催眠商法に入社して1年目
いろいろな会社を転々としてきた僕
どこ行っても上手く行かない。
不器用。要領が悪い。
そんな僕にいい仕事ないかな?
でも求人見ても、どれもこれもピンとこない。
なんだろうこれ?
健康食品の開発販売
ノルマ無し
戸別訪問無し
健康食品の販売?
これ、よさそう。
面接で簡単に採用された。
上司「じゃあ、営業所に行こうか」
どんな営業所?期待と不安。
着いた先は、コンビニの跡地。
健康食品・自然食品という看板や旗などで派手に飾られたお店。
なんだここは?
畳がひいてあり、その上に、じいさんやら、ばあさんやらが座ったり、寝転んだり、お弁当を食べたり、不思議な光景だった。
なにかの宗教?
どうやら、お昼の休憩時間は客がくつろいでいるようだ。
私は上司と一緒にその後ろを通り過ぎ裏場に向かった。
途中、じいさん、ばあさんのこそこそ話が聞こえた。
「ねぇねぇ、あれって新人さんかな?」
私は、「こんにちは」とペコペコ照れ笑いをしながらその後ろを通り過ぎた。
裏場に到着すると、若い社員さんが3人と60代ほどのスーツ姿の男性が一人の4人がいた。
「今日から新しく入った熊君です」
上司に紹介され、「よろしくお願いします」
先輩たちはみんな爽やかな好青年だった。
初日は、ずっと裏場にいてた。
中で何が始まっているんだろう?
聞き耳を立てた。
なにやら、ずっとお年寄りの笑い声が聞こえる。
講演会?
その営業が終わり、後片づけは一緒にした。
商品が入っていたであろう段ボールをみんなでつぶした。
その間、60代の怪しげな男性が近づいてきた。
脂ぎった顔で、じじシャツ一枚になり、そのビジュアルは小太りのピッコロ大魔王だった。
社長だった。
社長は、「私たちの仕事は、世の中にある良いものを多くの人に知ってもらいたい。でも言葉だけではその良さは伝わらない。だからまずは試してもらうということで、いろいろな日用品を配っているんだよ」と教えてくれた。
「これはとんでもないところに来たかもしれないぞ」と思った。
しかし、私の頭の中に「怪しげな仕事だから入社をやめよう」なんて考えはなかった。
これは私だけの気持ちではなかったようだ。
後で仲間の全員に聞いた。
みんな最初は「とんでもないところにきた」と面食らったそうだ。
しかし、みんなこの怪しい仕事の魅力にとりつかれていく。
本当に最低だね。
11月2日発売予定です。全国の書店様にてご予約ご購入ができます。
身近な人を守るために知っておきたい!催眠商法の現場を元社員が詳細に明かします!
原稿の一部を掲載しますので是非ご覧ください(=^・^=)