ありがとう熊さん

食品スーパーのおやじが、生き方について辛いことも楽しいことも含めて、心を込めて書かせてもらいました。

社長が愛人をつくることに従業員は黙っていても、大きく失望している

男が愛人を作りたがる理由

社会的成功を手に入れ、オスとしての本能が自分の優秀である遺伝子を残したいという思想に走らせる。

年を重ね、若さからくる魅力が失われても、恋愛のときめきを味わいたい。そのための経済力が自分にはあるという自覚

今の奥さんでは気持ちが満たされていない。男として女性に常に愛されていたいという要求が満たされていない気持ちがある。

といった3つの理由があります。ただ性欲を満たすだけなら、風俗で事足りるでしょうが男性には征服欲というものがあります。

世間ではよく、「社長は愛人を作りたがる」と言われます。社会的地位を手に入れるまでは不可能だった愛人を囲うということが、経済的な成功によって可能になり、その欲望が我慢出来なくなることが多いからです。

愛人を作る行為に対する世間の風当たり

最近の芸能ニュースでは、「不倫」に関することが多く見られるようになりました。人気のある芸能人の不倫スクープは視聴率が稼げます。

女性芸能人が不倫をしたというニュースは目立ちますが、やはり圧倒的に男性芸能人で既婚しているにも関わらず不倫をしたというニュースが多いです。

そういった不倫ニュースが増えてきたにつれ、世間の不倫に対する声も以前に増して厳しくなってきています。

昔はお金持ちの男性には愛人がいることが、どことなく黙認されていたこともありました。一種のステータスのような風潮もありました。

しかし、現代では社会的地位を手に入れたから愛人を・・・」という考えを持つ男性にとても風当たりが強くなってきています。

せっかくの社会的地位を手に入れ、幸せな家庭を築き上げてきた芸能人が、不倫スクープで一気にその座から引きずり降ろされる。築き上げた幸せな家庭も壊れてしまう。

そんなケースが増えてきています。それだけ世間の反応というものは厳しいのです。そんなことを自覚せず、ただ雄の本能だからという理由で愛人を囲む行為はとても危険です。

今回は、そのような周囲の反発に気付かずに大きなものを失った社長の話をしたいと思います。

以前に勤めていた会社

以前、勤めていた会社は営業の会社でとても業績が良く、私はこの会社がとても好きでした。

社長の面倒見がよく、とても多くのことをその会社で学びました。しかし、社長はもともと東北の人で、会社を東北に作るということで、その会社を専務に譲り、東北に行ってしまいました。

(専務に譲ったと言っても、会社は毎月一定の額を前社長に払ったそうです)

新しくなった元専務の社長からは、以前の社長に比べ、どことなくみんなをぐいぐい引っ張っていくような気迫というものが感じられませんでした。

そんな不安をよそに、意外と会社の業績は好調で、その好調は1年ほど続きました。しかし、業績に陰りが見えてきました。

今まで好調に売れていたものが売れなくなってきました。じわり、じわり会社の業績は下がり、私は危機感を覚えました。

業績が好調だったころ、多くのボーナスが出ていたのですが、それがほとんどなくなりました。

さらに、平社員である私の給料はきちんと出ていたのですが、噂によると、部長や課長といった幹部たちの給料は遅れるようになりました。

会社の業績が立ち直るまでの辛抱を平社員にさせると一発で辞められるからでしょう。なので、そう簡単に辞めないであろう幹部から辛抱してもらったのでしょう。

私の心の中で迷いが生じました。

このまま、この会社の業績が復活するのを信じて待つべきか?

ここらで、この会社に見切りをつけて辞めるべきか?

そんな時、私の背中を強く押してくれた出来事があります。

会社のお金で愛人を囲う社長

社長が愛人を囲いこみ、隠し子を作っていることは私たちの間では噂になっていました。

会社の業績が傾いてきている中でそんなことをしている場合か?という周囲の声は日増しに強くなってきていました。

社長の携帯に女性の声で電話がかかり、こそこそと別の場所に移動し、話す姿を私たちは「どうせ、愛人に金をせびられているんだろう」と噂しました。

会社の業績が悪くなり、幹部の給料の遅延が続いたある日、私は仲良くなった経理の社員に驚きの事実を知らされました。

「社長は愛人に会社の経費で送金している」と。

話によると、愛人を自宅勤務扱いにして社員として給料と言う名目で多額のお金を送金しているのです。

これは駄目だ。私は少しずつすすめていた退職の準備(次の職場探しなど)を一気に進め退職をしました。

私が退職した後、事件が起きました。いつまでも給料を遅らせる社長に業を煮やした幹部たちが一部の社員を引き抜き会社を出ていきました。

しかも、会社にとってとても大事な飯のタネである顧客情報を盗んで、それをもとに新しい会社を作りました。

そして、社長に未払い給料の請求を集団でしました。しかし、社長は会社に多大な損害を与える顧客情報を盗む行為をした奴に払う給料はないと突っぱねました。

結局、社長は会社をたたみ、今何をしているかははっきりと分からなくなりました。

顧客情報を盗む行為は窃盗罪にならない。

その顧客情報を盗んだ社員の一人に先日会い、話を聞くことが出来ました。彼は、「俺たちは法律の上では何も悪いことをしていないよ」と言いました。

理由は、窃盗罪というものは形のあるものを盗んだ時に適用される罪で、情報には形がないから適用されないのです。

どうしても、許したくない。罪に問いたいときは窃盗罪ではなく背任罪(重要な情報を管理させていたのに流出させた)など別の罪で訴えなければいけません。

しかし、日本の今の法律では会社の訴えが認められるのは難しいようです。しかし、会社にとって飯の種である顧客情報を盗む行為は大きな従業員の裏切り行為ではないか?

そんな疑問に彼はこう答えました。

「最大の裏切り者は社長ですよ」と。

彼によると、社長と従業員の関係は払うべきものを払ってもらって初めて成り立つものだということです。

毎月、この額を給料として払います。この約束があってこそ従業員は従うのです。その約束を裏切る行為こそが最大の裏切り行為だと言いました。

「熊さんはどっちが悪いと思う?」という

いきなりの彼の問いかけにすぐには答えられませんでした。給料を遅らせた社長も悪いと思う反面、大事な顧客情報を盗んだ彼らもひどいと思いました。

本人には言いませんでしたが、「どっちもどっちだな」というのが正直な気持ちです。
しかし、その後いろいろ考えてみました。法律的には窃盗罪としての罪は適用されない。しかし、どっちが人としてより許せないか?

今の私が出せる精一杯の答えは6対4で社長に非があるということになりました。
社長が愛人を作ることに周囲がなぜ黙っているのか?

転職回数9回以上の私は、様々な社長とお会いし、付き合うことが出来ました。
世間でよく聞く「たいていの社長は愛人をつくる」という言葉。それは確かにあるように思います。

社長に愛人がいる。それを従業員は知らないふりをする。よくあるケースです。しかし、知らないふりをしているからと言って心から許されているわけではないのです。

周囲の嫌悪感をもとにして築きあげられた成功はいつまでも続きません。

色に目がくらみ、周囲から社会的成功の椅子を奪い取られる。「社長は愛人を作るもの」。暗黙の了解のように思えて、それは、周囲の嫉妬、失望のタネを育てているのでしょう。