ありがとう熊さん

食品スーパーのおやじが、生き方について辛いことも楽しいことも含めて、心を込めて書かせてもらいました。

「おい、あれ見ろよ」と障害者を指さし笑った男の末路とは

人を笑いものにする行為

人を笑いものにする行為がモラルに反するということは明らかですが、世の中には、人を笑いものにする人たちが多いように思います。

9回以上転職を繰り返して思うことは、人を笑いものにするネタで盛り上がる従業員たちを山ほど見てきました。

モラルに反する行為だと知りながらも、いい大人が盛り上がり、お互いに毒を吐きあう。なぜ、言わずにはおれないのでしょうか?

人を笑いものにしたがる心理

  • 面白がっているから。陰であだ名をつけ、それを笑う行為など、面白おかしく言い合うことで、無邪気に笑いたいという心理。悪意のある笑いです。
  • 共感を求めているから。「そうそう、私もそう思っていた」と自分の中の相手への軽蔑の感情をお互いに認め合いたがる心理。悪意の共感です。
  • ストレス発散にしている。特に対人ストレスの多い接客業などでは、気に入らないお客様のことを笑いものにすることで、心を落ち着かせようとする人が見受けられます。悪意のストレス発散です。

では、私にはそれがないのか?と問われれば否定は出来ません。日々さまざまな対人ストレスを感じる中で、好き、嫌いの感情に振り回されることがあります。

自分にとって、ちょうど良い他人は存在しません。そんなことは分かっているのですが、どうしても相手の気にいらないところが目に付いてしまい、その人のことを話題にしたくなることがあります。

自分の中にある人を馬鹿にしたくなる感情。そんな感情がにょきにょきと頭を出してきたとき、「あっ、やばい気を付けなきゃ・・・」と思い出すエピソードがあります。

障害者を指さす男の末路

数年前、勤め先の女子大生のアルバイトさんから聞いた話です。彼女は付き合っていた彼氏と別れたそうです。原因は街中で障害者を馬鹿にするような行動を彼氏がとったためです。

彼氏は歩くのが不自由な方を見て「オイ!あれ見ろよ」と指差しながら笑ったそうです。彼女はこのことに強い嫌悪感を示したそうです。

彼氏は何度も復縁を迫ったそうですが彼女は受け入れませんでした。私は彼女から、どうしても許せなかった理由を聞くことが出来ました。

理由その1 あなたは私を大事に出来ません。

彼氏は必死で「お前を大事にしてる」と言ったそうです。しかし彼女は、「障害者を笑う姿にどうして私を大切に出来ることが想像できるのか?もし私が何かの理由で足が不自由になったら、どうせあなたは笑うのでしょう」と思ったそうです。

理由その2 後悔している?知らなかった?私の方が後悔しています。

彼氏は何度も「後悔している」「知らなかった」と障害者を見て笑うことがどれだけ失礼にあたるかを知らなかった自分を悔んだそうです。しかし、後悔してるのは彼女も同じです。早めに別れることが出来て、私は良かったと思います。

理由その3 笑って欲しかった?そんな笑いは要りません。

彼女は彼氏が自分も笑ってくれると思い込んでいたことに大きなショックがあったそうです。どうしてそんな言葉が出てくるの?とてもいやな気分になったそうです。

理由その4 気になる?それなら温かく見守って下さい。

「気になるから仕方がないじゃないか?」と彼氏はしつこく自分を正当化しようと言い訳をしてきたそうです。自分がどれだけ失礼なことをしているか?周りの人の気分を悪くしているのか?理解がないのでしょう。

私が思うには

彼女は、うちの店でとっても真面目で良く動き、良く気が付き、頼りになるアルバイトです。そんな彼女が大変落ち込んでいました。

付き合っていた彼氏と別れるのは彼女としても大きな苦しみであったでしょう。別れた後、古くからの友人に長い時間話を聞いてもらったり、家でずっと泣いたりしてたそうです。

彼氏が障害者を見て笑ったのはこれが最初ではありません。今まで似たようなことが多々あったそうです。何度もそれはやめてと注意したそうです。しかし彼氏はやめませんでした。

彼氏が、なんで笑うのは駄目なの?そう思うのは、相手の気持ちを考える想像力が欠けているのでしょう。誰だって障害者になる可能性があります。

そんなことも考えずに悪意を持って笑うのは最低だと思います。もし私の友人が同じような行動をとったと考えたら私はその友人と距離を置くでしょう。注意しても分かってくれなかったら、縁を切るでしょう。

人を笑いものにする行為は愛する人を遠ざける

数年前にアルバイトさんから聞いた話でした。いかがでしたでしょうか?この別れた彼氏の発言には、「人を笑いものにしたい」という心理があるように思います。

人が大変な思いをしていることに対して、面白いからと言う気持ちで、その人のことを話題にしています。それが下品な行為だということに自覚がなかったのでしょう。

この話は障害者を笑う行為という極端な例ですが、ここまでひどくなくても、ちょっとした人の欠点を面白おかしく言い合う光景を、たびたび見かけることがあります。

「そうそう、まったくその通りだよね」とどんどん下品な笑いが大きくなることがあります。一見、その場の空気が楽し気に見えることがありますが、それは悪意のある楽しさです。

確かに下品な笑いだとしても、ストレスの発散にはなるでしょう。しかし、それは一時的な発散でしかありません。自分で自分の人格を壊している行為です。

しかも、それは癖になりがちです。モラルに反している行為だと頭では分かっていながらも、癖のようなものになると、ちょっとしたことですぐに表面に出てきます。

やはり、「人を笑いものにする行為」というものは慎むものであり、愛する人を遠ざけてしまう行為であることを自覚するべきなのでしょう。