなか覚えられず、K子さんに厳しく叱られていた。その叱られた腹いせにK子さんのスカートの下から出ている足をジロジロ横目で見てストレスを解消していたそうだ。
それを他の男性社員にうっかり話した、その聞いた男性がK子さんに伝えたそうだ。K子さんは上司に相談してA君は解雇になった。
A君と私は仲が良かった。そして内緒で送別会をしてあげた。その送別会には私以外に一人の先輩が来てくれた。その先輩は私たちを可愛がってくれていた。
そして先輩は社内でもキャバクラ好きなことで有名だった。私たちも誘われたことがあるが、女性と接した経験の少なかった私たちは「女性にもてた経験のない僕達が行ったらクセになって仕事どころじゃなくなると思います」と言って断った。
その先輩と私はなぜK子さんにセクハラをしたのかをA君に聞いた。K子さんは総務部の中でも他の男性社員からあまり人気がなかった。男性的な言動をする彼女に多くの男性社員は女性としての魅力を感じていないようだった。
だからA君も最初は、K子さんにはまったく魅力を感じなかったそうだ。しかし、そばで仕事を教えてもらっているうちにK子さんの事が気になりだし、そして彼女こそ運命の女性だと思うようになったようだ。
それを聞いた先輩はA君にこう言った。「もうちょっと早く俺に相談してくれたらお前のことを救ってあげられたのに残念だ。A君があのK子のことを好きになってしまったのは狭い空間で近づかれたからだ。女性には色気というものがあるのを知っているか?この色気というものは男の正常な判断を狂わせるものなんだ。そうならないためにもキャバクラは必要な所なんだよ。キャバクラには。女性の色気をあえて浴びに行く所なんだよ。色気にたいする免疫をつけに行くんだよ。お前達はキャバクラにいったらクセになって仕事どころじゃなくなるって言ったけど、そうじゃないんだ。職場で男性は女性の前で紳士的に振る舞わなければならない。色気に惑わされないように心を磨くんだよ」
確かに一理あると思った。しかしキャバクラに行きたいとは思わなかった。クセになってお金を使いすぎるかもしれないと思ったからだ。
それに女性の色気に惑わされないようにする方法はキャバクラ以外にもスポーツや趣味に没頭するなど色々あると思うからだ。
いずれにしても職場の女性の前では紳士的に振る舞いたいものだ。そのためには常日頃から自分を正していくことが大事だと知った。